3話
魔法学園ガルバトスへ入学して早二ヶ月が経った
私はレディバに魔法を教わり自分でも考えられない程実力が伸びて行った。そしてそれと同時に学園内でも成績は伸びていき今では平均して学年順位15位以内には入れる様になった
レディバは流石と言うべきか、入学から一位を独占し続け周囲からは恐れられていた
「レディバおはよ」
「リーナ!おはよう…待っていたわ、早く座って。試したい事があるの」
私はレディバに言われるがまま部屋の姿見の前に座らされた
そういえばこの二ヶ月で私とレディバは同じ部屋になった。レディバと相部屋の子が教師に変更要請を出した事とレディバと仲のいい私を見てエミリが自らその子と同部屋になると提案したからだ。エミリは明るくて優しい人だったので少し残念だがレディバと同じ部屋に居られる事はとても嬉しいのでありがたい
「出来たわ」
私の髪の毛をいじっていたレディバが姿見を見てと指を刺す
「わっ!凄い!レディバがやったの!?」
「えぇ、前々から思ってたのよリーナの髪をいじりたいって」
髪の毛なんて櫛で解かせば充分と思っていたのにこんなに印象が変わるなんて………!!
「フィッシュボーンという髪型をすこし崩したものなのだけれど……よく似合ってるわ」
「!……ふへっありがと…レディバ」
それと、私とレディバの関係が前よりも親密になった気がする。敬語をやめてから距離が近くなった気がするし、レディバがスキンシップをする事が多くなった気がする
「今日の授業は午前が魔法基礎学と魔法の歴史、午後が2人一組の魔法実習らしいわ」
「魔法基礎学…二ヶ月経つけどやっぱり苦手なんだよね」
「あんなの好きな人居ないわ、でも頑張るしかない…でしょう?」
「うん!そうだね」
2人並んで食堂に向かう
道ゆく生徒たちが私達を見るなり自室へ戻ったり道を開けたり避けたりなど、これまでじゃ考えられない程扱いを受ける
今ではすっかりレディバと私でニコイチという"当たり前"が出来た
レディバはどう思ってるのかな
レディバは意外とお喋りで、子供っぽくて、明るくて優しい女の子だって事が分かった
だからこそ、そんなレディバが悪く言われることに、腫れ物扱いを受けることに不満が溜まる
レディバこそこの国を未来に導く事ができる人だ
「どうかしたの?そんなに私の事を見つめて」
「あっいや何でもない!今日も綺麗だなって」
「……ありがと、でもリーナこそ今日も綺麗よ。ね、もう一回言って」
でもまぁこうして一日に何回かは褒めてあげるとその度に嬉しそうにしてるので今はこれでいいかな
「可愛いよ、レディバ」
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午前の授業を乗り切り私とリーナは魔法実習の準備を始めていた
「今日の実習は対人間戦がメインらしいわ」
「そうなんだ、じゃあいつも以上に気をつけないとね」
「えぇ」
私達の実力ならそうそう負けはしないだろうが万一を考えておくことも重要だろう
「ねぇレディバ、こっち見て」
「どうしたの?」
リーナは私の髪に触れるとパチッと何かを取り付けた
「えへへ、はい鏡。前に街に行った時レディバに似合うかなって思って買ったんですけど………似合ってます」
よく作られた小枝の髪飾り、綺麗な装飾が施された一流品だろう
「これ………いいの?」
「是非!私は普段レディバに貰ってばっかりだからたまにはお返ししたいなって……気に入ってくれると良いんだけど……」
「……一生大切にするわ、何があっても」
レディバが私の事を考えてプレゼントしてくれたもの、そんな物、大切にするしかないじゃない。死んでも離してやらないわ
「さ、実習に行きましょう。今日は何だかいつもよりも力が湧き出るわ」
「はい!」
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魔法実習が始まってから30分、私達はクラスメイト全員から狙われていた
「右来てるわ」
「後ろも三人いるよ、正面やや左に1人」
「やってしまいましょう」
木々の間を飛び移り1人ずつ的確に狙っていく
「開け場所に出るから気をつけt「うわぁぁあぁぁぁぁ!!!!!」
開けた場所まであと少しの場所で隠密スキルを使っていた1人にリーナが撃ち落とされる
「レディバ先に行って!」
リーナの方には三人、私の方には4人の敵がいた
「っ!何かあったら「すぐ言うから!!」
私はレディバを置いてさらに奥へ奥へと突き進み平地へ出る
先に平地へ抜け出した分迎撃する準備が整う
同じ様に木々の間から飛び出してくるクラスメイト(敵)を撃ち落としていく
人が多いわね…これは………やれらたかしら
おそらく、この魔法実習は私とリーナ以外の人間が手を組んでいる可能性が高い。
待て、もし本当に全員が手を組んでいるとするならアジャイとスティルも組んでいる事になる
しかし、私はその2人を見ていない
「まずい!」
リーナが危ないと思った瞬間、リーナと繋げた私の魔力ポケットから魔力が放たれた事を感じ取る
最近はリーナも魔力量が増えて自前の魔力ポケットから使う様になったが私の所から使うと言う事は自分の魔力が尽きた証拠!
