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第五十八話  武装カルト宗教、ズー教団

 ――メセルスタン首府、バルサレツカ。リサさん視点。

 教皇様から許可も頂いたので、早速聞き込みと参りましょう。

 「すみません!」

 っと、中央府を出る前に声をかけられてしまいました。

 「はい、なんでしょうか?」

 「教皇様が、もう一度執務室にと」

 「……分かりました」

 一応は警戒しておきましょう。


 「それで?」

 「ズー教団の本拠地の場所だ」

 地図とポストキーですね。ですが地図を見る限り、この街を指し示してはいませんね。

 「バイズリという村に本拠地がある。というか、ほぼ乗っ取られた状態だ。奴らが武装蜂起しようとしているという噂は正しく、現在もなお水面下では武装解除への交渉中なのだ」

 「村丸ごとひとつが本拠地と捉えてよろしいのですね? そして一触即発であると」

 「そうだ。……すまないがこれ以上は私の口からは言えない」

 「いえ、充分ですとも。ご配慮痛み入ります」

 先ほどの事があったからなのでしょうね。すごく苦々しい表情をされておられます。



 ――休憩。

 それでは早速……とは行きませんよ。このポストキーが罠である可能性も充分ありますし、混乱に乗じてわたくしを亡き者にしようとする可能性もあります。

 なので一旦休憩と参りましょう。実は水路を周っている時に良さそうなお店を発見していたのです。

 「いらっしゃいませー」

 店内は木の風合いが落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

 「わたくしは仕事でこちらに来ていまして、あまりこちらの料理には馴染みがないのですが、何かおすすめはありますでしょうか?」

 「そうですね、メセルスタンでは肉料理が多いので、ケバブやマントゥ、そして時期的に果実も美味しいので、フルーツコンポートがおすすめです」

 どれも美味しそうですね。……この際です、少し贅沢をいたしましょう。

 「それではその三種をお願いいたします」

 「かしこまりました」


 料理が運ばれてくるまでの間、窓の外を眺めているのですが、ひとつ気になった事があります。それは中央府外苑を歩く人がほとんどいないという事です。そういえば橋を探している最中も、すれ違ったのは数人だけでした。……何かあるのでしょうね。

 「お待たせいたしましたー」

 「お待ちしておりましたー」

 「ふふっ、えーこちらがケバブですね。本来はお客様の前で回しながら焼き削ぐんですけど、宗教上の理由で削いだ後のお肉を出ししています」

 ……いきなり宗教上の理由と来たので少し引いてしまいました。恐らくは人の前で肉を削いではいけないというような決まりがあるのでしょう。

 「こちらがマントゥです。ひき肉とお野菜を小麦粉の皮で包んだものになります。こちらの香辛料を適量振りかけてお召し上がりください」

 読者の方に分かりやすく説明いたしますと、見た目は黄色い薄皮の餃子ですね。それをラー油などではなく、胡椒や唐辛子などの香辛料を指でつまみ、まぶしてから食べるようです。はい、メタ発言でした。

 「そしてこちらがフルーツコンポートですね。ここバルサレツカには大陸各地から旬の果物が集まるので季節によって果物の種類が変わるんですが、現在は丁度最高の季節でして、十五種類もの果物が入っています」

 「それは美味しそう!」

 色とりどりの果物が器から顔を出しており、甘い香りが充満しております。


 「神よ感謝いたします」

 普段のように簡単なお祈りをして食べようとしたのですが、言ってしまった後になって冷や汗が出てしまいました。こちらに来る前にトム王様に”神や使徒という言葉は禁止”と注意を受けていましたが、わたくしはうっかり神という言葉を使ってしまったのです。

