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重箱の隅をつつく

 時刻表を見てると、

「これ、おかしいんじゃないの?」

 と思うところがある。


 例えば、訂正表。

「本文締め切り後、下記のような変更がありましたので、お手数ですが訂正の上ご利用くださるようお願いします」

 とある。それはいい。

 おかしいのは、その掲載ページだ。

 黄色のページ、「10月1日発 夜行特急・急行列車の時刻表」の最後のページ下欄に、実に細かい字で書かれている。

 こんなところ、誰が見るか。

 しかも目次には、訂正表の記載がない。

 時刻表本文記載をあてにして、「あれ?」と思うようなことがあったかもしれない。


 同じ黄色のページには、「10月2日 全国ダイヤ改正のあらまし」が掲載されている。

 その真ん中あたりに、以下記述がある。


 特急の「あいづ」、「とき」、「はくたか」、「白山」、「くろしお」については食堂車の連結をとりやめ、代りに普通車両が増結され、座席数が多くなります。


 昭和53年9月までは、これらにも食堂車がついていたのか漠然と思ったが、その後、改正直前の時刻表を見る機会があった。「とき」と「白山」には改正前から食堂車連結の列車はない。

 当時、この記事の反響は大きかったのではないかと推察する。

 前述の「訂正表」にはこれに関する「訂正記事」はない。


 時刻表の掲載列車の並びは、ページの左から時刻の早い順に並べるのが原則だ。

 東海道本線下りの場合、最左列にあるのは、武豊5時37分発921Dで、大府駅を6時11分に出て名古屋駅に6時39分に着く。これより早い時刻に走る列車はない。

 大府を次に出るのは、921Dの右隣りに記載の6時56分発525Mであり、その次は525Mの右隣り記載の7時14分発の925Dである。925Dの掲載位置が525Mの左に来ることはない。


 しかし、時刻表に掲載されている列車には、普通もあれば、急行もある。

 先発した普通が、後発の急行に抜かれると、時刻表の前述の原則が、途中駅からは崩れることとなる。

 東海道本線下りで言えば、323Mは東京5時45分発で、後続の急行「東海51号」が同6時発なので、323Mは「東海51号」より左側に記される。が、途中で「東海51号」に抜かれるため、小田原駅では323Mが後発なのに左側に記されていることとなる。

「東海51号」で小田原まで行き、そこで普通列車に乗り継ぎたい人が時刻表を見たとしよう。乗り継ぎ列車は当然「東海51号」の右側に書かれていると思うから、そこだけ見ると、小田原8時34分着の接続列車は8時55分発の721Mまで20分ほど待たねばならないと認識する。

 実際は途中で抜いた323Mが8時39分に接続するので、すぐに乗り換えることができるわけだが、印刷物の時刻表表現の限界であろう。


 長々と書いたけれども、以上は表現上の限界の話であって、おかしいわけではない。

 ところが、中には明らかに掲載順が違うだろうというところがある。


 湖西線・北陸本線下りのページ。

 特急「白鳥」の大阪発は10時18分である。

 そのみっつ右隣には、大阪発10時5分のエル特急「雷鳥9号」がある。

 特急「白鳥」の左隣りには、名古屋発のエル特急「しらさぎ3号」がある。「しらさぎ3号」の敦賀発は11時53分、「白鳥」の敦賀発は12時1分、「雷鳥9号」の敦賀発は11時47分だから、この並びは明らかにおかしい。

 ふつうに時刻表を眺めていれば、大阪9時5分発のエル特急「雷鳥7号」を逃すと、次は10時18分発の「白鳥」までないと見てしまう。


 時刻表には、エル特急、寝台特急、グリーン車、食堂車など、ひと目でそれとわかるように記号がつく。

 そのひとつに、寝台急行の記号がある。

 東京―大阪間の「銀河」、上野―秋田間の「天の川」、上野―仙台間の「新星」など、編成すべてが寝台車で占められる急行列車に、この記号がつけられる。

 夜行の急行列車には寝台車と座席車が併結された列車が多々あったが、これらには寝台急行の記号がつけられず、単に急行として取り扱われていた。「天の川」と同じ上野―秋田間を走る「鳥海」は、寝台車の他に、座席車が多数連結されていたため、寝台急行の記号はない。


 大阪から福知山線経由で山陰を結ぶ急行「だいせん」には、寝台車つきの夜行列車が1往復あった。編成は座席指定席車が3両、寝台車が6両の9両編成である。時刻表本文では、これに寝台急行の記号がつけられていた。もっとも、列車編成表では、ただの急行扱いであった。

 上野から常磐線経由で青森を結ぶ急行「十和田」にも、寝台車つきが1往復あった。編成は座席車3両、寝台車8両で、寝台車のうち1両はA寝台である。こちらは本文、編成表いずれもただの急行扱い。

 札幌と釧路を結ぶ急行「狩勝」の夜行便は、座席指定席車2両にグリーン車1両、A寝台1両、B寝台6両であるか、こちらも寝台急行の称号を与えられていない。

 寝台車付き「だいせん」の寝台急行扱いは、よくわからない。


 時刻表では駅に明確な格付けがあった。

 仮に1級、2級と順序付けするなら、1級は東京駅、新宿駅、上野駅の3駅である。列車入線時刻と発車番線まで明記されている。

 2級は大阪駅と新大阪駅で、発車番線がわかる。ただし、大阪駅の福知山線、新大阪駅の在来線にはその情報はない。

 3級は名古屋駅、京都駅、岡山駅、広島駅、小倉駅、博多駅、仙台駅、青森駅、函館駅で、上記1、2級の駅ともども、ピンクのページに構内案内図が付与されている。

 4級は発着時刻が記載された駅。数はぐっと増える。東海道本線では、小田原駅、熱海駅、沼津駅、富士駅、静岡駅、浜松駅、豊橋駅、大府駅、岐阜駅、大垣駅、米原駅、草津駅が該当する。

 5級は発車時刻もしくは到着時刻のいずれかのみ記載された駅のうち、太字で記載された駅。東海道本線では、横浜駅、神戸駅が対象になる。

 6級はそれ以外のすべての駅。


 概ね主要駅ほど格上の扱いではあるが、中には違和感を感じる駅もある。

 3級の青森駅と函館駅は青函航路船の関係であろうが、渡道手段がほぼ航空機に移行した中で、この扱いは鉄道の意地なのか郷愁なのか憐憫なのか過信なのか。構内案内図なら札幌駅を用意してもらっていたほうがよほどいいような気がする。

 6級駅はその他諸々ながら、中には特急が停まるような駅もある。例えば、東海道本線の三ノ宮駅。言わずと知れた神戸の代表駅だが、時刻表の扱いはその他諸々の一でしかない。例えば、山陽本線の倉敷駅。新幹線の停まる新倉敷駅は5級だが、駅の大きさから言えば、倉敷駅の比ではなかろう。


 以上、重箱の隅をつついてみた。






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