第152話「続ラーメン屋さんでアルバイト」
コンちゃん、ラーメン屋さんにツケ溜めまくり。
でもでも、イケめんさんの対応もわるいと思うの。
コンちゃんにラーメンを出したら、ずっと入り浸っちゃうの確実です。
でもでも、なんで「ミコちゃんに言うよ」って言わないんでしょ?
そうすればあの女キツネは帰るしかないような気がするんですけどね。
今日も山のパン屋さんはたいくつです。
お客さんがいない~
さすがにわたしも不安になっちゃいます。
パンが残ると……おやつもごはんもパンになっちゃうし。
それにお仕事も何もする事、なくなっちゃうの。
トレイとトングを拭いて、パンを包む袋を準備して、それで終わりです。
一組でもお客さんがいてくれると、気を配らないといけないからたいくつじゃなくなるの。
あ、あんまり多いと大変なんですけどね。
観光バスが3台とかいっぺんに来たらパニックなの。
「ポンちゃんポンちゃん!」
ミコちゃんの声です。
なにかな?
「ポンちゃん、今、ヒマ?」
「お客さん全然です、ヒマですよ」
「あらら、お客さん全然は困ったわね」
「本当ですよ、おやつがパンのうちはいいけど、ごはんがパンだと凹みます」
「パン屋さんだしね」
「です」
ミコちゃん、冷蔵庫にプリンを並べながら、
「どうしよう、プリン、残っちゃうわね」
「毎日作って、全部売れてるんです?」
「うーん、大体平日10個、日曜日は30くらい?」
「そうだよね、日曜日は棚、全部埋まってるもんね」
そう、たくさんあるミコちゃんのプリン、それでも日曜日は完売しちゃいます。
わたし、レジやってて売り切れを謝るの、よく覚えてます。
ミコちゃん、腕組みして考える顔。
「ぽんた王国に置いてもらえないかしら」
「ぽんた王国……長老がやってるから置いてもらったらいいのに」
「でも、ぽんた王国はお豆腐屋さんだから、プリン似ててどうなのかしら」
「似てるけど、味は全然ちがうよ」
「そうなんだけど」
って、ミコちゃんの頭上に裸電球点灯です。
「そうだ、ラーメン屋さんに置いてもらうのはどうかしら!」
「え! ラーメン屋さんに?」
「そう、いいアイデアと思わない?」
「えー、ラーメンにプリンですか? むう!」
わたし、ちょっと想像できません。
ラーメン屋さん……あの残念なイケメンさんがやってるお店は、本当にお食事だけのお店です。
そりゃ、たまにご馳走になりますよ。
「子供連れのお客さんが来たらジュースとか出してるけど……」
「なに、ポンちゃん、合ってないみたいな言い方」
「だって、あのラーメン屋さんは本当、お食事ばっかのお店ですよ」
「どゆこと?」
「ここは、ほら、神社の帰りに寄ってく人がお客さんだったりしますよね」
「そうね、そんなお客さんが多いわね」
「そんなお客さんはお茶ついでにパンをつまんだり、プリンなんかでまったりするのがいいんですよ」
「喫茶店とか、そんな感じかしらね」
「わたし、喫茶店て知らないけど、ですね、きっと」
「ラーメン屋さんはごはん食べるお店……」
「ですよ、長老のおそば屋さんとラーメン屋さんはごはんのお店です」
「プリンはそぐわないと」
「うーん、正直なところ」
「そこまで言われるとダメかしら」
「ミコちゃん……」
「なに?」
「ちょっと、わかってましたよね」
「む……」
「解ってて言ってますよね」
「む……うん、ポンちゃんの言うとおり」
「プリン、作るの止めたら?」
「止めてもいいけど、全然売れないわけじゃないし」
ミコちゃんのプリンは確かにおいしいけど……
いや、プリンはスーパーで売ってる3個セットのやつがおいしいんですよ。
ミコちゃんの「本格」よりも「あまあま」なヤツの方がゼッタイおいしいんだから。
「でも、やっぱりラーメン屋さんに売りたいの」