 ……思わず周囲をキョロキョロと確認してしまいましたが、どうやら誰にも聞かれずに済んだ様子。小声だったのも功を奏したのでしょう。

 「……いただきます」

 カナタさんがいつも仰る言葉が一番ですね。


 まずはケバブを一口。

 ……これは美味しい! お肉の無駄な脂が削ぎ切られた際に落とされているのでしょう、とてもさっぱりとした食べやすいお肉です。そしてそのお肉自体も柔らかく、ナイフがいらないですね。……それなのに噛めば噛むほどお肉の旨みがあふれ出てくるのは素晴らしいの一言です。

 では次にマントゥをいただきます。

 ……ふふふっ、そう来ましたか。肉は恐らく羊なのでしょう。ほんの少し癖のある臭みがお野菜と合わさり、とても豊潤な香りへと昇華されています。そしてお肉は皮で包まれ、蒸し焼きにされていますので、一口かじれば皮の隙間から肉汁があふれ出てくるのです。唯一の欠点はとても熱い事ですね。一口で食べ切れないので肉汁が逃げてしまうのがとてももったいなく感じます。

 最後にフルーツコンポート。

 ……安心出来る甘さが最高ですね。それ以上の言葉は不要でしょう。



 ――食後。

 ふう、すっかりお腹一杯になりました。後は食べた分動くだけですね。

 「お会計お願いいたします」

 「はーい。えーと……三点で千七百ブロンズです」

 これだけ食べてもそれだけとは、お安いですね。……いえ、わたくしの金銭感覚が狂っている可能性もありますから断言すべきではないでしょう。

 「……はい。それとひとつお聞きしたいのですが、よろしいでしょうか?」

 「はい、なんですか?」

 わたくしは先ほど頂いた地図とポストキーを提示。

 「行き先が正しいのか確認をしていただきたいのです」

 「んー? ……合ってますよ。でもバイズリって、幽霊が出る廃村として有名なところですよ? あ、そういうお仕事なんですか?」

 「えー……まあ、そんな感じです。あはは……」

 聞かなければよかった……いえ、聞かずに行っていたら余計……。

 ともかく、ズー教団は廃村を占拠して本拠地としているという事が分かりました。そして教皇様は肝心な部分を隠していたという事も。やはりあの人は信用なりません。

 ……廃村ならば、村民がいる訳ではありませんよね。村民がいないのであれば、多少強引な手段を用いても……? となれば、久しぶりに本気を出せそうですよ。



 ――廃村バイズリ。

 到着いたしましたが、人気は一切感じられず、見事な廃村です。建物のほとんどは朽ち、屋根も落ちていますので、打ち捨てられたのはかなり昔であるように思えます。

 地形としては、断崖の谷間に狭く広がっており、まだ昼間なのに暗くジメジメしています。そしてその断崖には通路のあった痕跡が見受けられますから、恐らくは鉱石採掘用の坑道があり、そこを教団は根城としているのでしょう。

 「……もしもーし……」

 慎重に何軒かのお宅を回ってみますが、案の定誰もいませんね。……仕方がありません。ここは一度空から確認しましょう。


 ……あれ? 飛んで様子を見ようと思ったのですが……どうやら魔法に対する障壁が張られているようですね。

 ああ! だから政府も手荒な真似が出来ないのですね。ここメセルスタンの兵は魔術師が中心でしたので、魔法を封じられてはただの……まずいですね。それはわたくしも同じでした。しかし何というか、形容しがたい違和感のある障壁です。

 「……仕方がありません。ここは出直して」ゴンッ!

 な……。



 ――???

 バシャン!

 「んはっ……こほっ、こほっ……」

 「おうおう、ようやっとお目覚めなさったか」

 水を掛けられました。……ここは?

 「しっかしネーチャンいい体してんなー。獣人族じゃなけりゃ、一発洗礼したんだけどなー」

 顔を上げると、男性が一名。……胸にはワッペンのようなものを付けています。

 あの柄は……そういう事ですか。わたくしはズー教団に捕まったという訳ですね。

 ……そして下着も含め身包み剥がされ、壁に張り付けです。

 やってしまいました。あれだけカナタさんに落ち着けと言われていたにもかかわらず、わたくしは深入りし過ぎた。


 「わた……あたしは近くを通りかかっただけだ」

 この状態で王女としての素を出しては余計に危険でしょう。ジリーさんの口調を真似る事にいたします。

 「はっはっはっ、嘘吐きな狐さんだー。通りすがりがなーんで中央府の紋章入りポストキーなんざ持っているんですかねー?」

 「紋章?」

 「とぼけちゃってー。ほーら、ここにちゃーんと中央府の紋章が入っていますよー?」

 ……あの馬鹿教皇! 火炙り決定です!!

