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大天使、悪魔のお見合いを阻止せよ!?〜地獄の王がお見合いを断ろうとしたら、大天使に婚約者が爆誕!〜  作者: 久茉莉himari


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4/10

【4】泳いで戻ったら、結婚前提でした。〜セレニス州・深夜二時〜

それから四時間後――。


ルシアンは、ずぶ濡れの柄on柄のスーツ姿のまま、

普段と変わらぬ無表情でヴィラのリビングへ戻って来た。

全身から滴る水が、床に静かに落ちていく。


アンジュの姿が見えず、ルシアンはハッとして声を上げる。


「アンジュさまは!?」


焦りの滲む声に、ロクシーが淡々と答えた。


「今、何時だと思ってんの?

空を見て。暗いでしょ?

アンジュちゃんはディナー前のシャワーよ。

ルシアンも隣のヴィラに行って、シャワー浴びて着替えれば?」


「隣、とは?」


一瞬、空気が止まる。


ロクシーはパソコンから顔を上げ、

呆れを含んだ視線で、ルシアンを真っ直ぐに見据えた。


「私とルチアーノが一緒に泊まると思う?

ルシアンも、ルチアーノのところに行きなよ。

……まさか、女子二人の部屋に居続ける気?」


「……失礼!」


そう言い残し、ルシアンは足早に玄関へと向かった。




隣のヴィラ。


メインリビングの明かりもついていない中、

ルチアーノはソファに沈み込み、しょんぼりと座っていた。


ルシアンが静かにスイッチを入れると、

眩い光がリビングを満たす。


ずぶ濡れのルシアンをちらりと見て、

ルチアーノはぽつりと呟いた。


「……ルシアン……

俺様たちのズッ友の証を、ロクシー先生に駄目だと言われた」


ルシアンは前髪から水滴を落としながら、淡々と尋ねる。


「ズッ友の証とは何だ?」


「んーもうー!!」


ルチアーノはソファの上で、ばたばたと身をよじらせた。


「ルシアンが初めてお父様に会う時……

ルシアンと俺様は、お揃いのスーツにしたい!って

ロクシー先生に訴えたんだ……!

だってズッ友って、そういうもんだろ!?

人生の節目でお揃いになるロマン……!」


一息ついて、肩を落とす。


「それなのに……駄目だってさ……。

脚本家って、時に非情だよな……。

ロマンさえ、切り捨てるのさ……」


――意味が分からない。


ルシアンは何も言わず、シャワールームへと向かった。





そうして――

「デザートよ。今すぐ、私たちのヴィラに集合」


ロクシーから届いた簡潔なスマホメッセージを受け取り、

ルシアンとルチアーノは隣のヴィラへと向かった。


二人がメインリビングに入ると、

テーブルの上には色とりどりのスイーツがずらりと並び、

その向こうのソファにはアンジュが座っていた。


アンジュは二人の姿を認めると、にっこりと笑う。


「二人とも、夕食は済ませたか?

ルシアンは随分と泳いでいたから、お腹が空いたであろう?」


「済ませたよん♪

そしてデザートは別腹❤️」


ルチアーノがそう言った瞬間――


「……うるさい」


ロクシーの肘鉄が、容赦なくルチアーノの脇腹に突き刺さった。


「ぐふっ……!」


そのままルチアーノは床にうずくまり、

アンジュは「???」と首を傾げる。


ルシアンは一言だけ、静かに答えた。


「ええ」


するとアンジュはミルクティーを一口飲み、

カップをソーサーに置くと、胸を張って高らかに宣言した。


「ルシアンよ!

私はお前の“結婚を前提とした恋人役”をやるぞ!」


その瞬間――

空気が、ぴたりと止まった。


「えぇ!?」


ルチアーノの叫びが響く一方で、

ルシアンは文字通り、ビシッと固まった。


しかしアンジュは二人の様子など気にも留めず、続ける。


「ロクシーから聞いたのだ。

ルチアーノの父親とは、アフタヌーンティーの時間に会うのであろう?

その間、私はルシアンの隣でデザートを食べていれば良いと」


そして、迷いのない声音で言い切った。


「ならば、やろう!」


ルチアーノが慌てて口を開こうとした、その瞬間――

ロクシーの鋭い視線が、一直線に突き刺さる。


「…………」


ルチアーノは背筋を正し、

反射的に深々と頭を下げた。


「……ありがとう!アンジュちゃん!」


一方のルシアンは――

まるで思考を完全に停止したかのように。


石像のように、

ただその場に立ち尽くしていた。





深夜二時――


ロクシーは自分のベッドルームから、タブレット越しにルチアーノとルシアンを相手にビデオ通話をしていた。


「ロクシー先生!

アンジュちゃんに何と言って承諾を得たのか、お聞かせ下さいッ!」


ルチアーノが勢いよく頭を下げる。

一拍遅れて、ルシアンも静かに頭を下げた。


ロクシーは余裕たっぷりの笑みを浮かべる。


「夕食の時に、さり気な〜く聞いただけだよ」


ルチアーノが息を呑む。


ロクシーの瞳が、いたずらっぽく光った。


「アンジュちゃんさ、語学堪能でしょ?

私がイレイナに叩き込んでもらった言語、全部できるの。

……っていうか、それ以上」


ルチアーノがごくりと喉を鳴らす。

ルシアンの無表情が、ほんのわずかに揺れた。


「食事も会話のマナーも完璧。

上流階級の振る舞いも、何も教えなくていいレベル。

だから、こう言ったの」


「な、何をでございますか……!?」


ルチアーノの声が裏返る。


ロクシーは指を一本立てた。


「アンジュちゃんはね、ルシアンの隣でデザートを食べて、

気が向いたらルチアーノのお父さんに微笑んで、

相槌を打ってあげるだけでいいって」


一拍。


「それだけで“結婚を前提とした恋人役”としては完璧だから、って」


「ロクシー先生……天才ですか!?」


目を潤ませて感動するルチアーノに向かって、

ロクシーは焦らすように人差し指を左右に振った。


「それだけなわけ、ないでしょ」


含み笑い。


「各国の一流スイーツ、食べ放題だよって言ったの!」


「ロクシー先生〜!!

やっぱり天才でありますッ!!」


ルチアーノは特大クラッカーを鳴らし、

どこから取り出したのか、薔薇の花びらを盛大に散らした。


ロクシーは満足そうに頷く。


その画面の端で――


ルシアンは一言も発さず、

膝の上で固く組んだ指先を見つめたまま、

深く、静かに項垂れていた。

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

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