「ミコちゃん……まさかミコちゃん、ラーメン屋さんのイケメンさんが好きとか!」
「え? なに?」
ミコちゃんの顔にウソ・イツワリはないみたい。
イケメンさんがお目当てではないみたいですね。
「ちょっといいかしら……ゴット・サーチ!」
ミコちゃんがテレビに向かって手をかざすと、地図が表示されました。
ちょうどラーメン屋さんに赤い点が表示されてます。
「ミコちゃん、ラーメン屋さんの場所くらいわかりますよ」
しかしゴット・サーチ、ネットの地図検索みたいですね。
ミコちゃん、眉をしかめながら、
「この赤い点はコンちゃんよ」
「コンちゃん……配達に行ったままですね」
「でしょ、老人ホームに行ったきりよね」
「ラーメン屋さんでゴチになっていると」
「それ以外に考えられる?」
「ううん」
「どうせツケも溜めてるのよ、あの女キツネはモウ」
「怒られるってわかってて、どうしてツケを溜めるんでしょう?」
「それもそうね」
ミコちゃん、わたしの手を取って、
「ちょっと行ってみましょう」
「え!」
「ゴット・ワープ!」
「わ、わーぷ!」
「ゴット・ステルス!」
「す、すてるす!」
ラーメン屋さんまで「あっ」という間なんだから。
配達もコレじゃダメなのかな?
さて、ラーメン屋さん店内。
わたしとミコちゃんは「ステルス」で透明人間状態なの。
『ミコちゃんミコちゃん、どうしてステルス?』
『あの女キツネの悪行を確かめる為よ』
『いや、確認とかしなくてもいいかも』
ラーメン屋さんはまだ時間がはやくて、お客さんいません。
コンちゃんはカウンターに陣取って、置いた指をトントンさせながら、
「これ、ラーメンなのじゃ、ラーメン」
「え、えっと、お金持ってます?」
「ああん? わらわは神ぞ、神! 神からお金を取るのかの!」
「お店ですので」
「ああん? 神には無料で供するのが普通であろう、おお、のお!」
カウンターの向こうに厨房あって、イケメンさんがネギを刻んでいるみたいです。
できるだけコンちゃんと目を合わせないようにしてるみたい。
『うわ、コンちゃん感じ悪ーい、まったくモウ』
『でも変ね?』
『ミコちゃん、どうして?』
『ポンちゃんだったら、どうする?』
『そんなの簡単です、ツケノートを出して、ミコちゃんに言うよ~って言えば終わりです』
『よね、花屋のお兄さん、知ってる筈なんだけど』
『それを言われると、そうですね』
なんで「ミコちゃんに言う」って言わないんでしょ?
ツケノートを作ってるお店はみんな言うんですよ。
『いや……ちょっと待った、ミコちゃん』
『どうしたの、ポンちゃん?』
『だいたいツケノートがおかしいんですよ、どうしてお店に来た時点で「ミコちゃんに言うよ」って言わないんでしょ』
『それもそうよね、ワープしてとっちめるのに』
『でしょ、ちょっと様子、見てみましょ』
って、コンちゃん髪をうねらせながら手が光りだしました。
「ゴット・ガン!」
光る拳銃から一発。
イケメンさんの近くを通り過ぎて、柱に穴が空きます。
「ラーメンを出すのか、作るのか、早くせんかっ!」
『作るの前提なんですね、選択肢なし』
『あんな事されて逆らう人いないわよ』
イケメンさん、ちゃっちゃっとラーメン作って出します。
「はい、ラーメン一丁」
「うふふ、おぬしの事は大好きなのじゃ」
「……」
もう、出るものさえ出れば満足みたい。
おいしそうにすすって、ツユも全部飲んで完食です。
「ふふ、おぬし、また腕を上げたのう、今日もうまかったのじゃ!」
って、挨拶すると、とっとと暖簾をくぐって出て行っちゃうの。
「はぁ~」
イケメンさん、深いため息とともにツケノートを出して書きかき。
わたしとミコちゃんのステルスモードも解除です。
「コンちゃんあれじゃ悪役だよ」
