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子ウサギは竜王様に甘え倒したいっ!17

 いやーっ!

 気持ち悪いーっ!

 ナニコレ何コレ!

 お顔がないぃぃぃっ!

 やだ怖いっ!



 爆音が響いた直後、視界が真っ白になった途端何かにひょいと担がれたので、一瞬竜王様に担がれたのかと思って油断をした。


 "竜王様だったら一言いう筈だったわ!"


 よく分からない正体不明な奴に担がれたと気が付き、ゴツゴツした肩の部分に乱暴に乗せられたままだったのでので降りようとすると、ガシッと掴まれる。

 が、


 う"に"ゃあ"あ"あぁぁっ!!!

 お、お、お尻にぎられてるぅう!


 逃がさない為かは分からないが、強く尻の上から手のひらで押さえつけられ、暴れても叩いてもびくともしない。



「やぁ!」



 足をジタバタと蹴り、腕は抱えられた何かの背中を殴るがやはりびくともしない所か暴れてウザイと思われたのか、余計に強く押さえつけられ圧迫される。押さえつけられるのが尻の方だったからまだ良かった、これが胸部の方なら気絶していたかも知れない。


 でもでも!お尻触らないでーっ!

 てか押さえつけないでよー!

 やだーっ!

 まだ竜王様にも触られたことな……ってうぎゃぁあああっ!

 何考えてぇえーーー!


 パニック状態に陥りひたすら暴れもがいていると、



「レインッ!」



 後方からかなり焦った竜王様の声が聞こえると振り向けば、何時の間にか玄関の外。でも何か違和感を感じる。


 空気がうねってる?


 空間が激怒しているようなそんな気配が周囲を覆い、流石にヤバイと感じたのか、ホムンクルスの足が止まった瞬間、ビキビキビキとホムンクルスの足元から周囲が一気に冷気が纏い凍り付く。



「竜王様ぁ!」



 凍り付いた事で身動きが取れなくなったのか、抱えていたウサギ(レイン)から意識が離れ、何とか足を動かそうとし始めたホムンクルスの隙をついて退こうと抵抗するが、中々尻の上から押さえ付けて居る手が解くことが出来ず暴れる。



「やだやだ離して!」



 ホムンクルスの何も無いのっぺらぼうの顔に両手を付け、全力で押し退けてもびくともしない。



「嬢ちゃん頭下げろ!」


「!」



 アドニス様の声が聞こえひょいと頭を下げた途端、竜王様と黒猫のアドニス様の手刀(アドニスはパンチに見えるが)がホムンクルスの首に刺さって切り裂き、頭部が宙に飛ぶ。と当時にホムンクルスの首から血液では無い、真っ白い液体が飛び散る。



「っ!」



 その光景に呆気に取られていると、上空に巨大な亀裂が入り"ひび割れる"。



「え?」


「ウサギちゃんから離れろー!」「うさちゃんを助けるんだーっ!」「やったるでーー!」「いくぞおおおお!」「おー!」「せやー!」


 と、声が聞こえたと思ったら、大量の色んな属性の"精霊達"が古城の上空に何千?何万?と集まり、一斉にホムンクルスに攻撃を仕掛けて来た。

 小さな羽根が這えている精霊や高出力の魔力を纏った精霊が次々と一撃を加えると、原子構造が崩壊するのか徐々にホムンクルスの身体は原型を保てずボロボロと崩れ、ホムンクルスの腕の部分が消え失せた拍子にやっとの思いで脱出すると、即座に竜王が駆け寄って来てくれて抱き締めてくれた。

 …安心する。

 捕まれていた箇所が痛いと思いつつ、竜王の顔を見ると、



「レイン!大丈夫か!?」


「はぃ」



 ぎゅっと少しキツク抱き締められ、言葉の「い」の部分が小さな声になる。

 それでも様子が見たくて何とかホムンクルスの方を向くと、竜王の姉のミトラが金の燐粉を撒き散らし、残ったホムンクルスの頭部から魔石より大きく透明な宝石の様なものを取り出し、真っ二つに砕いた。



「ミトラ、ホムンクルスはこれで消えたか?」


『うむ(コア)は砕いたからの、もう大丈夫じゃ』



 アドニスがミトラの方にトトトッと小走りに行き、



「みんな有り難うな」



 と、上空に浮かんで居る小さな精霊達に頭を下げると、



「いーよー頭下げなくても~」「ミトラ様の役にたてたからオッケー!」「竜王様の番様を守れたなら本望です」「えへー楽しかった!」「アドニス様カワイー」「ふぉぉぉっ!にくきゅー!」



 何だか色んな、様々な声が聞こえてくる(最後の方特に何か違うけど)。

 すると一人の少し大きい精霊がすぃ~と透明な羽根を羽ばたかせて竜王様の方に寄って来て、



「竜王様ぁ~さっきのはコアに宝玉が埋め込まれてましたぁ。この技術は隠れ里の秘技のひとつです~」


「やはりあいつらか」


「はぃぃ~うさちゃんを狙って来てます」



 やーね~困ったわね~と、何処かのほほんとおっとりとした雰囲気の精霊が此方を見てウインクをして来た。




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