43.夢の中の女医
ピピピピ、ピピピピ……。
……マジか。
今朝の、アタシの体温。
40度ぉっっっーー!!!
ウ、ウソだろっ⁉︎
母親から顔色のわるさを指摘されたから計ってみたけども、こんな数値ってあるぅ⁉︎
ぜ、絶対にバグってる!
もう1回やり直しだ!
◇◆◇◆◇
ピンポンパンポーン♪(百合子、計り直しっ)
……ダ、ダメだ。
10回も計ったのに、全部40度だった。
これはもう、さすがに40度で確定だ。
あうぅぅ……。
今までカゼなんかひいたことねえのに、いったいどこでもらっちまったんだ?
……あ。
つーか。
そんなことより。
このままだと、学校を欠席してしまうっーー!
イ、イヤだ!
それじゃあ愛美と会えないじゃないか!
幼稚園から続いていた皆勤賞が途切れるのはどうでもイイが、愛美と会えないのはイヤだ〜!
それに、学校を休んでは愛美に寄って来る変な虫を排除できないっ……。
ロールキャベツくそ野郎にいたっては、ゲスい沼へと愛美を引きずり込こもうとすること必至だ!
よしっ、やっぱり行くぞ!
こんなの気合いと根性があれば大丈夫だ!
◇◆◇◆◇
ピンポンパンポーン♪(百合子、登校しようとしたもののっ……)
……ダメだ。
母親に120%の圧で止められた(チーン)
制止を振り切ろうにも、抗う力が全くなかった。
はあぁぁ……。
人生初の欠席、確定。
まあ、無理に登校して愛美に伝染したら大変だ。
ここは、おとなしく休むとしよう。
はうぅぅ……神様。
どうか、愛美を変な虫から守ってください(泣っ)
……それにしても。
勢いで制服を着たのはイイが、もはや部屋着に着替える余力がない。
制服姿で療養とか、どんだけ不思議な図なんだ、コレ(苦笑っ)
ふぅ……。
まあ、これはこれで足が涼しくて気持ちイイや。
ああ……愛美。
お前に、会いたいよ……。
……………………。
…………。
……。
ーーコンコンッ。
ん…………?
誰か、来た?
ガチャーー。
『松城さん……大丈夫ですか?』
え?
こ、この声は……愛美⁉︎
いや、愛美だったら百合ちゃんって呼ぶはず……。
いったい誰だ?
『お加減はいかがですか? 高熱が出たと聞いて、ラブ・ビューティクリニックから往診に来ましたよ』
ラ、ラブ・ビューティクリニック……⁉︎
そんなクリニック、聞いたことねえぞ。
新しくできたトコなのか?
……つーか。
きっと、母親が手配したんだな。
仕事でアタシを受診に連れて行けねえから。
はぁ……。
こんなの、寝てりゃ治るから別にイイのに。
ピトッ(往診Dr.、百合子の額に自分の額を当てっ)
『ふむ……これは確かにアッチアチですね』
こ、声が近いな……。
どんな先生なんだ?(百合子、ゆっくり目を開けっ)
『……ふふ。やっとおメメが開きましたね(往診Dr.、超至近距離からニコッ)』
え?
あれっ?
あ、あなたは……。
あなたはっ……!
あなたはっっっ!!!
「ま、愛美ぃっっっっっっっっっっっっーー⁉︎」
な、なんでっ?
愛美が……お医者さんっ⁉︎
『ふふ、誰と勘違いしてるんですか? 私はラブ・ビューティクリニックの女医ですよ』
な、なに言ってんだ?
どっからどう見ても愛美じゃん……!
そ、それよりも。
なんだ、この白衣姿の破壊力はぁっっっっっっーー⁉︎
コッ、コスプレッ?
まさかの女医コスプレッッッ⁉︎
ちょ、ちょっとそれは反則だよっっっ!
そんな爆裂にエロかわいい姿を見せて、アタシをどうしようってんだーー⁉︎
『こんなに高い熱を出して……いったいどんな不摂生をしたんですか? 松城さん』
えっ?
ま、松城さんって……。
あくまでも、自分は愛美じゃないという設定で押し切るつもりですかっ⁉︎
な、なるほど。
それならそれで、アタシも愛美のことを先生って呼ばなきゃイケないぞ!
