プロローグ 徘徊する変態
本作は第一回オーバーラップ新人賞の一次選考で見事落選の栄冠を勝ち取った小説です。評価シートでは5~25点の枠組みの中で7点という衝撃の評価を得ました。いろいろ反省点の多い本作です。ご感想頂けると嬉しいです。
プロローグ徘徊する変態
生まれ変わったら下着になりたい。
甘く切ないその思い。それはいつから少年の中にあっただろうか。小学校の卒業文集にはすでにその旨の記述があるため、小学生のうちからそう思っていたというのは間違いないだろう。
少年のその願いは年を追うごとに大きくなって行き、高校一年生となった現在では人の下着を見ることだけでなく自分の下着姿を晒すことにも快感を覚えるようになった。
そんなわけで彼は五月某日の午前二時。世の中の多くの人が床に就いてる時間帯に、トランクスのパンツのみを身に着けた状態で街を徘徊していた。
少年は静寂と暗闇に支配された空間をゆったりと、満足げな表情で闊歩する。
梅雨のじっとりとした空気は昼間ならば不快感を呼ぶが、真夜中の時間帯ともなるとむしろその逆。空気に適度な柔らかさをもたらし、より快適な空間を作り出していた。
時折きょろきょろと周囲を見回してはがっかりしたような表情を浮かべる。自分の下着姿を見てくれる人がいないことに落胆を覚えているようだ。立派な露出狂である。
そうして十分ほど歩いていたころだろうか。彼の正面、街灯の奥から一つの人影が近づいてきた。
彼はそれに気づくと歓喜の笑みを浮かべた。自身の姿を見てくれる人が現れたことに、心の中で喜びの声を上げたのだ。と同時に全身をこわばらせる。道路の上にパンツ一丁の姿でいることは紛れもない犯罪行為であり、その姿を見た相手によっては通報される可能性もあるからだ。まさに天国と地獄が隣り合わせの状況である。彼は冷や汗をかき、街灯の向こうを凝視したままその人影に下着姿を見せつけるか物陰に隠れるか考え始めた。
何時間にも思える数瞬後。まだシルエットのはっきりとしないその人影から大きな声が発せられた。
「君! なんて恰好をしているんだ!」
その言葉と同時に彼の瞳に飛び込んできたのは、青のワイシャツに胸のワッペン、そして何より昔の学生のような特徴的な形をした帽子を身に着けた――警察官だった。
「君、ちょっと署まで来てもらっていいかな」
みなさん、野外での露出は犯罪ですのでお気を付けください。by主人公。




