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アタシの愛美に手を出すな!〜百合子が初恋した話〜  作者: 碧木美月


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44/60

44.勘違いロマンス



キーンコーンカーンコーン♪(下校の時間っ)



よっし、今日も1日終わったぜ(背伸びっ)

さあ帰るぞ〜!



「お疲れ様。また明日ね、百合ちゃん」

「おう、じゃあな」



さてさて。

それでは本日の締めくくり。


愛美お嬢様をコッソリ校門までお見送りだ〜!




ササッ、サササッーー(百合子、機敏な動きで愛美を後方から見守りっ)




ふむふむ。

今のトコロ異状なしだな。


……んっ?




コロコロコロッ(グラウンドを歩く愛美の前に、ボールが転がりっ)




あれは、テニスボール……。

練習用コートから転がってきたのか?




ヒョイッ(愛美、ボールを拾いっ)




あっ、愛美がボールを拾ってあげた!

っさしいぃ〜!(キュン⭐︎)



「ごめん、ありがとう!(テニス部の男子部員、愛美のもとに駆け寄りっ)」

「あ、いえ……はい、どうぞ(愛美、深い意味もなく微笑みっ)」

「っっっーー⁉︎ あ、あり、がとう……」




……ひゃ。




ひゃあぁぁっっっっっっーー!




ま、愛美が優しく微笑みながらボールを渡したあっ!




そして!


その「微笑みバズーカ」をくらったテニス部の男子部員が、頬を赤らめたぁぁぁ!




な、なんてことだ……!


これはもう、完全に恋の弾丸スマッシュを決められたこと確定だ!


わ、わるくない……。

愛美はなにもわるくない。




だが、しかしーー!




そんな天使すぎる「微笑みバズーカ」をぶっぱなされたら、誰もが一瞬で恋に落ちてしまうんだよ〜!


ああっ、このあとメンドくさい展開にならなきゃイイけど……(ソワソワっ)




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(翌日、下校の時間っ)




「じゃあね、百合ちゃん。また明日」

「おう、お疲れ」



よし、今日も愛美をコッソリお見送りだ。

レッツラゴ〜!




ササッ、サササッーー(百合子、機敏な動きで愛美を後方から見守りっ)




うむ、今のトコロ異状なしだな。


……って、んっ?




コロコロコロッ(昨日と同様、グラウンドを歩く愛美の前にボールが転がりっ)




あれは……テニスボール。


またしても、テニスボール。


ぐ、偶然なのか?

昨日と全く同じ展開だぞ。




ヒョイッ(愛美、ボールを拾いっ)




ま、まあ……そうですよね。

優しき大天使、愛美ならボールを拾いますよね。




……って。


待て。


ちょっと、待て。


向こうからやって来る、あの男子。


あれは。


あのテニス部野郎は……!




これまた、昨日と全く同じヤツじゃないかぁーー⁉︎




「ごめん、ありがとう! あ、あれ? 君は確か昨日の……(愛美に駆け寄った男子部員、モジモジっ)

「えっ? ああ…………えっ?(愛美、男子部員の顔をよく覚えておらず『誰?』的な表情っ)




ひゃあぁぁ!

テニス部野郎が、なんかモジモジしてるぅぅぅ!




こ、これはイカん!

案の定、昨日の「微笑みバズーカ」をくらって愛美に恋をしてしまったんだ!


まさかコイツ、なんか変なチョッカイを出すつもりじゃねえだろうな⁉︎


   

よし、今すぐ2人の会話を聞き取ってやるぜ!






百合子・ボイス・キャッチーー!(※注 説明しよう! 百合子は愛美への溢れるLOVEエネルギーを耳に一点集中させることで、爆発的に聴力を引き上げることができるのだ! これにより、遠く離れた場所で行われる小さな会話も楽勝で拾うことが可能だ!)





「とりあえず、コレ、どうぞ……(愛美、ボールを男子部員に渡しっ)」

「あ、ありがとう(照れっ)」

「じゃあ……」

「あっ! ま、待って!」



ピクッーー!



あぁぁんっ⁉︎

なんで待たなきゃイケねえんだ!

気安く愛美を呼び止めんじゃねえ!



「な、なんでしょう……?」

「あの、その……もっと、キチンとお礼が言いたいんだ。名前をいてもイイかな?」




ブゥッチィィィンッッッッッッーー!




フザけんじゃねえぞ、この野郎っ!