「うちのコンちゃんがごめんなさい」
「うわ! びっくり!」
イケメンさん、目を白黒させながら、
「いいいいつから!」
「ラーメンを注文する辺りから」
「だ、だったら早く出てきてくれたらよかったのに」
「そうそう、イケメンさんはどうして『ミコちゃんに言うよ』って言わなかったんですか?」
ミコちゃんも首を傾げながら、
「ええ、どうしてです?」
「いや……面倒くさいし」
「「面倒くさい?」」
わたしとミコちゃん、はもっちゃうの。
「何度か言った事あるんだけど……」
ケース1。
「ミコちゃんに言いますよ?」
「な! なにおうっ!」
「ミコちゃんに言いますよ? 今すぐ!」
受話器を取るイケメンさん。
途端に泣き出すコンちゃん。
「わーん、ラーメン屋が嫌がらせするのじゃ、ひどいのじゃ」
「うわ、面倒くさいですね、どっちが嫌がらせですか」
「いや、だから面倒くさいでしょ」
イケメンさん、とほほ顔で、
「それもお客さんがいる時とかでも平気なんですよ」
「うわ、面倒くさ!」
ケース2。
「ミコちゃんに言いますよ?」
「な! なにおうっ!」
「ミコちゃんに言いますよ? 今すぐ!」
受話器を取るイケメンさん。
途端に隣で食べてる現場監督を揺すり出すコンちゃん。
「これ、現場監督よ、ラーメン代を出すのじゃ、わらわの分も!」
「うわー、今度は現場監督かー」
「監督さんだけじゃなくて、職人さんにも平気で強請るし」
ケース3。
「ミコちゃんに言いますよ?」
「な! なにおうっ!」
「ミコちゃんに言いますよ? 今すぐ!」
受話器を取るイケメンさん。
「クスン」
コンちゃん、体をくねらせながら、
「わらわ、体で払うのじゃ、イケメンのモノになるのじゃ」
「……みたいな」
ミコちゃん何度も何度も頭を下げて、
「すみません、スミマセン、ごめんなさい!」
イケメンさん、わたしとミコちゃんを見ながら、
「うちで働いてくれるなら、ミコちゃんやポンちゃんの方がいいんだけど」
「あー、コンちゃん働かないからですね」
「そうなんだよ、ツケを体で返すって、いるだけなんだよね」
ミコちゃん何度も何度も頭を下げて、
「スミマセン、ごめんなさい、きつーく言っておきますから!」
イケメンさん、ちょっと考える顔になって、
「まぁ、ラーメンおいしそうに食べてくれるのはうれしいんですが……」
「そ、そんな事言ってたら、あの女キツネはずっと来ますよ」
「そこなんだよね、なんというか、自然と来なくなってくれればいいんだけど」
って、ミコちゃん険しい顔になって、
「ここに来ない日もあるんですよね?」
「毎日じゃないですね」
「大体何日に一度くらい?」
「週に1・2度かな? 多い時は毎日だけど」
ミコちゃん、わたしをにらみます。
「え? なに、なんでわたしをにらむの?」
「コンちゃん、そんなに店を空けてるの?」
「うーん、一応毎日はいるけど、いない時間は結構あるかな」
「ポンちゃん、なんで教えてくれないの!」
「だ、だって老人ホームに配達に行ったら、お手伝いもするし~」
「そ、そうね……」
「給食ご馳走になったら、そのままお昼のドッチもやる事多いし~」
「む、むう……」
「観光バスが来る時はゼッタイいてもらわないと困るんだけど」
「そう言われれば、そうねぇ」
「最近はシロちゃんも入ってくれるし」
「コンちゃんいらん娘じゃない」
「今さら気付いたんですか~」
「「あはは」」
ミコちゃんとイケメンさん、一緒になって笑ってるの。
そんなイケメンさん、ニコニコしながら、
「せっかくミコちゃん、ポンちゃん来てくれたので」
出てきたのはラーメンです。
わたしとミコちゃんポカンとしちゃいます。
「どうぞ、食べてください、これはツケとかじゃなくて、試作品」
「「いただきます」」
