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有名侯爵騎士一族に転生したので実力を隠して親のスネかじって生きていこうとしたら魔法学園へ追放されちゃった  作者: すずと
三章

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第80話 三章エピローグ~ともに生きる~

「マスター。起きて」


 その声で目が覚める。視界にはツインテールにメイド服を着たウルティム──セレス・アルバートがいた。


 どうやら彼女が勝手に俺の寮の部屋に侵入し、起こしてくれたらしい。


「おはよう、マスター」


「ふぁーぁ……おはよーさん……」


 大きな欠伸をかましながら挨拶を返す。


 ウルティムの──セレス・アルバートの真実を暴いてから数日が経過していた。


 生きることを決意した彼女は最近、一人で俺の面倒をみてくれる。


「そういやウルティム──いや、セレス……?」


 どう呼べば良いかわからずにいると、彼女は苦笑いを浮かべる。


「今まで通り、ウルティムって呼んでよ」


「そっちの方が気に入ってるのか?」


「違う違う。この時代、歴史に勇者の記録ってのはほとんど残っていないみたいだね。でも。もしかしたら知っている人間もいるかもしれないでしょ。そうだったら色々面倒だし。だったらウルティムとして生きる方が良いと思ってね」


 確かに、この時代に勇者ってのはおとぎ話扱いされている。名前なんてその話毎に別物になっている。性別もだ。だけど、ヴァンパイアみたいに本物の勇者を知っている奴もいるかもしれない。本名がバレたからなんだという話ではあるが、面倒事が少しでも減るなら違う名前を語った方が良いってことか。


「そういや、世界最悪の剣、ウルティムってのはどっから流れた噂なんだ?」


「ぼくに処刑を言い渡した奴が世界最悪の剣なんて痛い二つ名を付けてきたんだよね。それと、ぼくの決め技のウルティムを混ぜてそう後世に継がれていったのかも。封印されている間にそうなっちゃってるから仮説になっちゃうけど」