キチンとしたお礼を言うのに、なんで名前まで知る必要があるんだ⁉︎




「あ……えっと、普通科1年A組の、凛咲愛美です」




ダアァァァッッッーー!




だ、だから、なんでそんなに個人情報を出血大サービスしちゃうのぉぉぉ!


爆裂フェロモン・エレガント野郎の時もそうだったけど、訊かれてない部分まで教えちゃダメだよ〜!(※第37話参照)



「凛咲、愛美さん……ありがとう、凛咲さん!(男子部員、超絶嬉しそうにニコッ)」

「は、はぁ……(愛美、リアクションに困りつつ立ち去りっ)」



こ、これはマズいぞ。

あのテニス部野郎、かなり真面目でピュアそうな感じがダダ漏れしてた。



つまり。



恋愛不器用ツンデレ野郎と同じ匂いがプンプンするってことだーー!(※第26〜27話参照)


あの手のタイプは、いったん恋に火がつくと1人で突っ走る可能性が高い!


今日だって、おそらくワザと愛美の前にボールを転がしてきたに違いないぞ!


昨日と同じ手口で接触を図るトコロなんて、ホントに恋愛不器用ツンデレ野郎と似てるぜ……。



これは、もう。


明日の展開が目に浮かびますな……。




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(翌日、下校の時間っ)




「それじゃあ、また明日ね、百合ちゃん」

「おう、またな」



……さて。


それではコッソリお見送りなのだが。

今日もきっと……いや、必ず現れるだろう。


()()()()ーー。




コロコロコロッ(3日連続で、グラウンドを歩く愛美の前にテニスボールが転がりっ)




ほ〜ら。


な?


そして、そのボールを追って登場するのが……。




「っ……(愛美、3日連続の同じ展開に困惑しながらもボールを拾いっ)」

「ごめん、ありがとう! あっ……凛咲さん⁉︎」



はい、毎度おなじみテニス部野郎〜(苦笑っ)



はあぁぁ……。

今日はいったいどんな作戦を立ててきたんだ?


とりま。






百合子・ボイス・キャッチ、発動っーー!






「ぐ、偶然だね、3日連続で会うなんて」

「は、はぁ……」



ちっ!


なにが偶然だ、しらじらしくほざきやがって!

愛美が超絶に戸惑ってるじゃねえか!



「よかった。実は昨日、伝えそびれたことがあって」

「……え?」



あん?

伝えそびれたことだと?

いったいなにを……。



……いや。


つーか。


待って。


それって。


もしかして。


それって、もしかして……!






まさか、愛の告白っっっっっっーー⁉︎






あ、あり得ないっ。

通常なら絶対にあり得ないっ。



だが、しかし!



ああいう恋愛に慣れてなさそうな真面目キャラは、暴走したらなにをしでかすかわからない!



「あの……昨日、俺の名前を伝えてなかったよね?」

「へっ?」

「オレ、づな すみっていいます……ヨロシク」

「は、はぇ……(愛美、リアクションに困りながら伊地綱くんにボールを渡しっ)」




しょ。



しょうもなさすぎるぅぅぅーー!



お前の名前とか、誰も知りたかねえわっ!!!



しかも、ヨロシクってなんだ⁉︎

勝手に愛美となにかヨロシクしようとすんじゃねえ!



「じゃ、じゃあ、また(伊地綱くん、立ち去りっ)」




はい、はい、はい……。


なるほどね。


そうですか。


そういう感じですか。




わかったぜ、お前の魂胆こんたんがっーー!




今日は名前だけ伝えといて、明日は学年を伝えるとかするつもりだろっ!


そんでもって。


その次は所属科!


その次はクラス!


そうやって、ワザと刻んで伝えることで愛美と接触する機会を確保するつもりなんだっ!



そうーー!


そんな、お前の正体は!






キッカケ小出し激ウザ野郎だぁぁぁーー!!!






……だが。


正体がバレた今、もはやお前の恋はゲームセットだ。

それも、ポイント0のラブゲームでなーー!




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(翌日、下校の時間っ)




「じゃあ……またね、百合ちゃん」

「ああ、お疲れ」



愛美、どことなく浮かない感じだったな。


そりゃそうだ。


これからまた、キッカケ小出し激ウザ野郎のスマッシュが打ち込まれるとわかってんだから。



だが、安心しろ。



そんな激ウザスマッシュなんぞ、このアタシが完膚かんぷなきまでに打ち返してやるぜーー!




