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机をよく見てみると4つの角それぞれに精巧な花の彫刻が施されていた。
「素敵」
思わず蓮華はつぶやいた。
ふと窓の外に目を向けると空を飛ぶ鳥の群れが見えた。
今朝の美人さん、日本人離れというか人間離れした美貌だったな。
もしかして天から派遣された天使さんかしら。
なんだかあり得そうかも。
天使には性別ってあったかしら。
うーん…
そういえば、ずっと目が合っていたんだっけ。
あの時、ボーっとしてたけどあの人どんな表情だった?
うううん
レナが言ってくれたように、見惚れられることなんて日常茶飯事だろうし、気にするのはやめよう。
芸能人だったら、即待ち受けにするのにな…
蓮華が机に腕を組み置き、窓の外を眺めながら黄昏ている様子を見た中学生2人組は「蓮華先輩、絵になるわ」「今日、図書館に来てみてよかった」と言いながら邪魔をするわけにはいかないという共通認識によってその場を離れたのだが、蓮華はもちろんそれに全く気付かなかったのであった。