私は急いで来た道を逆走しリーナの元へ向かうマズい、マズいマズいマズい!リーナが魔力を多く使っている事が分かる。つまりは激しい戦闘をしている証拠だ
「いたぞレディバだ!」
突然上空から三人降ってくる。どうやら待ち伏せをしていたらしい
「2人は回り込んで撹乱を!正面は俺が!」
やけに連携の取れた動きね。背景に誰か、優秀な支持役でもいるのかしら
しかしまぁ羽虫が何匹集まった所で人間様を倒すなんて出来ないのだけれどね
「邪魔するならやられても文句無いわよね!」
杖が地面との摩擦で火花を鳴らして唸りを上げる
こんなのと戦っている暇はない、今は急いでリーナの元へ向かわなければ
閃光弾を炸裂させて私は急いでリーナへ向かう
少し進むと激しい魔力のぶつかり合いが感じ取れる
「リィィナァァァ!!!!!!」
私は一直線に突き進む。が、冷静さを欠いたツケが来た
「あ?」
普段はしないであろう地雷トラップに引っかかってしまった
爆発と共に激しい閃光弾が殺烈して視界を奪われる
「ギィっ!目がっ……」
閃光と共に背中に痛みが走る。先ほど潰し損ねた羽虫が私を追っていたらしい私は執念で魔法を四方八方に撒き散らしたそして重たい身体を引きずってリーナの元へ向かった
微かに戻ってきたら視界の中ではアジャイとスティルに追い詰められているリーナが見えた
腕を負傷したのかだらんとぶら下げ頬からは血が滴り服の一部は焼けこげている
「り……なー」
あと一歩前に歩けば加勢出来るのに私の足は棒になったかの様に動かない
「来るなら撃つぞ!」
「やってみろよ」
リーナは勇ましく吠えるがそれは誰にも響かなかった
「エカテリーナ、もう降参してしまおう。大丈夫、何もしないよ。それに君はあの魔女に誑かされているだけなんだろう?だったら君は何も悪くない、学園中が君の味方だ」
「黙れ!レディバが魔女!?な訳ないだろ!レディバは誰よりも強くて賢くて優しい聖女だ!レディバこそがこの国を導くに相応しい聖人君子の生き字引き何だよ!」
初めて聞くリーナの怒鳴り声、初めて見るリーナの本気の顔、その全てを私の為に、私の名誉のためにしてくれている事がこんな状況なのにとても嬉しい
「………エカテリーナ、それじゃあ少し乱暴しても文句無いよね?どんなに叫んだってここへ誰もこないよ、先生だって黙認している」
「…は」
スティルはリーナの服を掴むと乱暴にはだけさせた、下着が露わになりリーナが苦しそうにうなっている
「辞めろっ!辞めろ辞めろ辞めろ!リーナに手を出すな!」
私の全力の声は誰にも届く事なく木々に吸い込まれた
目の前で男の汚い性欲の捌け口にされそうになっている自分の大切な人1人守れそうに無い自分が悔しくてたまらない
食いしばる歯が音を立てて砕けそうになる
あの時と同じだ自分の中で何かが壊れそうになるこの音
私は杖を持ってしっかり標的を絞り、魔法を放つ
「辞めろ!やだっ!たすk『パァン』
空気を振るわせんとばかりの魔力の塊がスティルの胸を貫いた
「っ!レディバてめ『パァン』
ただ魔力を極限まで詰めた弾を凄いスピードで打つだけの魔法、純粋な力がこちらに向かうアジャイの足を撃ち抜く
「リーナっ、悪いけれど今立てそうにないのよ………ふふ、助けてくれないかしら」
最後の力で撃った魔法のおかげで身体から力が抜ける
「レディバ!レディバ…!ありがとう!レディバっレディバ………」
リーナは私の元へ駆け寄ってくるとしっかりと抱きしめてくれた。力の抜けた私をおぶってゆっくりと出口を目指して歩いていく
「レディバ!さっきの魔法凄かったね!」
「そ、そうかしら……殺傷力が高すぎて扱いづらい気もするのだけれど」
「でも私の事を守ってくれたじゃん、本当にかっこよかったよ。ありがとう」
「……もう」
恥ずかしげもなくそんな事をよく言えるものだ、全く
「私達どうなっちゃうのかしらね」
「先生もあっち側みたいだし………レディバはどうしたい?」
「私?私はリーナといれたらそれで良いわ」
「なにそれ、でも私もおんなじ気持ち」
よく乾いた木の葉を踏む音だけが良く響いた気がした
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私達はそのまま自分の寮へ帰ってきた。レディバを布団に横にして浴槽にお湯を張る、お互いにかなり疲弊し切っていたので私もレディバと同じ布団に潜り静かにお湯が沸くのを待つ
「リーナ…少し近くないかしら」
「レディバは嫌だ?」
「誰もそんなこといってないわ、それにそんな中途半端な場所じゃなくてもっと寄りなさい」
レディバにお腹を掴まれて引き寄せられる。お互いの顔が近づき息遣いがよく聞こえた
「今日、レディバがあのまま好きにされなくて良かった」
「私もあのときレディバが来てくれてよかった」
レディバは私の胸に顔を埋めてくぐもった声で「何処にも行かないでね」と囁いた
私も呼応する様に当たり前でしょと抱きしめる強さを増した
「ふふっ、やっぱり私達って少し仲が良すぎないかしら、これじゃまるで恋人見たいね」
「うっうぇ、えぇ!?何ですか急に!」
「思った事を言っただけよ?」
「…!!もう!軽々とそんなこと言わないでください」
「照れてる?可愛らしいわ」
「っっっ!!!!お湯が沸いたと思うので見てきます!!」
「あっ…………」
全く…人がどんな気持ちで普段過ごしていると…………ぶつぶつ思いながらお湯が張っている事を確かめる
暑くないくらいのちょうど良い湯加減
「レディバ、お風呂出来たよ」
レディバを迎えにいくと布団の中でスヤスヤと寝息を立てて眠っていた
「……いっぱい頑張ったもんね」
レディバの頬に手を添えておでこに唇をそっと当てる
「明日は何をしようか」




