出発
3日後。
「皆さん、いますね」
俺はクラスの生徒全員を連れて、王都の外れにある平原に来ていた。
全員といっても、Sクラスはもともと20人しかいないのだが。
ここまでは馬車3台(8人乗り)できた。
「さて、ここからはこれで行くので乗ってくださ~い」
巻き起こる風の中少し大きめの声で俺は全員に声をかける。
またもや皆唖然とし、動かない。よくフリーズする子達だ。
生徒達を待っていたのは、巨大な飛行船だった。
「せせせ、先生!?これどうしたんですか!?」
この2日で、もう生徒のほとんどが俺のことを先生と呼ぶようになった。
但し、まだアソロさんだけは、俺のことを「先生」とは1回も呼んでいない。
しかし、初めの日よりは頑なな態度を取らなくなっている・・様な気がする。
「本来飛行船は、王族と一部の貴族以外は乗れません。但し、今日は特別に授業のためにと、お借りしました。乗ってくださ~い」
「すっげ~」「やった~~~~」「キャー」
騒ぐ生徒達。
タラップを登り、皆が乗ったのを確認する。
飛行船の内部は、王侯貴族が使用する乗り物だけあった、床にはビロードの赤い絨毯が敷き詰められ、天井にはシャンデリア。冷やされたワインや、果物の置かれたガラスの机にフカフカのソファーもある。
好きにしてください。というと、気兼ねなく思い思いの場所に腰を下ろす生徒達。
「発進しますね~」
「「「えっ!?」」」
皆が唖然となる。
それはそうかも知れない。なにせ操縦席に座って舵を握ったのが、俺。
「チョット待ってください!?先生が操縦するんですか!?他の方は??」
緑のショートヘアーのナルカさんが言う。
「私が操縦しますよ?他には誰もいません」
「嘘でしょ?私降ります!」
と、アソロさんだ。
「降りるといっても……、実は、もう飛んでますよ?」
窓から見える外の景色は、すでに雲の高さまで達していた。
皆が乗ったのを確認し、タラップを上げて直ぐに、地面とのロープをスイッチで切っていたから、自然に上空に昇って来ていたのだ。
「大丈夫ですよ。これでも何回も運転していますから(無断で借りて遊んでた)」
皆、四方の窓にへばりつき、生まれて始めてみる空からの景色に目を奪われている。
「すっげ~」「きれ~」「たか~い」「街があんなに小さく」
「ところで先生。どこいくんすか?」
落ち着いてきたのか、茶髪のバーンズ君が質問してくる。
「秘密です」
それから1時間は何事もなく過ぎ、高度計は今、6千フィート(約2km)を指している。
操縦席から後ろの生徒をみると、先程用意した毛布を出して、皆包まっている。
「先生~まだ着かないんですか~?」
この声は赤髪のミリアさんだ。
「もう見えてきましたよ」
生徒達が皆集まってくる。
「何処ですか?先生」
俺は前方を指指す。
それは、王冠のようにも見える円形に並んだ七つのとがった山であり、その真ん中から上空に立ち昇る雲、いや、巨大な竜巻だった。