 「それは、ここを通るために必要だと渡されただけ」

 「だったらこれは?」

 「……それは知らない」

 本当に知らない手紙が出てきました。一体どこにあったのでしょうか?

 「えーとなになにー? リサ・アスワードをズー教団殲滅部隊長に任命する。メセルスタン中央府、シャックリ教皇。んだってよー」

 よし、わたくし決めました。あいつ殺します。


 「その手紙はどこから出てきた?」

 「まだとぼけるつもりですかい隊長さん。地図に挟まっていたんですよ。全く無用心なお人だ」

 あの地図ですか。……仕方がありませんね。本来こういうやり口は嫌いなのですが、騙されたからには、わたくしも騙し返して差し上げます。まずは自身の偽装。

 「残念だけどそれは本当にあたしのじゃない。あたしの名前はフューラだ」

 勝手に名前を拝借いたします。後で謝らなければいけませんね。……謝るためには必ず帰らなければ。

 「じゃあこれは何なんだよ?」

 「……ぬ……盗んだ」

 我ながら苦しいっ!

 「……例えそれが本当だとしても、確認が取れるまであんたはこのままだ。ま、お友達と仲よくやってな」

 お友達? ……あ!


 自分の事で手一杯で全く気が付きませんでしたが、モーリスさんも裸で捕まっていました。……体に血の痕が滲んでいて、拷問の跡が見えます。大丈夫でしょうか?

 (……ううん)

 反応は出来るのですね。しかし首を振るにしても厳しそう。魔法が使えれば治療して差し上げるのに。申し訳ありません。

 (……)

 ……。



 ――幾許か。

 「こちらです」

 誰か来ました。従者の口調からして教祖か、それに近い幹部でしょう。

 「んむほおー! えろちっくなねーちゃんじゃのー!」

 一言目がそれですか。

 やって来たのは白髪にひげの長い、推定年齢七十代以上と思われるおじいさん。杖に司祭帽、そして……はあ、しれっとシアさんが肩に乗っています。

 「どういうつもりだ?」

 「んふー、しっかし残念じゃのー。獣人族では儀式に使えんではないかー。しょんぼりんこ」

 この御仁、地面に埋めて差し上げてもよろしいですよね?

 そしてそれ以上は何もなくさっさといなくなってしまいました。何をしたかったのでしょうか?


 ……モーリスさん、起きておられますか?

 (うん)

 良かった。しかし何もないのに頷いていると傍から見ると不自然です。”はい”ならば一度、”いいえ”ならば二度瞬きをしてください。これならば体力も使わないでしょう。

 (……はい)

 ちなみに文面自体は今までと変わりませんが、既に反応方法は切り替わっています。

 (はい)


 さて……まずは彼らの真意から。

 モーリスさんならば彼らが何を企てているのかご存知でしょう?

 (はい)

 ならば、彼らはやはりここメセルスタンの滅亡を望んでいる?

 (いいえ)

 これは驚きました。となればメセルスタンの乗っ取り、または敵対宗教の消滅が狙いでしょうか?

 (……いいえ)

 これも違う? となると……まさかとは思いますが、世界征服?

 (……はい)

 何とも馬鹿馬鹿しい話ですね。しかしモーリスさんの反応に少々溜めがあったのが気になります。……その方法に何かがあるのでしょうか?

