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66:カルベルス王国の滅亡~⑧~(過去編)

 エレノアは胸騒ぎがしていた。

 ロレンシオ王は確かに、ペルニツァ王国にもう嫁がなくていいと言った。では姉であるユリアンヌ王女が再び嫁ぐことになるのか?だが、アーベンレック国の王子と婚約したと聞いている。そんなに簡単に何度も挿げ替えがきくわけがない。何となくではあるが、嫌な予感がしていたのだ。


 「エレノア?何か不安なのか?」


 「え?」


 カイエルはエレノアの部屋にいた。一応は部屋は宛がわれてはいたものの、就寝以外は常にエレノアの側にいたのだ。


 「い、いえちょっと考えすぎちゃったみたい。」


 「考えすぎ?」


 「ほ、ほら私今までこういう豪華な生活していなくて、慣れないからなのね。」


 エレノアは取り繕うようにカイエルに伝えたが、カイエルはエレノアの感情を漠然とではあるが、感じとることはできていた。

 

 「・・・本当か?」


 「ほ、本当よ。」


 「ん~ならいいけど、一人で悩むなよ?俺がついてんだからさ。」

 

 カイエルはいつものぶっきらぼうにも照れながらそう言った。


 「う・・・うん。」


 カイエルに言われた言葉に、エレノアの心はじんわりと温かいものが満たされていった。



 



 その頃____



 「な、なんですか?!貴方方は?!」


 神父は、子供たちを守るように背に庇っていた。教会には、憲兵達が神父たちの前に立ちはだかっていたのだ。


 「国王命令だ。お前たちを投獄する。」


 「!な、なぜそんな一体何故そんな真似を?!」


 神父は訳が分からなかった。ここは教会で、神聖な場所だ。しかもここにいるのは、神父である自分と孤児である子供たちだけだからだ。金銭的余裕は確かにないが、神に仕える身であるし、子供たちにも再三人に迷惑をかけるようなことはしてはいけないと言い聞かせていたので、子供たちが悪い事をしたとも神父には思えなかった。


 「罪状はな、横領罪だ。お前達は、城にある物を横領していたからだ。」

 

 「し、城?一体何のことですか?」


 「ふん、世間知らずの王女をいいように利用して、自分達の都合にいいように、言い含めていたのだろう?!」


 「そ、そんな王女などと、お会いしたこともありません!」


 「はぁ?ネタは割れてんだ。エレノア様のお優しさに付け上がりおって!」


 「え、エレノアが?ま、まさか王女だったなんて・・・」


 神父は驚いていた。本当にエレノアが王女であるとは知らなかったのだ。


 「仮にエレノアが、いえエレノア様が王女だったとしても、お、横領とは何のことです?」


 「エレノア様が城から持っていったものをお前たちは飲み食いしたり利用していたのだろう?城にあるものはつまりは、国の物だ!正式な手続きをしていないのであれば、横領であろう!」


 「そ、そんな無茶苦茶な!」


 確かに、エレノアは城にあったお菓子や端切れなどを教会に持っては行ってはいたが、すべて廃棄となったものだ。くすねていたわけではない。神父も端切れや、賞味期限のことはエレノアから聞かされていたので、いらなくなったもので、教会に回してくれていることは知っていた。なのに、でっち上げにも等しい罪状をなすり付けて、なぜそんなことをするのかまではわからなかったが、自分達を捕える為の口実であることは神父にはわかった。


 「連れていけ!!」


 「ま、待って連れていくなら、私だけで、子供たちは何も関係「ドカッ!!」うぅ!!」

 

 神父は言い切らないうちに、憲兵に腹を蹴られてしまい、痛みに蹲っていた。それを見た子供たちは、神父の安否を心配しているもの、中には怯えて泣いている子供も少なくなかった。

 

 「神父様ーーー!」「神父様にひどいことしないでーー」「うわぁあああ、怖いよーー」


 「やかましい!!全員連れていけ!!」


 責任者の憲兵がそういうと、神父を初め、教会にいる十数人の子供たちは連れて行かれてしまった。



  






 「ね、カイエル?」


 エレノアは窓際に立っていた。


 「どうした?」


 ソファに座っているカイエルに振り向き、


 「神父様たち元気にしてるかな?」


 カイエルは行儀悪く、ソファに仰向けに寝そべっていた。


 「あいつらの事だし、元気にしてるんじゃね?」


 「ふふ、そんなこと言って、よく遊んであげてたくせに。」


 「暇だったからだよ!」


 それまではエレノアを見ていたが、照れ臭くなりそっぽを向いた。エレノアはそんなカイエルが微笑ましかった。


 「みんなに会いたいな・・・カイエル、また一緒に神父様のとこ会いに行こうね?」


 「あぁ。」




 しかしその後、神父の元へ一緒に会いに行くという約束は、果たされることはなかった。


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