うぅぅ……。
そ、そんなの照れくさすぎるぅ〜!(カアァァァ)
『ああっ、なんだかお顔が真っ赤に! これはイケない、すぐに処置をほどこさないと!』
え?
しょ、処置って……。
『でも、その前に汗びっしょりだわ。まずは、カラダの汗を先に拭きましょう』
バッーー(愛美っぽい女医、布団をはぐりっ)
『はあぁぁっっっっっっーー⁉︎』
あれ?
ど、どうしたんだ先生?
両手を口に当てて、そんなに驚愕して……。
『あなた……なぜ、制服姿なのですかっ⁉︎』
「あ、いや……登校しようとして着たんですけど、そこから部屋着に着替える余力がなくて……」
『っ……! な、なんてイケない娘っ……!』
え?
『こんなに汗ばんだ制服姿を無防備に見せつけて……せ、先生を挑発しているのねっ⁉︎(愛美っぽい女医、赤面&声ふるえっ)』
へ?
ちょ、挑発?
『はぁっ……はぁっ……!』
せせ、先生?
なんで、そんなに呼吸が荒いんですか⁉︎
『ああ、制服もこんなに乱れて……これは、お仕置きが必要ね。あとで、とびっきりの処置をしてアゲるわ(愛美っぽい女医、あやしく舌なめずりっ)』
ひいぃっっっーー!
な、なんでっ?
なんでお仕置きされるの、アタシぃっっっ⁉︎
『でも、まずはカラダが冷える前にこの汗を拭いて着替えないとイケないわね』
サッ……サッ……(愛美っぽい女医、百合子のカラダを丁寧にふきふきっ)
うぅぅ……なんか、恥ずかしいっ(カアァァァ)
『ふふ……なにをそんなに照れてるの? 本当にイケない娘ね(ゾクゾクっ)」
そ、そんなこと言われたって……。
あんなトコロやこんなトコロまで拭かれて、恥ずかしいに決まってんじゃん〜(泣っ)
『さあ、これで汗は拭けたわ。今度はこれに着替えましょう』
ピッーー(愛美っぽい女医、ハート模様がびっしりあしらわれたパジャマを差し出しっ)
な、なんじゃそれぇっっっ⁉︎
そんなラブリーなパジャマをアタシに着ろとっっっ⁉︎(百合子、激しく首を横にふりっ)
『ふふ……ダメよ、これしか用意してないから。てゆうか、これ以外の服に着替えるのは禁止よ♪(愛美っぽい女医、強引にパジャマへと着替えさせっ)』
は、恥ずかしい〜!
まさか、こんな格好をする日が来るなんて……。
『はあぁぁ……最っっっ高、最高だわ!(恍惚っ)』
……いや。
なんか、アタシ遊ばれてね?
『さあ、いよいよ処置の時間ね』
はうぅぅ!
来たあぁっっっ!
さっき、お仕置きがどうのこうのとか……。
や、やっぱり痛い系のヤツですか⁉︎(ビクビクっ)
『処置はもちろん……おチュ〜しゃ、よ♡』
ひいぃぃっっっ!
ちゅ、注射ぁぁぁっっっ!
アタシ、ガキの頃から注射だけはダメなんだよ〜!
「せせ、先生っ! あの、アタシ、痛い注射だけはちょっと……!」
『ふふ……なにを言ってるの? 先生が言ってるのは、コッチのお・チュ〜・しゃ♪(愛美っぽい女医、人差し指で自分の唇をトントンっ)』
へっ?
『松城さんのそのお熱……先生のおチュ〜しゃで、直接吸い取って下げてア・ゲ・る♡』
な、なにぃぃぃっっっっっっ⁉︎
『さあ、目を閉じて』
「い、いや、でも、先生っっっ……!」
『大丈夫よ、全部先生に任せて……(愛美っぽい女医、百合子のお腹の上にまたがりっ)』
あっ、せっ、先生っっっーー!
先生っっっ……!
せんせい……。
んせぃ……。
せぃ……。
……………………。
はっっっーー!!!
あ、あれ?
女医さんに扮した愛美は?
……つーか。
アタシ、パジャマじゃなくて制服のまんまだ。
……………。
え〜、っと。
つまり。
今のは……。
夢だったんかぁぁぁぁぁぁいっっっっっっ!!!
