126 ヴィーノパーティVS巨大魔獣②
「いくぜ! ポーション・ピッド!」
「ライフルモードへ移行するですの!」
100個近くのポーションが【岩砕龍】の周囲に展開される。
その1つ1つをポーちゃんが制御しており、完全なオールレンジ攻撃を可能としている。
莫大な魔力を消耗するが、それを魔力タンクのミュージが担当することで可能としている。
なので今は全力全開で動かすことができるのだ。
「いけー!」
ポーションから砲撃が放たれる。
ポーションに魔力の石と防御力減衰させる薬液を混ぜた特注品だ。
それをたっぷりぶっかけてやれば【岩砕龍】もただではすまない。
強酸性の薬液のため【岩砕龍】は強い悲鳴を上げる。
効果はある。おまけに防御力も減衰しているはずだ。
これで前衛組の斬撃も効果絶大となるだろう。
「スパイクモードへ移行するですの!」
薬液の無くなったポーション。
半分は残して、もう4割は突貫させる。
若干の火薬を残しているため爆裂ダメージも見込める。
40本ほどのポーションが【岩砕龍】に突撃した。
もう10本は……。
「ストレートポーション!」
自分で投げる方が1番強いからな!
いつも通り、10連発を投げて【岩砕龍】を怯ませた。
さっきの【覇巌龍】はデカすぎて効果がなかったがこの程度のサイズだったらポーションでもいける。
グウウウウウウウウウ!
あらあら随分怒っておられる。
当然一番強い打撃を与えた俺に強烈な殺意を向けている。
【岩砕龍】はその四足歩行の前足を何度何度も地面に叩きつけた。
その衝撃で地面が隆起して、まるで擬似的な岩場が誕生してしまった。
そのまま口を開けたまま、長い首を上げて、一気振り下ろした。
その時吐き出された息吹がブレスとなり、岩場を崩して……全て俺に飛んでくる。
そのブレスは広範囲過ぎて避ける方法はない。
防御してもおそらくズタズタに削られてしまうだろう。
単体攻撃ではないためポーションパリィでも防げない。できるのはセラフィムによる広範囲ガードくらいだ。
しかしセラフィムは前衛組の護衛に行かせている。
万事休すのはずだった。
ポーちゃんができるまでは!
「シールドモードへ移行するですの!」
薬液を使い切った50本が1本ずつ隊列を組み、俺の前に飛んでいき盾を作る。
最近のポーションは俺が投げるという話を聞いて硬度を強めにしてくれているのだ。
もちろんポーション瓶職人の熟練の技により投げ心地は以前と変わらない。
なので充分瓶は防御として役に立つ。
俺に飛んできた岩片は全てポーションによるシールドで防ぐことができるのだ。
ガリガリと削られてポーションは割れていくが、岩片はポーションの壁を通過することができない。
スペック上、シィンさんの強力な光線魔法ですら防ぐんだ。
この程度の龍のブレス……何てことはないのだ。
そしてもう100本が追加でポーション・ホルダーから抜き取られていく。
このポーション・ピッド・システムにより俺は攻防一体のポーション投擲を成し遂げることができるようになった。
俺の周囲に絶えず10本のポーションが展開している。
抜き取って自分で投げるのもよし、ライフル、スパイクで攻撃するもよし、シールドにまわすのも良し。
俺はもうポーションに始まり、ポーションで終わる。
名実ともに世界一のポーション使いなんだよ!
後衛は良い感じに敵を引きつけることができた。
あとは……前衛組に任せるとしよう。
頼むぜカナデ、スティーナ、シエラ!