 (はい)

 世界征服をするつもりであるが、その方法に何かがある。


 ズー教団は巨鳥ズーを神と崇め、そして世界征服を目論んでいる。どうやって世界征服を成すのか。

 ……ふと、シアさんは何故彼らと共にいるのかという疑問が浮かびました。モーリスさん、シアさんの胸中はご存知ですよね?

 (……)

 モーリスさん?

 (……はい)

 今の沈黙で、わたくしは嫌な予感がしました。シアさんはもしや、わたくしたちを見捨てる道を選んだのではないかと。


 ――これ以降モーリスさんは、この質問に関しては一切反応を拒否するようになりました。しかしそれが答えなのでしょう。

 つまりズー教団の真の狙いは、巨鳥ズーの子供をさらい、その中から魔王プロトシアを探し出し、封印を解き、そしてその力を以って世界征服をする。

 この事にはシアさんも気付いており、そして否定しなかった。

 シアさんが何を考えてこのような決断に至ったのかは不明ではありますが、モーリスさんがわたくしにも知らせたくないという事は、少なくとも”封印が解かれるまで待ち、教団を裏切り壊滅させる”という選択をした訳ではないという事です。


 ……どうにかしなくてはいけませんね。

 しかし今のわたくしには自由も魔法も下着もなく、ただの裸の雌狐でしかありません。

 まずは、もう一度魔法が使えないかどうか確認しましょう。口には出さず、見た目には分からない魔法を……やはり駄目ですね。一瞬反応はあるものの、すぐさま違和感と共にかき消されてしまいます。

 張り付けている縄は……固くて多少暴れたところではどうにもなりませんね。ジリーさんならば余裕で引き千切れるのでしょうが、わたくしには不可能な芸当です。

 残りはモーリスさんと息を合わせて……といっても、現状モーリスさんもわたくしも似たようなもの。後考えられる事は……。


 っと、誰か来ました。ここは失神している振りをしておきましょう。

 ……女性が拉致されてきたようです。意識を失い、裸にされています。……角があるので魔族ですね。年齢は恐らく二十代後半でしょう。

 「へっへっへっ、ようやっとこれで儀式が行えるぜ」

 「まさかあんな方法だとはなー」

 そう言い信者二人はいなくなりました。

 儀式、そしてあんな方法。間違いなくシアさんを復活させる儀式なのでしょうが、魔族の女性を使い、あんな方法と言うからにはろくな事ではないのでしょう。

 やはり今この状況を打破出来るのはわたくしだけ。


 魔法さえ使えればどうにかなるのですが、障壁の正体が掴めない事には中々。

 一番気になるのは、ほんの少しの違和感です。

 わたくしの知る魔法障壁は魔法を発動すらさせませんが、この障壁は少し違うのです。魔法も魔力もほんの一瞬だけ発動し、妙な違和感と共にかき消される。もしかするとメセルスタンの兵はこの違和感に気付いていない可能性があります。それほどまでに細微な違和感なのです。

 ……ひとつの可能性を思いつきました。これならばこの違和感の理由も説明が付きますし、一発逆転も狙えます。もちろんこれは確証のない賭けですが……ふふっ、何故でしょうか、わたくしならばやれるという気がしました。

 恐らくはアイシャさんたちとの日々で、わたくしも成長をしているのでしょう。それがわたくしに根拠のない自信を持たせてくれる。……ならば、根拠のある自信にするまでですよね。



 ――それから。

 数時間経ったでしょうか。

 「……ん……」

 お隣の牢に入っている女性が目を覚ましたようです。

 「大丈夫ですか?」

 「……ここは? あなたは?」

 「ここはズー教団という連中の本拠地。わたくしは仲間が捕まったとの報せを聞きやってきたのですが、まざまざと捕まり、こうなってしまいました。隣の子がそうです」

 (……どうも)