コロコロコロッ(グラウンドを歩く愛美の前に、テニスボールが転がりっ)




「ごめん、ごめ〜ん。あ、凛咲さん!(伊地綱くん、愛美のもとへ駆け寄りっ)」

「…………(愛美、顔を歪めながら立ち尽くしっ)」

「り、凛咲さん?(あれ……? なんで、今日はボールを拾ってくれないんだろ)」




シ〜ン…………。




「っ…………(愛美、沈黙に耐えきれずボールを拾おうと手を伸ばしっ)」






パッーー(何者かが愛美より先にボールを拾いっ)





「……ほらよ」

「へっ……?(愛美&伊地綱くん、ボールを拾った何者かのほうに顔を向けっ)」






ドォォォンッッッッッッーー!!!(そこに、ボールを持った百合子が仁王立ちっ)






「ひっ、ひいぃぃぃ! まっ、松城はぁぁんっっっ⁉︎(※注 衝撃のあまり、伊地綱くんの言語回路は一瞬ナゾの関西経由を果たしました)

「ゆ、百合ちゃん……?」

「毎日ボール拾いが必要ならやってやろうか……? アタシがっっっーー!!!(眼力ドォォォン!)」

「はわわぁぁぁっっっ! だ、大丈夫ですぅぅぅ!」

「とりあえず。このボール、さっさと受け取れっ!」

「は、はひぃぃぃ!(伊地綱くん、ふるえる手でボールを受け取りっ)」



よし、とりあえずビビらせ完了。


続けて仕上げといきますか!(百合子、愛美のほうに顔を向けっ)



「おい、こんなトコロで油売っててイイのか?」

「あ、油……?(愛美、キョトン)」

「このあと、()()()なんだろ?」

「デ、デート……⁉︎(伊地綱くん、愕然がくぜんっ)」

「モタモタしてっと遅れるぞ」

「えっ? ああ〜、う、うん……(愛美、身に覚えのない話に小首をかしげながらもうなずきっ)」

「じゃあ、もういくぞ」

「う、うん……」




ポカ〜ン……(取り残された伊地綱くん、呆然っ)




「か、彼氏いたんだ……凛咲さん(ガックシっ)」




ふう。

ミッションコンプリート。


恋愛暴走モード中のヤツを諦めさせるには、すでに恋人ありという設定が1番手っ取り早い。



……でも。



突然あんなウソをついて、愛美もビックリしたよな。


とっさに合わせてくれたけど、驚かせちまったことは謝らねえと……(百合子、校門を出たトコロで足を止めっ)



「……なあ」

「なに? 百合ちゃん」

「さっきはすまなかったな、変なこと言って」

「……なんの、こと?」

「いや、その……デートがあるとか、どうのとか。たぶん、誰かほかのヤツのことと勘違いしただけだから気にすんな」

「…………」



あ、あれ?

なに、この沈黙……。


やっぱ、こんな見え透いた取り繕い方ではウソってバレバレだったかなーー(ドキドキっ)



「……誰のことと、勘違いしてるの?」

「えっ?」

「私は、ちゃんと覚えてるよ。デートの約束」




ひ。



ひえぇぇっっっっっっーー!!!



ホ、ホントにデートの約束があるのぉぉぉ⁉︎



だだっ、誰とっ?



それ、誰とぉぉぉっっっーー⁉︎




「そ、そうなの……? ち、ちなみに、それは、どこの、どちら様で?(顔ヒクヒクッ)」

「っ……(愛美、照れながら百合子を指差しっ)」

「……へっ?」

「もう、忘れたの? ひどぉい(愛美、プク顔っ)」

「あっ、いや、その……!」



え?


えっ?


えええっーー⁉︎



そ、そんな約束してたっけ……。

いや、全然覚えがないぞ!(超絶焦っ)



「……なぁんてね」

「は、はぇ?」

「勘違い返し。これでおあいこだね(愛美、イタズラっぽくニコッ)」

「は、はあ……」

「でも……その勘違い、本当に変えちゃう?」

「えっーー?」

「今からしよっか。2人で……放課後デートっ(知ってる? 勘違い × 勘違い=『本当』になるんだよ? 的な照れ顔で、耳にかかった髪をエンジェルかきあげっ♡)」




ドボフンッッッーー!(※注 百合子の頭の中が爆発しました)




ーーその後、百合子が昇天したのは言うまでもない。






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