トホホ……。
そりゃそうだよな。
あんなとんでもないシチュエーション、実祭にあるワケがねえよ(ガックシ)
ああ……余計に愛美に会いたくなっちまったぜ。
なにはともあれ、早く治して登校再開だ。
さあ、もういっちょ寝るぞ〜!
◇◆◇◆◇
ピンポンパンポーン♪(2日後っ)
ふぃぃ。
ようやく熱も下がったぜ。
この2日間、とにかく寝まくった。
そして、そのたびに女医に扮した愛美が往診に来てくれる夢を見た。
最終的には、愛美先生にあんなことやこんなことをされてしまい……。
なんか、熱が出たのもわるくなかったぜ(ムフフっ)
ガラガラッ(百合子、戸を開けて教室にインッ)
「はっ……! ゆ、百合ちゃんっっっ!(愛美、百合子の姿を見て思わず椅子からお尻を浮かせっ)」
はわわぁ〜、愛美だぁ!
夢で出てきた女医さんの愛美もイイけど、やっぱホンモノが1番だよ〜!
「おはようっ、カラダの具合はもうイイの⁉︎」
「ああ、おかげさまでよくなった」
「よかったあぁぁ……もう、心配したんだからね⁉︎ 私の許可なく2日も休むなんて、どういうつもりっ?」
ええっ⁉︎
きょ、許可がいったの?
そんな制度、あったっけ……(謎っ)
……おっと、そんなことよりだ。
この2日間、愛美が変な虫にチョッカイを出されなかったか確認せねば!
「それはそうと、その……大丈夫だったか?」
「え、なにが?」
「ロールキャ……あ、いや! 草中とかに、変なカラミ方をされなかったかな……とか」
「あぁ……大丈夫だよ。ちょっと話しかけられたけど、全部無視したから(サラッ)」
へっ?
む、無視……⁉︎
あぁぁ〜……。
そ、そうですか。
愛美お嬢様、私目の知らないトコロで随分とたくましくなられていたのですね……(ポカ〜ンっ)
「とにかく、本当によかったよ。このまま百合ちゃんが死んじゃうんじゃないかと、ずっと眠れなかったんだからーー」
「し、死なねえよ! ただのカゼだ!」
「うん……元気になって、安心した」
お、大げさだな。
……でも。
そんなに心配してくれてたんだ、愛美。
……なんか。
そんなの。
そんなのって……。
嬉しすぎるじゃんっっっーー!(キュン⭐︎)
はあぁぁ……!
もう、それだけで幸せいっぱい!
幸せすぎて、また熱が上がりそうだよぉ〜!
◇◆◇◆◇
ピンポンパンポーン♪(昼休憩っ)
さあ、2日ぶりに愛美の隣りで昼メシだぁ!
思う存分に満喫するぞ〜!
「百合ちゃんっ」
「ん? なんだ?」
「お昼ご飯、スーパーで買ったパン……とか?」
「えっ、どうしてわかったんだ?」
「やっぱり……そりゃわかるよ。どれだけ百合ちゃんの隣り、務めてきたと思ってるの?(愛美、呆れながらも優しく微笑みっ)」
うっ……。
な、なにも言い返せない。
「そんなのじゃカラダに栄養がつかないよ。コレ……食べて」
コトッーー(愛美、百合子の机に弁当箱を置きっ)
「こ、これは?」
「凛咲愛美、特製の手作り弁当……だよ。あ、味は保証できないけど、栄養バランスは間違いないから!」
「え……わざわざ、アタシのために?(百合子、まさかの展開に頭がマッシロっ)」
「うん。百合ちゃんには、ずっと元気でいてもらわないと困るから」
「こ、困る?」
「だって、百合ちゃんが隣りにいない学校なんて寂しすぎて……」
「さ、寂しすぎて……?」
「うぅぅ……! だ、だから……寂しすぎて、死んじゃいそうだったのぉーー!(もう、そこは感じ取ってよ! こんな恥ずかしいこと言わせたんだから、今度休んだら許さないんだからねっ? 的な照れ顔でエンジェル頬プクッ♡)」
ドボフンッッッーー!(※注 百合子の頭の中が爆発しました)
ーーその後、百合子が昇天したのは言うまでもない。




