個人の犠牲なしに集団は成り立たない②
様子を見ようと言ったな。あれは嘘だ!
あの後、押し寄せたオレンジのオフェンスは苛烈だった。
橘さんと渋川先輩が予想を超えて強い。
自分が守りに専念してなんとか10対6で抑えているが、介入が遅れていたら点差はひっくり返っていたかもしれない。
橘さんは少しバスケも齧っていたようで、様々な手段で攻めてくる。
『同じ経験者じゃねぇか』という言葉は胸の奥にしまって、ディフェンスに徹している。
あのとき手を挙げた自分がバカみたいで、先生に騙された気分になった。
橘さんのシュートは多彩で、動きが読みにくい。
中距離からのジャンプシュートを見せたと思えば、ゴールまで近づきボールを片手で扱うレイアップまで使ってくる。
経験者という情報なしで、自分はよく頑張ったと思う。自分を褒めないとやっていられない。
さらに、橘さんだけでなく、渋川先輩も油断できない。
橘さんがシュートを外すと、篠崎先輩や自分よりも速くボールを拾い、シュートを打ってくる。
結構遠くからでも放てるようなので、気を抜くと遠くにいた渋川先輩が、シュートを打ち終わってるなんてことが平気で起こる。
ここまでで分かったのは、オフェンスができる人材は多いということかもしれない。
それと同時にディフェスができる人材は皆無に等しい。
優秀なディフェンスがいないと、緑、オレンジともにノーガードの戦いになる。
『これを飲んでディフェンスできるようになりました!』などと言ったうまい話がある訳ないので、やれる人がやるしかない。
結果として、ディフェンスができると認められた自分は自陣のゴール前に貼り付けになった。
コート半面を駆けずり回されており、体力が素寒貧だ。
シャトラン40回は伊達じゃない。スペックはあっても、体力がゴミなので、宝の持ち腐れだ。
そうこうしていると、また橘さんが速攻を仕掛けてくる。




