62 帰ってこないカナディア
※時系列は60話→EX1~8→61話ですので久しぶりに読まれる方は61話の最後を見返して頂けると幸いです。
「で?」
「で、って言われても」
スティーナの問いかけに俺はテーブルの上で寝そべったままだ。
この家ってこんなに広かったけ……。何でこんなに寂しいんだよ。
机の上には大量の瓶が散乱し、飲んでも飲んでも……飲み足りない。
どうして俺は……手放してしまったんだろう。
カナディアが出ていってしまってからもう2週間が経ってしまった。
後悔しか生まれない。
もっと早く言うべきだったんだ。
別れは突然、ずっと幸せなままでいれる。それに甘えてしまっていた。
俺は最低なやつだよ。
「どんなに飲んでも酔わねぇんだよ……」
目の前の邪魔な瓶をどけるように吹き飛ばす。
地面に落ちてパリンという音が耳に入った。
「あのねぇ」
スティーナの声がする。
「そりゃポーションで酔うわけないでしょ!!」
むくりと顔を上げる。
「酒は強くないんだよ……」
「それでポーションのバカ飲み? あなたアホなの?」
ぐっ、そう言われるとつらい。
本当はお酒を飲んで忘れたいんだけどS級冒険者としてこなさないといけない仕事が多すぎて酒に溺れる時間がない。
合わせてカナディアがいなくなったことによるフォローをしなきゃならなくて悲しんでる時間が無かった。
「カナディア戻ってこないわね」
「……今までは家出しても2日ぐらいで戻ってきたんだ」
「それがもう2週間。本気で愛想つかれちゃったわけね」
カナディアに半壊させられた家の修復に数日、戻ってこないことに焦り、家のまわりや知り合いのツテで彼女を探し回るのに数日、たまった仕事の処理に数日。
家に帰ればカナディアがいるんじゃないかと淡い期待を持っていたけどそれは見事に裏切られることになる。
出ていく前に言っていた言葉が確かこうだった。
【実家に帰らせて頂きます】
カナディアを大泣きさせてしまい傷つけたのは事実だ。俺は嫌われてしまっても仕方ないことをしたと思っている。
「これでいいの?」
「よくない」
「カナディアはあなたを嫌ったかもしれないわよ」
「そうかもしれない。そう思われても仕方ないことをしてしまった」
「……どうしたい?」
「俺は謝りたい、いや……違う。カナディアにもう一度会いたいんだ」
「会っても拒絶されるかもよ」
「……そうだろう。でも」
俺はあの時……いや、この数週間ずっとカナディアに言おうと思っていたことを伝えられていないんだ。
それをせずままにいなくなるなんて……そんなこと納得できない。
「俺はまだカナディアに伝えられていない。拒絶されるのもせめてそれからだ!」
「そーね。そうだと思うわ」
俺は立ち上がる。
「妻が実家に帰ったのなら、実家へ追いかけにいくのは夫の役目だ」
「カナディア風に言うならそうよね」
スティーナはくすりと笑みを浮かべるがまっすぐ見てくれる。
俺は軽く頷いた。
「あたしも行くわ。カナディアは友達だから。……それに泥棒ネコはダメって言われてるし」
「ん?」
「な~んでも。それじゃ……明日の朝からカナディアの行方を調査しよっか」
「その前に……」
ぐるるるるるるるるっ……。
「トイレ行かせてください……」
「あ、あなたねぇ……」
ここで分かったことだが……俺のお腹は12本が限界らしい。
お酒は頭にくるが……ポーションは腹に来るのだな……と思う。
絶対に……王都に連れ戻してやるからな!
「カナディア、待っていろ!」
「はよ、トイレ行きなさい」
3章開始となります。
この話はヴィーノとカナディアの関係を重視していきます。
改めて宜しくお願いします!
来週の更新をお楽しみください。