 女性は体を起そうとしますが、恐らくは麻酔を打たれたのでしょう、体の自由が利かない様子。

 「私たち、どうなるんでしょうか?」

 「分かりません。しかし、少なくともあなたはいい目には遭わない。彼らはあなたを使って魔王復活を成し遂げるつもりです」

 「……私を……私の命を、という事ですか?」

 「断言は出来ませんが、恐らく」


 女性は溜め息を吐きつつ、落ち着いた様子で話し始めました。

 「……私、これでも教師だったんです。でも戦争の話が大きくなってきたところで、私が魔族だから、子供に洗脳教育を施しているんじゃないか、なんていう話がPTAから上がりました。その中に地元の有力者がいまして、私はにべもなく解雇されてしまいました」

 「本来そのような差別をしないのが教育機関でしょう?」

 「はい。でも現実は……。なのでこれから魔族領に渡ろうかと思っていて、そうしたら……」

 「帰るではなく、渡る? という事はあなたは大陸出身者?」

 「はい」

 短い返事の後、女性の目線はモーリスさんへと動きました。

 「……あなたのお仲間も魔族なんですね。ならば、魔族にとっての魔王様がどういう存在なのかはご存知ですよね?」

 「ええ。確か、魔王プロトシアは、魔族の王であると」

 「はい」

 すると女性はまたも大きく溜め息を吐きました。

 「はあ……魔王復活ですか。そのために私の命が必要。……それもいいかな」

 この一言を聞いて、わたくしの中には”やはり”という気持ちと”意外”という気持ちが半々に現れました。

 魔族から見た魔王という存在、その全てを理解している訳ではありませんが、少なくとも復活のために自分の命を投げ出す事を、惜しいとは思わないほどの存在である事は明白です。

 しかし彼女は大陸出身者であり、往々にして大陸出身の魔族はそれほど深い魔王崇拝を行っている訳ではありません。

 そんな大陸出身の魔族が、このような状況に置かれながらも、死にたくないという命乞いではなく、魔王に命を捧げるという選択をしたのです。わたくしは少し甘く見ていました。まさか魔族にとっての魔王というものが、それほどまでに大きな存在だとは――。


 「……もしも、ここから生きて出られると言ったら、わたくしに協力していただけますか?」

 「うーん……」

 考えるという事は、やはり既にどこかで魔王の糧になってもいいと、そう諦めてしまっているのでしょう。……だからこそわたくしは、この女性を何としても助け出そうと思いました。彼女をシアさんなんかには渡しません。

 ではどうするか。まずは彼女をわたくしたちの味方に付けましょう。そして無事に脱出させるという事をお約束します。これで彼女も未来に希望を持ってくれるはずです。

 「誰にも公言しないという条件付ですが、わたくしの正体を明かします。約束出来ますか?」

 「正体? ……えーっと……はい。誰にも言いません」

 まずは私自身が彼女を、誰にも言わないという言葉を信用いたします。

 「勇者アイシャという方をご存知でしょうか?」

 「はい。ミスヒスの勇者様ですよね」

 「わたくしたちは彼女の仲間です」

 「えっ!?」

 「わたくしも、モーリスさんも、そして……本物の魔王プロトシアも」

 「えっ!? えっ!? ちょっ……えっ!?」

 その後わたくしは時間をかけて彼女に事情を説明いたしました――。


 「本物……なんですね」

 「ええ。だからこそ彼らは教団を作り、ズーの子供を集めた。本物を探すために」

 「……正直なところ、例え相手が魔王様であり、その復活のため……だとしても、死にたくなんてありません。きっとそれは魔族領の方も同じ。今の私に起こっている現実を突きつけられていないから、喜んで命を差し出すって言ってるだけ」

 あと一歩ですね。

 「ならば、どうしますか?」

 「……助けてください。そのためならば私も協力します」

 「ええ、しっかりと承りました。わたくしとあなたと、そしてモーリスさんの三人で、この馬鹿げた計画をぶっ潰し、あの魔王を叱責してやろうではありませんか」

 「ふふっ、面白い方ですね。……ええ! 一泡吹かせてやりましょう!」

 こうしてわたくしたち三人は、ズー教団の壊滅、およびシアさんを心行くまで怒鳴って差し上げる事といたしました。



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