90話 バレた?
バイト先へと向かい、その後学校へ行くといういつものルーティンを行う。
やっている事はいつもと全く変わらない。
だが、こうやって他の人と行うとこうも賑やかになるのだなと俺は感心していた。
ここまで人と仲良くするのは俺の記憶の限りでは初めての事だ。
この生活を守るためにも警戒は怠れない。
今この瞬間常にどこかから狙われていると思って方がいい……というか、狙われていると言っても過言では無い。
いつどこで襲われるか分からない以上、全方位に警戒網を広げなければいけない。
そこで今俺はある超能力を定期的に使っている。
それは『シャドウグリップ』だ。
こんなんただのいたずらにしか使えないと思っていたが、これは結構索敵に使えるのだ。
具体的に言えば物陰などに人が隠れていないか等を確認することが出来る。
これを定期的に使うことにより奇襲などに備えることが出来るのだ。
まぁ、結局移動中に索敵に誰かが引っかかることは無く、たまにそこから虫が飛び立ったりしただけである。
悪いことでは無いが、なんというかやっと使い道を見つけたというのにそれ以上の事が無く少し残念だ。
そんなこんなで今日一日は特に何も無く過ごせた。
昨日のこともあるのでこの中の誰かが1人で過ごしてしまうと危ないということで今日もみんなで命の家にお邪魔になることになった。
流石にここから1週間くらいは巡回を強化してくれるみたいだし、他のところに泊まるよりも安全だろうということだ。
みんなが寝静まったあと、俺は一人でスマホを立ち上げた。
……お待ちかね、超能力購入タイムだ!
昨日は色々あったから超能力を買えていないし、もう俺はこの超能力を買う感覚に酔ってしまって居るのだ!
え? 貯金? 知らんわそんなもん!
みんなの安全を守るためにはもっと強い超能力が欲しいし、何より『百円の恵み』がもう一度出てくれるだけでももうかなりの収益になると思う。
期待値は高い、もう引かない手は無いのだ!
実際、もっと早くからあの貯金を全て使ってしまっても良かったかもしれない程度にこの超能力サイトは有用だ。
だが、数ヶ月間汗水垂らして貯め続けたお金だ、しかも用途も明確に決まっている。
これを崩してまでやるべきものなのかと踏ん切りがつかなかったのだ。
今となってはもっと早く判断するべきだったと後悔しているが、俺の性根はやはり臆病者なのである。
リスキーな行動はできるだけ取らずに安泰な生活を続けようとしてきた俺にはいきなりそんなことは出来なかった。
だが、ここまで来て今リスクを取らないでいつ取るんだ?
人生の中でここまでのチャンスなどそうそう訪れない、今が賭け時なのだ。
俺は暗闇の中でサイトを開く。
音は消し、命達にはバレないようにしながらその画面を見る。
なんだか少し悪い事をしている気分になりながらも気にせずに決済を済ませる。
すると、その時だった。
決済サイトの音が部屋に鳴り響いたのだ。
くっ、そうだった、この決済サイトの決済音は音を消していたとしてもお構い無しに大音量で鳴りやがるんだった!
俺は恐る恐る命と紫恵の方を向く。
……よし、2人とも寝ているな。
いきなり大音量で音が鳴ったため起こしてしまうかと思ったが、そんな事は無かったようだ。
さて、それじゃ、気を取り直して何が手に入ったのかを見てみるか!
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『先見の明』
未来の兆しを読み解き、今に活かす力が備わる。
すべてが未来へのヒントになるのだ。
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うむ、わからん!
毎度の事だが、 この説明文にはちゃんとした説明が無い。
もうなんというか全体的にふわっとしていて分かりにくいのだ。
まぁ、だからこそその能力が多岐にわたって使う事が出来ているのかもな。
元々思っていた使い方と少し違う効果が出たりするのものもあるというのもこの超能力の面白さの1つではあるし、ポジティブに考えれば良いよな。
さて、それじゃ『先見の明』はどんな力があるのか、試してみよう…………。
俺がそんなふうに考えていると、俺の肩がぽんぽんと叩かれる。
「…………」
「…………ねぇ、何してるの?」
この声は…………命だ。
俺は素早く手元のスマホをスリープモードにし、その画面を見えないようにする。
「…………すまん、起こしちまったか、なんでも無いから寝ても大丈夫だ」
「…………いいから、何見てたのか教えてよ」
「…………」
まずいまずいまずいまずい!
え、まさか今の画面見られていた訳じゃないよな!?
そうなってしまえば俺が少しズルをして色んなことをしていたということが命にバレてしまうかもしれない。
「ねぇ…………私はもう全部知ってるんだよ?」
「…………え」
いや、まさか、そんなはずは…………ないことも無いのか?
今の画面を見ただけで全て分かったのか?
俺は疑いの目で命を見るが、命は真っ直ぐな目でこちらを見つめてくる。
「…………はぁ、分かったよ」
俺は諦めた。
いずれバレることだとは思っていたし、それが早くなっただけと思うことにしよう。
…………その上でできるだけ嫌われないように立ち回ろう。
俺はそう思いスマホの画面を命に向けた。
「…………え、なにこれ?」
命は素っ頓狂な声を上げた。




