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64:カルベルス王国の滅亡~⑥~(過去編)

 エレノアは我に返り、カイエルに注意をした。


 「な、なんでいきなり攻撃するの?」


 「だって、こいつら敵意むき出しだもん。先手必勝だろ?これでもまぁかなり手加減したけどな。」


 カイエルが切りつけた部屋の一面は、たった一撃だというのに、広範囲に大きな爪痕があった。エレノアはこれを見て、人に当たっていないようで良かったと思った。


 「手が・・・」


 エレノアがぼそりと呟くと、


 「あぁ、流石に人化解いたら部屋どころか、この建物崩れちゃうからな。部分解除ってやつだよ。」


 「そ、そうなのね」


 カイエルはなんてことないように言うが、エレノアは(きっと『竜』では、当たり前のことなのね。)と納得することにした。そして後退ていた近衛騎士たちではあったが、何とか臨戦態勢を敷き、ボロボロになったドアを開けて、部屋に突入してきた。


 「貴様は何者だ?!」

 「王女の部屋に忍び込むなど?!」


 カイエルはこれを聞くなり驚いて、エレノアに振り向いた。


 「え?王女なの?」


 エレノアは、カイエルには自分が王女ではなく、メイドと言ってあったことを思い出した。


 「そ、そうなの。私一応この国の王女なのよ・・・」


 エレノアは罰が悪そうに、自分が王女であるとカイエルに告白したが、そもそも今回の政略結婚の話まではずっと放置されていただけに、王女の自覚はあまりなかったのだ。


 「ふーん、ま、それはどうでもいいや。」


 カイエルには些末なことだったようだ。


 「おのれ、なんだ化け物のような手は!?」

 「おい、誰か、魔術師も呼んで来い!!物理攻撃じゃ対応しきれんかもしれん!」


 近衛騎士の一人が、カイエルの禍々しい右手を見て、常人ではないこと察し援軍を要請をしていた。


 「はっ、魔術師だと?魔法だったらこの俺に対応できるとでも思っているのか?やれるものならやってみな!」


 カイエルは実際、伊達に『竜の祖』ではないので、よほどの上級魔法以上でないと、自分に効果がないことをカイエルは自覚していたのだ。エレノアの中では竜という者は無条件にきっと強いのだろうなと漠然と思っていた。


 「『竜の祖』である俺に勝てるつもりがあるなら、いくらでもかかってこいよ!!」


 カイエルはそう言うと、蝙蝠のような大きな羽が背中から一瞬で生えてきた。エレノアは驚いたが、やはり『竜』だからこういうこともできるのね、と思っていた。エレノアにとってカイエルはカイエルなので、人であろうと竜であろうとそんなことは気にならなかったのだ。


 「な、『竜の祖』だと?」

 「竜?!」

 「ばかな!伝説の?!だが、あのお姿は・・?!」


 カイエルが竜の祖と名乗ったことと、カイエルの異形の姿に、近衛騎士たちは只事ではないと、場はさらに騒然とした。


 「こ、これは、陛下に陛下に御注進を!!」


 エレノアは、陛下という言葉に、今更ながらにもこれは大事になってしまったと、これから一体どうなってしまうのか全く予想することができなかった。








 「火急にてご報告申し上げます!!」


 慌てて、護衛騎士はその部屋に飛び込んできた。


 「何事だ、騒々しい!!陛下の御前だぞ、控えよ!」


 この場は、重鎮を集めて会議室で、定例会議をしている最中であった。


 「し、失礼しました。それが、そのエレノア様の私室にて、『竜の祖』が顕現されているのです!」 

 

 「『竜の祖』だと?あの伝説の?」

 「そんな、バカなことが!!」

 「何かの間違いではないのか?」


 「詳しくはわかりませんが、エレノア様と親しいご様子でした。」


 「何、エレノアと?」


 エレノアと親しいという言葉に、ロレンシオ王は考えこんでしまった。


 「はい、我々もエレノア様の部屋に侵入者があったと報告を受け、確認しに行ったところ、『竜の祖』に遭遇いたしました。」


 カイエルが三階にあるエレノアの部屋に入るところを他の護衛に見られており、近衛騎士は、エレノアの安否を確認しに行った矢先の出来事であったのだ。 


 「陛下、いかがいたしましょう?『竜の祖』、今は人の形をしておりますが、既に竜と思われる形状を一部覗かせてます。これ以上刺激をしない方が得策とは思いますが・・・」


 これ以上の言葉は近衛騎士はいう事を憚れた。 

 

 「陛下、これは一大事でありますぞ!」

 「『竜の祖』とは、今頃一体なぜ・・・」

 「事実であれば刺激をしない方が・・・」

 

などなど、重鎮たちの間で様々な議論がされていたが、ロレンシオ王は、もし『竜の祖』がエレノアと親しくしているという話が本当のことならば、これを利用しない手はないと、頭の中で策略をめぐらせていた。


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