92話 再プレイ
なんだかそれからはよく眠れなかったのもありオールすることにした。
『ドリーマー』を使ってもっと色々やらなければいけないことはあるのだが、時間も遅くなってきているし、今日はやめておくことにした。
夢は外からの影響をかなり受けるようだし、もしそのまま夢に入ろうにも肝心の相手がもう起きる時間になってしまったりしていて夢から離脱してしまえば意味が無い。
アイツらの生活のルーティンは分からないし、もしかしたら昼に寝てるやつもいるかもしれないが、大多数に効果的な時間にやった方が良いだろうと考えたのだ。
昨日のことを店長に話したら流石に少しの間有給を取ってもいいということだったので、お言葉に甘え俺達はここから1週間ほど休みを取らせてもらう事になっている。
学校も同様無理してこなくても出停扱いにしてくれるらしいのでせっかくだからとみんなで休むことにした。
と言ってもそういった事情がある以上外に遊びに行く訳にもいかないし、家の中で暇を持て余していた。
俺はとりあえず最近ハマっているスマホゲームである幻星を2人にも進めることにした。
2人ともそこまでゲームはやったことがなかったらしいが、同じくあまりやっていなかった俺でも非常に楽しめているという事で一緒にやろうという事になった。
ゲームを始めるとその瞬間にものすごい勢いでメッセージが来ている事に気がついた。
もちろん俺がメッセージを受け取る相手なんか一人しかいない。
『坊主、今日はやらないのか?』
『なぁ、坊主、何かあったのか? 返信してくれ』
『辞めたわけじゃ無いよな?』
『返信して』
『ねぇ』
うん、なんか怖いんですけど!?
ほんの少しだけ消えていただけなのにものすごい連絡が来てるんですけど…………!?
まぁ、それだけ俺に対して気を配ってくれているということなのだろう。
なんというか最後の方もうメンヘラ彼女とのメッセージみたいになってるけど、きっと気のせいだろう。
『すいません、リアルの方で色々あって浮上出来てなかったです』
『!!!!!』
俺がそうメッセージを送った瞬間、クロガネさんはそうとだけ送ってそのままメッセージを送らなくなった。
しかし、次の瞬間、なんかこの前よりも豪華な装備に身を包んだクロガネさんの姿が目の前に現れた。
『坊主…………心配した』
『あの、なんかキャラ崩壊してますよ』
『…………う、うるせぇ! して無いぞ! 坊主のくせに生意気だな!?』
余程俺が戻ってきたのが嬉しかったのだろう、クロガネさんのメッセージはこの前と比べてかなり砕けたようなものになってしまっていた。
今までのメッセージもなんというか渋い感じで好きだったが、こっちの少し砕けた感じのメッセージも親しみがあって何となく好感が持てる。
『そうだ、今日は僕の友達を招待したので紹介しますよ!』
『ほ、本当か!?』
クロガネさんはその渋い男とは合わないぴょんぴょんと嬉しがるエモートをした。
俺は少し笑いながら近くでチュートリアルを終わらせた2人を読んだ。
『はい、これが友達の…………ミトとシエンです!』
『ぼ、坊主が……3人も…………!』
そう、3人揃って使っているキャラクターは男なのだ。
2人とも本名を文字った名前を使っており、その見た目と合うように男性風の名前にしていた。
『シエンだ、よろしく』
『僕はミトだよ! よろしく〜☆』
え? ちょ、命?
紫恵はいいとして、どうしたお前!?
「…………命」
「…………うるさい、いいでしょ、私もこういうテンションにあこがれてるの…………実際は出来ないけど」
「そ、そうか…………」
「あ、私は出来るよ〜☆」
うん、紫恵は流石だ、というかこのふたりのキャラの喋り方普通に考えて逆じゃないか?
ま、ゲームの中だしなんだっていいか。
『…………お、お前ら全員俺が鍛えてやるよ!』
クロガネさんは文だけでも分かるほど喜んでいる様子で、俺にしてくれたように2人にも色々教えてくれるようだった。
『ふん、すぐお前より強くなってやる』
『シエン君そんな事言っちゃダメでしょ〜☆』
2人もノリノリでロールプレイを楽しんでおり、思ったよりも楽しい時間を過ごせそうだった。
それから俺達で夜まで幻星をプレイし続けた。
クロガネさんはいつも夜になると居なくなってしまうので、それまでの時間、みんなでワイワイプレイすることが出来て非常に楽しかった。
「ふぅー、たまにはゲームも楽しいね!」
「うん、私ハマっちゃったかも」
「だろ? やっぱり面白いよなこのゲーム!」
とは言ってもそれはクロガネさんによるものの部分が大きいだろう、あの人には本当に感謝だ。
そうしていると俺のお腹が小さな音を立てた。
「…………んー、流石にお腹空いたよね、朝ごはん食べてから何も食べてないもんね」
「そうだね、私は別に大丈夫だけど…………彩斗くんは育ち盛り? だし食べた方が良いよね、ここは私が…………」
「いや、待ってくれ」
俺はこの時を待っていたとばかりに立ち上がる。
「ここは、俺に作らせてくれ!」




