EX4 SS級冒険者
「おっす、ヴィーノ」
王都の冒険者ギルドの中に入った途端さっそく声をかけられる。
女性にしても高い声、子供に声をかけられたじゃないかと思うほどだった。
そんな声をする女性は一人しかない。
ツーサイドアップの青髪をひょこひょこ動かして近づいてくるのは同じS級冒険者のアメリであった。
こんなナリだけど、大先輩なんだよな。
「おはよう、アメリ」
「今日はカナディアもスティーナも一緒じゃないのか」
「ああ、今日は依頼人との打ち合わせだけだからな。2人は別のクエストに行ってるよ」
「そっかぁ」
アメリは残念そうに言葉を吐く。心なしか髪もへたりと落ち込んでいるようだ。
「2人に何かあったのか?」
「うーーん、体が敏感になるって言われるローションを手にいれたからぜひあの二人で試してみたくて」
今の発言を2人に聞かせたら恐怖で顔が歪みそうだ。
仲間として守っておこう。
「ほどほどにしてくれよ。2人だってあんな嫌がってんだし……」
「分かってねぇなぁ」
「へ?」
「あたしは本当に嫌だったらやらねーぞ。あの二人、潜在的なドMだからな……何とか開発してやりてぇんだ」
う……うーん?
そういう風な所を見せたことはあるが、開発するって何か違う気がする。
「どちらにしろ控えてくれ。それにあんまやるとやり返されるぞ」
「それがいいんじゃねーか」
「ん?」
「こちょこちょして、されて……どんどん仲を深め合うのが一番なんだぜ! あたしはいつでもうえるかむだ!」
アメリはだらしなく顔を緩めてしまった。
何だろうカナディアとスティーナとそういうことしたいということだろうか。
是非俺も混ぜてほしいと言うべきか……いや……うーむ。
「アメリはそっちの趣味なんだな」
「お? かわいい女の子とくんずほぐれつも好きだけど……ちゃんと好きな男もいるんだぞ! 勘違いしてくれるな」
うーん、まぁ確かに俺とかシィンさんとかには普通に喋るし、男が嫌いというわけではなさそうだ。
どちらかというと女性が好きって感じがするけど。ミルヴァもさっそくツバ付け始めてたし……。
「お、ちょうどいい所に!」
「あれは……」
ギルドの受付の奥、通路の先から1人の冒険者が現れる。
外からでも分かるほど、鋼の肉体に鋭い目つき、おでこのバンダナにあご髭、口ひげが良く似合うダンディな男性だ。
その姿、見間違えることはない。俺にとって憧れで……この冒険者ギルドの中で最も有名な人物であった。
「ペルエストさ~~~ん!」
彼の名はペルエスト。
王国最強の冒険者。SS級冒険者である。
アメリが飛び出していき、何とペルエストさんに抱きついてしまった。
「おぅ、アメリか。少し大きくなったか?」
「変わんないですよ~! あたしもう25ですよ。……早くあたしと結婚してくだしゃい」
「アハハハ、冗談が上手くなったな」
王国最強の冒険者はこの程度では動じない。
しかし、重厚な声で安心感があるよな……。
こんな声でついてこいって言われたら一生ついていきそうだ。
「はやく、はやくぅ……いつでも子供産めますからぁ」
アメリのやつ、とんでもないこと言ってるな。普通の人じゃなくてもドン引きだぞ。
ベルエストさんが俺の姿を見て、近づいてきた。
「ベルエストさん、お、おはようございます」
「ああ、ヴィーノ。久しぶりだな」
憧れの冒険者ゆえに緊張する。
この人とはS級昇格の時に1度会ったきりなんだよな……。
S級にはS-、S、S+の3枠が存在する。SSはそれを超える枠となる。
王都だけではなく帝国や別の国も合わせその活動は世界規模となる。世界を股にかける最強の冒険者、それがSS級だ。
なので依頼も世界中に渡っており、ベルエストさんは基本外国での仕事がほとんどだ。
剣術も魔法も高レベルでこなし、やっぱり有名なのは特殊スキル無限矢筒から生まれる弓術だろうな。
俺のポーション技術もいつかはこの人レベルにまでなりたい。
「今日、カナディアはいないのか?」
「はい別のクエストに出ています」
「そうか」
少しだけ声のトーンが落ちてしまった。
カナディアに何か用があったんだろうか……。
「ヴィーノ、良ければポーションを融通してくれないか。おまえのポーションは大したもんだ」
「はい、喜んで!」
「S級になってがんばっているようだな。しばらく俺も王都にいる予定だ。どこかでクエストでも行ってみるか」
「本当ですか! ありがとうございます」
「わーい、しばらくいるんだったら早く結婚しましょ! 式場押さえますからなぁ!」
アメリのごり押しにベルエストさんと俺は目が合いはぁっと息を吐くことになった。
この感じだといつもアメリはこんなことほざいているんんだろうと思う。
アメリの新たな一面を見つつ、今日も一日冒険者として頑張るのであった。
わりとすぐ後、このペルエストさんに頼ることになることを今の俺はまだ知らない。
SS級冒険者ペルエストの顔見せです。
3章で少し、大きく活躍するのは5章の予定です。
脳内ボイスイメージは大塚○夫氏。
1章でミルヴァが会った時空超越した弓使いの人はこの人となります。
次回EX5 男だけのS級クエストです。
来週の投稿をお楽しみください。






