第四章 3
ルカは、またゴシゴシと頭を拭いていた。
「ケイタ!話が違うじゃないか!」
「いやっ、悪い!ああ来るとは思わなかった!」
ケイタ、苦笑い。
その時――
ヒマリが、ぽつり。
「ところでお主ら……のんびりしててよいのか?」
一拍。
「デカい魔獣が、近づいておるぞ?」
空気が、変わる。
「ええっ!?ライム、本当かっ!?」
(う〜ん……ごめんケイタ!)
ライムの声が、揺れる。
(なんか……よくわからない……)
「えっ?」
ケイタの顔が曇る。
「どうした?」
(縫合宮に入ってから……気配がうまく掴めないんだ……)
「……この霧のせいか?」
(たぶん……でも、はっきりしない……)
「まずいな……」
その横で――
ミイアも、表情を硬くする。
「ケイタさん……ここ、かなり干渉が強い」
「感知も……制御も、外みたいにはいかないかも」
空気が、重い。
「……とにかく!」
ケイタ、即判断。
「ライム!準備!」
(うん!やってみる!)
――変化開始。
ケイタの体が、歪む。
揺れる。
まとまらない。
「……おいライム!」
ケイタ、眉をひそめる。
「形が変だぞ!」
(ごめん……思考がまとまらない!)
(今回は……シンプルにいく!)
一瞬。
(ブレードでいい?)
「了解!」
ケイタ、即答。
「両手で頼む!」
――変形。
ギチッ……!
骨が軋むような音。
両腕。
肘から先が、鋭く伸びる。
刃。
冷たい光を反射する。
その瞬間――
〝グワギャアアアアッ!!!〝
轟音。
空間が震える。
霧が、揺れる。
現れた。
巨体。
象のようなシルエット。
だが――
異様。
全身。
硬質の皮膚。
まるで鎧。
光を弾く。
サイズは――
通常の象の、二倍……いや三倍。
圧。
「……デカいな」
ケイタ、低く呟く。
ミイア、声を上げる。
「ケイタさん!これ……普通の魔獣じゃない!」
「気をつけて!」
緊張が走る。
「了解!」
ケイタ、一歩前へ。
「少し離れててくれ!」
地面を蹴る。
踏み込み。
一直線。
狙いは――脚。
低い位置。
スピードを乗せる。
――斬撃。
ガッキィィィィン!!!
金属音。
火花。
衝撃が腕を貫く。
「っ!?」
ビリッ――!
痺れ。
ケイタの体が弾かれる。
数歩、後退。
ブレードが震える。
「……固すぎる!」
歯を食いしばる。