わたしとミコちゃん、一緒になって食べてみますが……
ここのラーメンは白濁のとんこつラーメンなんですよ。
でも、今日出てきたのは琥珀色のツユですね。
試作品だから、麺となるとしか入ってないし。
うーん、とんこつスープはちょっとガッツリ感あるけど、このスープは正直薄味。
「うーん、わたしはとんこつの方が好き」
ミコちゃんは複雑な感じで、
「おいしいけど、とんこつラーメンより薄いわね」
あっという間に完食です。
「今の、どうでした」
「薄いかな」
「そうね、薄いわね」
イケメンさん、力なく笑いながら、
「鶏ガラでダシをとってみたんですよ、おいしく出来たと思ったんだけど」
って、イケメンさん、拳を固めて、
「今度から、コンちゃんにはこれを出そうと思うんです!」
「はぁ」
「今ので、完成品なんです!」
ミコちゃんは表情一つ変えません。
でも、わたしは違います。
「え! 今ので完成品で出すって事ですよね」
「そうです!」
「今の量って事ですよね」
「そうです!」
「麺となるとだけですよね」
「そうです!」
「こ、殺されますよ!」
ミコちゃんも状況が飲めたみたいで、
「こんな子供サイズで出したら、コンちゃんに殺されるわよ!」
そうなんです、試作品って思ったから、こんな量だと思ってました。
すごい、普通ラーメンの半分くらいの量なの。
絶対コンちゃん激昂します。
わたしとミコちゃんの言葉にイケメンさん、ようやくびびった顔。
「こ、殺される!」
「コンちゃんがどんな女か知ってますよね、あれでも一応神ですよ、なんにもしない神ですが」
「え、えーっと」
「こんな量の少ないラーメン出して、即切れますよ、あの女キツネ」
「でも、殺されるの?」
「わかってませんね、このイケメンさんは、こんなのじゃ、見た瞬間にあの女キツネ沸騰ですよ」
「沸騰するかもしれないけど、さすがに殺すは……」
この男は本当に危機感ないですね。
コンちゃん怒ったら山をも壊すんですから。
「メニューにあったら、さすがに怒らないでしょう」
「い、一応メニューにするつもりなんですね」
「こんな小さいラーメン食べる人いないと思うけど、メニューにあるのだったら、コンちゃんも怒らないだろうな~って」
「い、いや、そしたらとんこつラーメン出せって言い出しそうだけど」
「ともかく、一度お試ししてみます」
イケメンさんは自信あるみたい、どうしてその自信が生まれるかわかりませんが。
『ミコちゃん、どう思います!』
『ラーメン屋さん、やる気満々だからやらせるしか……死んだら骨くらい拾ってあげましょう』
ミコちゃんも助ける気はないみたいです。
ど、どうなっちゃうんでしょう?
「客もおらぬのう、わらわ、お散歩なのじゃ」
コンちゃん、いいとも言ってないのに出かけちゃいます。
わたし、ミコちゃん、もう居ても立ってもいられません。
店長さんのこのこ出てきて、
「コンちゃん、本当にモウ、さぼってばっかだね」
わたしとミコちゃん、店長さんを捕まえて、
「店長さんっ!」
「うわ、なに、ポンちゃん!」
「わたしとミコちゃんもお出かけです!」
「えー!」
「店長さんは店番やってて!」
「ちょ、ちょっとー!」
店長さんを置いて、わたしとミコちゃんでコンちゃんを追います。
「ポンちゃんも感じたの?」
「ええ、ミコちゃんも感じたみたいですね!」
「そろそろかなって」
ミコちゃん、目を閉じて、
「ゴット・ワープ! ゴット・ステルス!」
術を使ってラーメン屋さんの店内にワープです。
まだ、コンちゃんは……入って来ました。
お客さんはいません。
コンちゃんカウンターに座ると、
「これ、いつものヤツなのじゃ」
「……」
「お供え物を出すのじゃ」
も、とんでもない神さまですね。
でもでも、生贄を差し出すようにって言わないだけでもいいかな?
