表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/19

第三話 救う変態 その10

「いやあああああああああ高いとこ怖いいいいいいいい!!」

 八階から七階へ続く階段の途中、悲鳴を上げてへたり込む志摩がいた。

 あれから間もなく、空亜の通報により本物の警察が登場した。男たちは警察に任され、空亜たちはこの後事情聴取のために後で警察へ向かうということで、解放された。

「これが、私の答えだよ。志摩君」

 空亜の小さな呟き。いつぞやの、風紀警察の在り方への質問に対する、答え。、

 とりあえずの解決を迎えて、一同はほっと息をついて階段を下り始めた。

 一人で勝手に格好つけて降りはじめてしまった志摩に追いつかねばと早足で降りていると、そこで一人泣き叫ぶ志摩の姿を見つけたのであった。

 隣で警察官が必死に説得をしているが、志摩の足はもう一ミリも動きそうにない。

「志摩君大丈夫!?」

 真っ先に反応したのはゐるだった。目を見開き、慌てて志摩の元へドタバタと駆け寄る。

「ドタバタしないでええええええ崩れおちるうううううううう!!」

 目に涙をためて、志摩は懇願する。

 そんな彼の必死な様子に、ゐるは戸惑いつつも「あ、ごめんね。そこまで気が回らなかったよ」と慎重に歩み寄りながら謝った。

「ああ、いや、すまん。気が抜けたら改めて高さを意識してしまってな」

 志摩は少し平静を取り戻し、恥じるように謝罪を返す。

「……先ほど偉そうにご高説垂れていた人と同じとは、とても思えないくらい無様な姿だね、志摩君」

 腕を組んだ空亜が、悠然と見下ろしながら階段を下りてくる。

「……空亜先輩も大概ですけれどね」

 ブルブルと震える足で、何度も踏み外しそうになりながら降りてくる空亜を、志摩はじとーっと冷たい目で眺めた。

「パンツマン!」

 と、空亜の背中におぶさっていた通が、志摩の姿を発見。嬉々として名を呼び、飛び降りて志摩の元へ駆け寄ってきた。志摩の胸へ、力いっぱいダイブする。

 志摩はそんな通を力いっぱい抱きしめ、頭を柔らかかく撫でた。

「おーおー、通ちゃんは今日も元気いっぱいだなあ。どうだい、パンツマンのヒーローショー、格好良かっただろ?」

「うん! かっこよかった! つうもおっきくなったらパンツマンになる!」

 志摩の胸の中、ゐるはキラキラ輝く目で志摩の顔を見つめる。

「そっか。じゃあ、パンツマンも通ちゃんがおっきくなるまで頑張るよ!」

 ぐっと親指を立て、ウインク。ゐるは「がんばるー!」と両手を上げて喜び、再び志摩に力いっぱい抱きついた。

「パンツマン、肩車してー!」

「えー、でも階段は危ないよ」

「だいじょーぶ! パンツマンさいきょーだから!」

「んー、そうだなー。最強だもんな。よし、肩車してあげよう!」

「やった!」

 バンザイし、いそいそと志摩の後ろへ回る。

 と。

「つ、通、危ないからやめなさい! それと志摩君、通の希望を叶えるふりをして自分の欲望を満たすのはやめなさい!」

 空亜が珍しく狼狽した様子で、スカート姿の通を指さし、強く否定する。その頬は少しだけ紅潮しており、語気は荒い。

 えー、と不満げな通の横で、志摩が空亜に届かないよう、小さく舌打ちした。

「いやいや、空亜先輩、そんな、気にしすぎですよ。俺はただ、通ちゃんを楽しませたくてするだけですから。高さのことなら心配しないでください。この命に代えても、通ちゃんに怪我はさせません」

「嘘をつけ! 君の頬が仄かに上気していることはすでにわかっているんだ! 既に興奮しているじゃないか!」

「アンタの目はサーモグラフィか。まあ、仮にそうだとしても通ちゃんが望んでいる事ですから。通ちゃんが可愛いなら叶えて上げるべきじゃないですか?」

 かたぐるまー! と志摩の肩を掴んで昇ろうとする通を見て、空亜はぐぬぬと歯噛みする。と、

「通ちゃんばっかりずるい! 通ちゃん肩車するならあたしもしてよー!」

 今度は、ゐるが手を挙げて不満を述べた。

「……いや、だって通ちゃんは子供だからいいけど、ゐるは」

「あたしが重いって言うの!?」

「でかくてガタイがよくておっぱいおっきい空亜先輩ならともかく、ゐるはちんちくりんだしおっぱいないからそんな重くねえと思うけど」

「なんかすごい罵倒された感じ!」

「私もなぜか巻き添えを食らったのだけれど、これは実際に肩車させて私の軽さをわからせてやる必要性がありそうだね」

「え、ちょ、まっ」

「志摩君、覚悟はいいね? この階段は通に譲るけれど、その後警察署までは私を肩車していってもらおうか」

「じゃああたしは帰り道ー!」

「無茶言うなって!」

「それじゃあ我は明日の登校の時」

「オレは学校の中ー」

「えー、みんな早いなあ。それなら俺は帰り道でいいよ」

 志摩を置いて、メガネ、リーゼント、イケメンが口々に立候補する。

「お、お前ら……」

 戦々恐々といった様子で腰を抜かす志摩を彼らはニコニコと取り囲んで、言った。

『最強のパンツマン、頑張ってね!』

これでようやく第三話終了です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