1062 魔導国 上
予想はしていたけど、湖にこんなものが隠れていたとはね。あ、水深とか気にしちゃダメよ。
「漁師すらわからないとか、なんの強制力が働いていたのかしらね?」
まあ、そんな強制力を解いたところで意味はなし。現状に目を向けるとしましょうか。
「なんなのかわかります?」
「うーん。もしかすると、遥か昔に存在した魔導国かもしれんな。その頃、まだ小さかったので記憶は曖昧だがな」
魔導国。つまり、魔法に長けた国だったってことね。魔力とかたくさんありそうなよ・か・ん♥️
お城が浮上することで起こった波は湖岸を洗い流す勢いだけど、湖から攻撃されたときのために用意していた結界が役に立った。村もないので被害は最小で済むでしょうよ。
骸骨マンも波に飲まれたけど、それで溺れるようなら出オチってもの。さすがにそこまでバカじゃないことを願うわ。
わたしにも桟橋にも結界を施しているので、波がどんなに激しくても壊れることはない。けど、わたしもここに足止めされちゃっているわ。
「──お姉様! 城が浮かび上がっています!」
耳飾りからロリっ娘の声。いつの間にかお姉様呼びになったのかしら? そんなイベントに心当たりがないのだけれど?
「ええ。こちらでも見えているわ。突入したりしないでね」
まったく、シューティングスターも止めてくれたらいいのに。そっちにまで気を回していられる状況じゃないっていうのに。
「お転婆なヤツだ」
「本当に」
ロリっ娘に尻を敷かれないようナジェスを鍛えなくちゃならないわね。あ、教育したらハーレム主人公に育たないかしら? そうしたらたくさんの義妹たちと一緒にお風呂に入れるんじゃない?
「皆様方。大丈夫ですか?」
天幕にいる妃候補者たちにも声をかけておく。なにが起こっているかわからないでしょうからね。
「はい。こちらは大丈夫です。チェレミー様こそ大丈夫なのですか?」
代表してサーシャル様が応えてくれた。
「問題ありません。たかだか魔導国の亡霊です。今を生きているわたしたちの敵ではございません。ただ、ちょっと魔力を使いそうなので、皆様方には魔力のご負担をおかけすると思います」
特級の魔力タンクがあるだけでも違うもの。骸骨マンを相手するだけでガラスの珠の魔力を使ってしまった。あいつ、こちらが魔力を吸収するとわかったら吸われない魔法をぶつけてきたわ。ほんと、賢い敵って嫌いだわ。
「大丈夫。貴女方はコルディーの娘であり、将来、コルディーの母となる方々。わたしたちがお守り致します。どうか、この戦いに身を投じる者たちを信じてください。必ずや勝利を勝ち取ってみせますので」
波が徐々に収まり、魔導城が姿を現した。
「さあ、本番と行きましょうか」




