98 スイーツタイム
カナデ達と合流の時間となり、俺は早々と冒険者ギルドから立ち去ることにした。
接待とかしてくれるって言われたけど固く辞退させてもらうことにする。
魔獣退治だったら自信あるから受けてもいいけど、事件調査はなぁ……。
高位冒険者は何でも屋みたいに思われているのは世界共通の問題とも言える。
俺はともかくS級は何でも出来るような優秀な人材であるのは事実だし。
1週間という短い期間だけど最低限何か掴まないとな。
温泉郷の食事街に入り、この街で1番人気と言われる味処に入店した。
甘いもの好きの女性3人とパーティを組んでいたら拒否権などない。
入店して即、幸せそうにデザートを食べる姿が見えた。
「美味そうなの食べるな」
「お先に食べちゃってます」
「名店だけあってすごく並んでたわよ」
「君達調査したんだろうな……」
タワー系パフェをうまうまと食べているシエラは放っておくとして、俺もパンケーキを注文することにした。
各々甘味を楽しみつつ、情報を整理する。
まず俺がギルドで聞いた話を展開し、2人に伝えた。
「こちらで聞いた話とそう変わらないですね」
カナデにも街の人達に状況を聞いてもらったが差異はあれど大筋は変わらない。
「シエラ人気がやっぱりすごいわ。白の巫女効果って絶大なのね」
「俺達は見慣れてしまったからな。シィンさんも言ってたけど人の表層心理に訴えかけてくる力がある……だったか」
元々美しい容姿をしていたがその力は一層とも言える。
カナデは少し面白くない顔をした。
「シエラのおかげで黒髪のことで何か言われることはなかったんだろう?」
「むぅ〜。 それはそうですが白狸のおかげと言われると釈然としません」
黒髪のカナデが調査で声かけをしても誰も罵倒などしてこなかったと言う。
「あたしが2人の間を取りもったんだからね。もっと褒めて欲しいわ」
「あ、ああ。デザートもう一品頼んでいいよ。奢るし」
「やった〜」
「ヴィーノ、私も頑張りましたよ!」
「もちろんカナデも食べていいから」
「シエラ、もう一個タワーパフェ食べたい」
「それをか!? ポーション20個分は高くないか!?」
結局押し切られ女性陣のおやつ代を払うことになってしまった。
「あ、そうそう」
スティーナが追加で注文したショートケーキにフォークを刺しながら呟く。
「地震の話題の方が多かったんだけど……他にも人さらいがあるらしいよ」
「観光客狙いの人さらいなんて少ないものじゃないだろう」
「そうなんですが、気になることが1つあって」
カナデが横から言葉を挟む。
「地震があった翌朝……それも男女大人子供問わず行方不明になっているそうです」
「うーん、それは妙だな」
誘拐騒ぎなんてものはどこにでも存在する。
王国や帝国という大きな国は貧富の差が大きい分、人身売買目的の誘拐が後を絶たない。
特に観光地は世界中の金持ち達がやってくるからいい狙いになるのだろう。
ただ狙われるのはやっぱり子供だと思う。
この前王国でも人さらいの事件があったが狙われたのは見た目の身綺麗な子供だ。
シエラも捕らわれてしまったが……狙われるのはそういう子供ばかりなのだ。
大人の男が浚われてしまうのはそう多いことじゃない。
「地震のあった翌朝か……」
「聞いている感じだとね」
「ヴィーノ、ヴィーノ!」
今度はシエラが手を挙げてきた。
「あのね、タワーパフェ。もう一個食べたい」
「君はぶれないねぇ……」
スイーツタイムは終了し、俺達は喫茶店を出ることにした。
地震騒ぎの裏で誘拐騒ぎか。普通じゃ関連性はまずないだろうけど……頭の片隅に入れておくことにしよう。
昼からも4人で聞き込みを開始して情報を集めることにする。
ただ、結局目新しいものはなく今日の活動は終了することとなった。
集まった情報を要約するとこんな所となる。
地震自体はこの2ヶ月に突如出るようになった。
衝撃はそこそこ大きいが範囲はかなり狭く、街を覆うほどのものではなないと聞く。
王国で例えて簡単に言うと商業街で地震が発生しても、貴族街や貧民街ではまったく揺れないということだ。
本来であれば震度の差で他でも揺れるはずなんだけど……一切ないらしい。
このためこの地震、超局地的なものであると言える。
地震自体も立っていられないほどのものではなく、多少揺れる程度がほとんどだ。
正直無視できるほどのため大きな問題として認知されずらい。昨日俺はびっくりしたがミュージはまったく動じてなかったから慣れてしまったんだろう。
だけど大規模な地震の前触れだったらと思うとやはりある程度の調査は必要らしい。
「でも自然現象だったら調べようがないよなぁ……」
「そうですねぇ」
帰り道、横を歩くカナデと口で話しながら情報をまとめていく。
帝国の冒険者達が調べ尽くした後に……新たな視点ということで外国冒険者が呼ばれただけなのだ。
正直期待はされてもって所だろう。
期限は今週いっぱい。レポートにまとめて我々の調査でも異常は見受けられませんでしたで提出すればいいか。
よし、今日もお風呂に入ってすっきりとしよう。
「ちょっといいかしら!!」
「っ!?」
後ろからの女性の大声に俺達の歩みは止まってしまう。
振り向くと手帳を持った女性と写真機……カメラを両手で掴み俺達に向けている男性の姿があった。
「帝国時報のものですが、インタビューしてもいいかしら!」
書籍が発売して1週間が経過しました!
購入のご報告なども頂けて感無量です!
この物語はまだまだ続きますので宜しくお願いします。
ただ、申し訳ありません本日が14日連続投稿の最終日となります。
なので次の話から土曜日12時頃の更新に戻ります。
このまま連載が続けば良いご報告ができるかもしれない改めて宜しくお願いします。






