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妖怪百物語  作者: keikato
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1683/1754

1683 沢女

 沢女という妖怪がおります。

 沢に火を投げ込むと沢女の祟りがあるといわれ、これは埼玉県に次のような話が伝わっています。

 その昔。

 秩父に次平という炭焼きがおりました。

 次平の炭窯は山奥の沢のほとりにあり、一度に八十俵ほど焼ける大窯でした。

 ある日。

 次平が火のついた枝を沢に放り込むと、「ぴちゃ、ぴちゃ」と音がして、沢の方から顔のない女が歩いてきました。

 女は「寒かんべえ、寒かんべえ」と言いながら近づいてきて、次平の顔に手を当てました。

 すると次平は、とたんに気を失って倒れてしまいました。

 その夜。

 次平が目を覚ますと窯の火は消えており、一年分の炭が燃えてしまっていたといいます。

 一夜にしてすべてが灰になりました。


・灰になる=築きあげたものなどが何の価値もないものになる

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