プレイボーイ
太古の地球、そこは龍たちの楽園だった。
大型の様々な龍たちが、地上を跋扈していた。
ある時世界に終わりが来て、龍たちは多くの仲間を失った。
彼らの肉体は土にかえり、魂は精霊となって地上に、海に、山に、川に漂った。
長い時を経て、龍たちとは違う種族が世界にあふれた。
龍の魂たちは一つのうねりを形成し、新たな命たちを守り始めた。
その土地には二柱の龍神があった。
大きな川の上流を守る女神と下流を守る男神の夫婦神。
その土地で様々な命が生まれ、育ち、また肉体を大地へ返し魂が返っていった。
そんな穏やかな繰り返しの中、稀に、強い力を持ち、仲間たちから疎まれる存在が生まれることがあった。
魂のうねりとしての龍神にはどうすることもできず、胸を痛めた。
ある時、一匹のウサギが群れを追い出され今、まさに命を途絶えさそうとしていた。
ウサギもまた、強い力ゆえに、恐れから排除された。
龍神は、つい、ウサギに加護を与えてしまった。
それは、龍神との婚約を意味していた。
それでも、この命が潰えるのがどうしても我慢ならなかった。
いつか、このウサギに、素晴らしい番が現れたら、このウサギを守る役割をその相手に渡そう。
それまでは、自分がこの子を守ってやろう。
「兎龍様、龍神様がおられません!」
「またですか?どうせどこかの神社に入り浸って酒盛りでもしてらっしゃるのでしょう。わかりました。私が探しに行きます。」
「申し訳ありません、兎龍様。あの方は女神龍様と兎龍様の言うことしか聞いてくださらないので・・・。」
「私も初めは全くあしらわれていたのですよ。」
「そうなのですか!?いったいどうやって???」
「ふふ、それは・・・秘密です。」
兎龍は、少し、誇らしげな顔をして、男神龍を迎えに行く支度を始めた。
兎龍が唯一女神龍に張り合えること、どこへでも夫を探しに飛び回れること。
相手が神でも兎龍は全く夫の隣を譲る気などない。
妻が何人増えても絶対に自分が一番に夫を見つけて連れ帰る。
それが、千人以上の妻たちを束ねる側室の長としての矜持だった。
「まあ、きっと、新しい婚約者のところでしょう。白蛇は酔い潰されてなきゃいいけど。」
兎龍とその一団は、フリースクール横の神社へと飛び立った。