 でもまぁ、なんて彼女が笑う。


「偽名を考えなくて良いのは楽でいいね」


 元勇者様はなんとも楽観的な考えなこって。


「そんな元勇者様は、なんで俺なんかをマスター呼びするんだよ」


「うーん……ぼくの封印を解いてくれたからとか?」


「疑問形なの?」


「あはは……あの時って寝起きだったんだもん」


「封印が解けたあとは寝起きと呼べるのか?」


「呼ぶのー。それに記憶もなかったから、起こしてくれた人をマスターって思っちゃったんだね、きっと」


「ほんじゃ、記憶も戻ったんだし、もう俺をマスター呼びする必要も、メイドになる必要もないんじゃない?」


「えー、なんでぇ? ぼくのメイドは不満かぁ?」


「元勇者でお姫様だった人間がメイドなんて恐れ多いんだよ」


「またまたぁ。現役双子お姫様をメイドにしてるやばい性癖の人間のくせにぃ。もう一人増えたところで変わんないじゃん」


「おめぇは勇者っていうえげつない属性持ちだからどう接して良いかわっかんねぇんだよ」


「メイドとして接すれば良いよ。ほら、モーニングティーを入れたよ。起きた、起きた」


 会話をしている最中にウルティムがお茶を淹れてくれくたみた。ベッドから起き上がり、テーブルのいつもの席に着席する。


「いただきます──ぶっはっ!!」


「ちょっとマスター。いくらメイドだからって、顔面に口を含んだものをかけるなんてさ、なんでもかんでもして良いってわけじゃないよ」


「おまっ、これ──んじゃこれ!?」


「お茶これ」


「じゃかましい!! 普通味覚っておいしいとかまずいだろうがっ!! これ、いてぇんだよ!!」


「そんなわけ──ぶっはっ!!」


「おいメイド。いくら元勇者だからって、顔面に口を含んだものをかけるなんてプレイをして良いってわけじゃねぇぞ」


「なにこれ、いったぁ!!」


「さっきから言ってるだろ」


「おかしいな。マリンに教えてもらった通りにやったはずなのに」


「何年前の話?」


「数百年前の話」


「老婆なの?」


「んだと、ごらあああ!!」


「ノリはフーラと同じ、流石アルバートの一族」


「おかしい。アルバートの一族は完璧なはずなのに、フーラみたいないじられ姫と同じなんて納得できない」


 いなくてもいじられるフーラ。お前、本当に愛されているな。


「完璧と言えばヴィエルジュだけど、そういやヴィエルジュのやつ、最近俺の部屋に来ないな」


「さっきマスターの部屋に行く途中で見かけたけど、もう学園に向かっていたよ。マスターの部屋に行かないの? って聞いたらちょっと苦しそうな顔をしてた」


「あの子も病み上がりだしな。無理してなかったら良いけど」


 それにしてももう学園に向かったのか。早いねぇ。病み上がりでも優等生ってわけか。でも、いつもなら風邪引いてても来そうなもんだけどな。


「フーラも、もう体調は戻ったのかな?」


 バンっと開く俺の部屋の扉。


「ばっちり全快、フーラちゃん、参上☆」


 俺達の会話でも聞こえていたのか、制服姿のフーラが部屋に乱入してくる。


「これがぼくの子孫だと考えると頭が痛いね」


「んだと、ごらあああああああ!!」


 本場の、んだと、ごらあああああああ!! を頂きました。流石はフーラ。ウルティムより“あ”の文字が多いのが特徴だね。


「もうすっかり元気みたいだな、フーラ」


「うん♪ 今日から学園に行けるよ。だから、さっさと行くよ、三人とも──」


 そう言うと、フーラがキョロキョロと周りを見る。


「あれ? ヴィエルジュは?」


「来てないぞ」


「もう学園に行ったよ」


「なんで?」


「なんでって……」


「フーラと違って完璧だからでしょ」


「誰が完璧じゃないって?」


 スッと指をウルティムがフーラを指差した。


「おい、私はアルバート第一王女だぞ」


 いきなり王族マウントが始まった。


「ぼくは元アルバート第二王女──くっ、権力はフーラの方が上、だね」


 あ、ウルティムが屈した。


「でもでも、ぼくの方が年上だよっ!!」


「確かに超絶お姉様になるんだろけど、わたしの家に居候してるよね?」


「まごうことなき真実──権力はフーラの方が上、だね」


「さっきから喧嘩を仕掛けてくる割に折れるの早くない?」


 フーラの呆れた声のあと、ウルティムが胸を張る。


「ぼくの方が大きいっ!!」


「ぐはっ!!」


 フーラはその場で瀕死した。


「はーっはっはっ!! 貧乳、貧乳!!」


 勇者なのに魔王のような笑い方。


「うう……私は、私は諦めない──成長期という可能性にかけて、私は──!!」


 勇気ある撤退。フーラはその場を逃げ出した。


 あの子はなにしに来たんだ。


 まぁ、元気になった姿を見れて良かったよ。


「ねぇ、マスター。生きるって楽しいね」


 そうやって言ってのけるウルティムは、心底幸せそうに微笑んだ。


「そうだな」


「これからも一緒に生きようね」


「もちろんだ」




 これにて三章も終了となりました。

 いかがでしたでしょうか?

 この三章、と言いますか、一章、二章、三章と合わせて第一部『完』って感じですね。

 第一部、一章ではロイヤルチートメイドな双子姫を中心としたお話から始まり、二章では剣術大会、ウルティムの初登場、メイド三銃士の爆誕、三章ではウルティムやリオンくんの真実が暴かれましたね。いやー、初期設定と随分ちげぇや(遠い目)でも、うん、こっちの方が好きだね、わたしぁ。

 次は四章とするか、第二部一章として開始するか……うぬぬ……悩んでおります……w

 ま、ままま、まぁね、一旦、第一部が完結したのでヨシ!!

 

 ここまで書いてこれたのも、読者のみなさまのおかげです。いや、ほんと、読んでもらえるだけでモチベアップですよ。本当にありがとうございます。あ、ついでにブクマ、評価の方も、ね、よろしくお願いしますよぉ(ゲス顔)


 では新章でお会いしましょう。またねぇ。

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