第二十六話 エリー&カルナvsアリス
襲ってくるゾンビを俺のスケルトンが切り捨てて行く。
少しの間、攻防を重ねたが一人一人の単体での差は歴然だ。
向こうのゾンビが百は削れたのに対して、こちらは数体だ。
『練兵ですか』
「ああ。三年前からずっと俺はこのスケルトン達を鍛えて来た。そうそうやられはしないぞ」
このスケルトン達でドラゴンを討伐した事もあった。
最強の軍団だ。
『ならばこちらも量で粉砕して差し上げましょう!』
「やってみろ。全滅させてやるよ」
二つの軍勢がぶつかり合った。
アレンとセバスチャンの軍勢対決が激化する中、こちらでももう一つの戦いが起きていた。
『ねえ。遊びましょう!』
アリスは空中にふわふわと浮いて、エリーとカルナを挑発する。
周囲に飛んでいるのは大きめの水晶だ。
「良いでしょう」
「上等です!」
『あはっ!』
二人が受けるとアリスは嬉しそうに笑った。
瞬間、飛び交う水晶が一気に襲った。
「フレイムウォール!」
だがエリーが炎の壁が起こし、水晶を溶かして無効化した。
『凄~いっ!』
「舐めすぎです!」
自分の攻撃が防がれたと言うのに嬉しそうにアリスは笑った。
『なら、これはどうかなー!?』
アリスの周囲に丸いシンプルな鏡が出現し、縦横無尽に飛び回る。
「鏡……。ということは、あれは貴方の仕業ですか」
『そうだよ! 鏡魔法鏡世界!』
もしそうならばどれ程の魔力なのか……。
カルナは少し戦慄した。
この鏡世界は空間魔法の一種だ。
しかも空間を創り出して、その中に他者を転移させる。
魔力量もそうだが、普通じゃない……。
『鏡魔法 鏡反射!』
一つの鏡が光を反射し、また別の鏡へと反射を繰り返していく。
何度も反射されるうちに光は強力になって行った。
『あははははっ! これを防げるかなー!?』
アリスが言う通り、この光がこちらに向けられた時、防ぐのは不可能だ。
ならば……。
「エリー、全力で!」
「良いんです!?」
「ええ!」
どのみち、このままだと負けてしまう。
攻撃こそが最大の防御だ。
エリーは杖を構えて魔力を込め始めた。
「爆炎よ。坂巻き、荒れ狂い、焼き尽くせ!」
『あはは! いいよいいよ!』
「ファイアストーム!」
『鏡光射出!』
アリスから放たれるのは鏡によって反射されて強大になった光線。
エリーから放たれるのは天に届きそうな、巨大な炎の竜巻。
双方はぶつかり合い、巨大な爆発を引き起こして相殺した。
『まだ、まだ、もっと遊んでよ!』
「神聖魔法 光明の鎖縛」
『いや、何で!? こんなもの……!』
「無駄ですよ。この鎖は千切れない」
アリスは何とか鎖を解こうとするが、まったく解けなかった。
神聖な力によって縛られているだけで幽霊のアリスは弱って行った。
最早、半分は透けていて成仏寸前だ。
『鏡……』
「鏡?」
『私の鏡、どこ?』
そして消える寸前、アリスはそんな言葉を呟いた。
何となく、カルナが周りを見渡すと使い古された手鏡が落ちていた。
『鏡……』
その呟きを聞いてカルナは手鏡を拾わずにはいられなかった。
拾った手鏡をアリスに渡す。
『私の、鏡……。ありがとう』
すると手鏡を胸に抱いて、アリスは消えて行った。
「死の女神の祝福があらんことを」
カルナは首に巻いたロザリオを握り、神に祈った。




