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妖怪百物語  作者: keikato
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1697/1697

1697 福鼠1

 福鼠は江戸時代後期、木室卯雲(ぼううん)の『奇異珍事録』に次のような話があります。

 今、数寄屋組頭を務める横井松柏は我らの狂歌仲間である。

 その松柏の祖父は西林といって、以下はその祖父の横井西林の体験談である。

 寛永年中のある正月。

 西林は居間に薄い松の板で神棚を作った。

 すると夜になると、どこからか銭を咥えた鼠が来るようになった。

 鼠は銭を神棚に置くとどこかへ行ってしまう。

 その後。

 毎夜、鼠はチュウチュウ鳴いてやってきた。

 それも一匹ではなく数匹で来て、それがすべて銭を置いていく。

 やがて銭の重さで板が傾いてきたので釣り木をつけて固定した。

 すると、鼠は姿を見せなくなったという。

 今は福がチュウダンチュウです。


・チュウダンチュウ=中断中

・宝永年間=1704年~1711年

・木室卯雲(きむろぼううん・1714~1813・旗本、戯作者)

・『奇異珍事録』(きいちんじろく)


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