『ポンちゃんポンちゃん、でも、ラーメン出さなかったら殺されるわよ』
『生贄がラーメンなんですね』
イケメンさん、力ない微笑みでラーメンを作るの。
出てきました、小さめ鶏がらラーメン、トッピングはなるとのみ。
「どうぞ」
「!」
「新しい鶏がらラーメンです」
「新作かの」
コンちゃん、髪をうねらせながらも、ラーメンどんぶりを持って一口。
って、うねっていた髪が固まっちゃいます。
薄味で、激昂してませんかね。
いやいや、コンちゃん、どんぶりを下ろすと、黙ってすすり始めました。
すると、お店の引き戸がカラカラ鳴って、お客さん入って来ましたよ。
お昼にはまだ早いけど……神社帰りの女のお客さんです。
イケメンさんに挨拶すると、テーブル席へ。
挨拶の感じだと常連さんっぽいです、パン屋さんでもたまに見ます。
そんなお客さん達、コンちゃんをガン見なの。
コンちゃんはムスっとした顔で麺をすすっては、スープをすする……を、繰り返しです。
イケメンさんが注文をとりに行こうとしたら、
「これ、待たぬか!」
「な、なんです?」
「もう一杯なのじゃ」
「う……はい」
イケメンさん、口元をひきつらせながら微笑むの。嫌そう。
そしてテーブルのお客さん達のところへ。
常連さんなのでイケメンさんも、
「いつものですか?」
「いや……」
「?」
お客さん達、コンちゃんを指差して、
「同じものを」
「……」
みんな、同じのを注文です。
イケメンさんは厨房に戻ってさっさと作ると、みんなの前にどんぶりを置いていくの。
『ミコちゃんミコちゃん、なんだか最初からいきなり売れてるけど』
『本当、びっくりね』
コンちゃんはムスッとした顔で新しいどんぶりに手をつけ……
お客さん達も真剣な顔で食べ始めるの……
コンちゃんはさも不満そうな顔なんですが……
お客さん達はびっくりした顔で麺をすすってますね……
『みんな、おいしそうに食べてますよ』
『本当ね……昨日と味が違うのかしら?』
わたしとミコちゃん、厨房に移動、コンちゃんの見えない角度でステルス解除。
ジェスチャーでスープを味見させてもらうの。
昨日のスープと同じ味です、薄味なんですよ。
コンちゃん、ムスッとした顔で、でもでもしっぽを興奮気味にブンブンさせて席を立つと。
「うむ、なかなかうまかったのじゃ、量が少ないがの」
格好つけてますが、しっぽがハイテンションなのバレバレなんです。
暖簾をくぐって出て行くコンちゃん。
わたしとミコちゃん、イケメンさんでお客さんのところへ。
「あら、ポンちゃん、パン屋さんはいいの? ミコちゃんも」
「このラーメン、量少ないし、なるとだけですよ?」
わたしが聞いて、イケメンさんとミコちゃんも頷くの。
お客さん達、ニコニコして、
「ラーメン、ちょっと重たかったから、いい感じだし」
「薄味だけど、ちゃんとダシが取れてておいしわ」
「ちょっと食べるだけなら、いい感じよね」
「コンちゃん、おいしそうに食べてたし、しっぽ振りまくり」
イケメンさん、真っ青になって、
「うわ、また食べに来る、絶対来る」
ミコちゃん、ペコペコして、
「ごめんなさい、ゴメンナサイ、きつーく言っておくから!」
また、新しいお客さんです。
みんな小さいラーメンを見て、「同じのを」です。
「ねぇ、ラーメン屋さん」
「な、なに、ポンちゃん」
「このラーメン、真面目に作ってますよね」
「だ、だって~」
ダメです、この男、根っからの真面目です。
「コンちゃんを追い出す」を忘れちゃってるんだもん。
「じゃあ、これ、いいわよ」
村長さんは言いながら、小さな容器を二つくれるの。
ムースです、ムース、学校給食に出るヤツです。
「わーい、ムースなのじゃ!」
「甘いのは嬉しいかも!」