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第154話「たまおちゃんミッション」

 たまおちゃんは、コンちゃん・ミコちゃん一筋……

 でもでもいつも、コンちゃん達に相手にされてないんです。

 そんなたまおちゃんが、またまた勝負に出るんですよ。

 次から次に囚われる村人たち。

 最後に残るはコンちゃん・ミコちゃん。


 今日も山のパン屋さんは開店です。

 でもでも、一番最初のお仕事は……

「ポンちゃん、配達ね~」

「はーい……って、むー!」

「どうしたの?」

「これ……」

 配達するのはドラ焼きです。

「どうしたの、ドラ焼きだけど」

 ミコちゃん、事も無げに言います。

 わたし、そのドラ焼きを一つ取って、

「大きいドラ焼きですよね」

「?」

 ミコちゃん首を傾げてます。

 大きなドラ焼き……大きいって事はないと思うけど、小さいドラ焼きが出来たから、ノーマルサイズが大きくなってるんです。

「神社に配達だよね?」

「そうよ、ついでに駄菓子屋さんのおばあちゃんにもお願いね」

「はぁ……」

「どうしたの、ポンちゃん?」

 わたしも配達用のバスケットには、大きなドラ焼きが20個と、おばあちゃんの注文の分らしい紙袋があるんです。

「わたし、行きたくないな~」

「なんで?」

「だ、だって……」

 ミコちゃんはここに至っても「事も無げ」。

 わたし、定位置で「ぽやん」とテレビを見ているコンちゃんに目をやるの。

「たまおちゃん、ミコちゃんかコンちゃんに配達って言ってない?」

「べつに? 聞いてないけど?」

「本当に?」

「うん、ドラ焼きを20個、お願いしますってだけよ」

 本当かなぁ。

 わたしが配達に行くと、いつもたまおちゃん、「何故ポンちゃん」って言い出すんですよ。

 なんだかわたしが行くと、たまおちゃん不機嫌だし、わたしだって不機嫌になっちゃいます。

「わたし、いつも嫌そうな顔で迎えられるんだけど」

「だって配達、ご指名なんて受けてないわよ」

「本当に~?」

「本当よ」

 ミコちゃん、もうわたしに背を向けて、コンちゃんの配達バスケットを準備してるの。

 コンちゃんはバスケット二つです。

 内容からして、学校給食の食パンと老人ホームの朝パンですね。

 ミコちゃん、準備が出来たら、

「コンちゃーん、配達ー」

「えー、配達ー」

 コンちゃん言われて嫌そうな返事をしながらやって来るの。

 わたしのバスケット1つを見て、それからミコちゃんの準備しているバスケット2つを見て、一瞬声を上げそうになります。

 でもでも、すぐに頭に「!」マークが浮かんで、

「ふむ、しかたないの、行くかの」

「ちょっと待たんか!」

 わたし、コンちゃんの髪を捕まえるの。

「首カックン」でのけぞるコンちゃん。

 不機嫌な顔でわたしをにらむの。

「何をするかの!」

「えへへ、コンちゃん、わたしのバスケットは1個でーす」

「だから何かの?」

「コンちゃんのは2個ですよ、どうです、交代しませんか?」

 わたし、ミコちゃんをチラ見。

 ミコちゃんは背を向けて知らん顔。

「交代、しませんか?」

「いいのじゃ、わらわ、ミコの準備に従うのじゃ、行ってきますなのじゃ」

「待たんか!」

「ちょ、髪を離すのじゃ、ポンよ」

「交代してあげましょうかって言ってるんでしょー!」

「嫌なのじゃ、神社に配達なぞ、罠が待ち構えておるだけなのじゃ」

「たまおちゃんは『ねんごろ』になりたがってるんですよ」

「だからじゃろうが、行きたくないのじゃ」

 コンちゃん、大きなバスケットに念を送るの。

 ふわふわと宙に浮かぶバスケット……コンちゃんの術、便利ですね。

 コンちゃん、両手が空いたところで、

「ポン、髪を放さぬか!」

 言いながら、その手に「ブウン」なんて音をさせて「ゴット・ソード」登場です。

 つかんでいない髪、へびみたいにうねりまくり。

 わたしと腕に絡みまくりです。

「ポン、髪を放さぬか!」

 コンちゃんがゴット・ソードを左右に揺らすと、「ブウン」なんて音も揺れるの。

 ゴット・ソード、なんか当たったら痛そうです、ビリビリきそう。

「ちっ!」

 わたしが舌打して手を放すと、コンちゃんダッシュで出て行っちゃうの。

 カウベル、すごい「カラカラ」鳴って、わたしもミコちゃんも呆れます。

「そんなにダッシュで行かなくても」

「私だって神社に配達、行きたくないし」

「ミコちゃんも言うの~」

「だって、ポンちゃんなら大丈夫でしょ」

「でも~」

「でも?」

「たまおちゃん、わたしが行くとうんざりした顔で『何でコンお姉さまじゃないの!』だよ」

「そ、そう……」

「わたしの心がくじけるよ」

「ポンちゃんはたまおちゃんと仲良くなりたいの?」

「……」

 そう言われれば……

「今のままでもいいですかね、特に仲がいいともわるいとも」

 そうです、たまおちゃんとケンカしてるわけでもないです。

 普通に一緒に暮らしています。

 ごはんを食べる時にお話もするし、一緒にお風呂に入ったりもしますね。

「じゃ、ポンちゃん、配達お願いね」

「むう、しかたない、行くとしますか」

 まぁ、コンちゃんを捕まえたりとかしましたが……

 わたし、別段神社の配達が嫌って訳じゃないですね。

 いやいや……

 よくよく……

 考えたらですね、わたしにとって「メリット」多いですよ。

 学校の配達は、子供の面倒を見ないといけないし……

 老人ホームの配達だって、職員さんのお手伝いする事しょっちゅうですし……

「ぽんた王国」の配達も、あればお手伝いとセットと思った方がいいし……

 神社の配達も「お手伝い」あるけど、社務所に座って「売り子」。

 きっと、断然、らくちんな筈です。

「何故ポンちゃん」って言われて心がくじけるくらい、我慢がまん!


「たまおちゃん、配達に来たよ~」

「ああ、今日も何故ポンちゃん~」

「なに、わたしが来たらダメなの?」

 予想通りの反応にわたしは苦笑い。

 たまおちゃんは御守や御札の向こうでため息まじりに、

「コンお姉さまを指名していたのに」

「そんなサービス、パン屋さんではやってません」

「チェンジ、チェンジです!」

「怒りますよ! そんなサービスもないんです」

「今度、パン屋さんのお品書き、書き換えましょう、『ご指名サービス0円』みたいな」

「0円……タダかよっ!」

 たまおちゃん、わたしの差し出すバスケットを受け取りながら、

「今までコンお姉さまを先に攻略と思ってました」

「……」

「ミコお姉さまを先に攻略するのがいいのでしょうか?」

「もうあきらめたら?」

「ポンちゃん、店長さんあきらめたら?」

「たまおちゃん、言いますね! わたしはいつだって攻めてるんです、水の一滴は岩をも砕くんですよ」

「ポンちゃん、難しい言葉知ってますね、でも、のんびりしてるとコンお姉さまに盗られますよ」

「む!」

「シロちゃんだって、店長さんを狙ってますよね」

「う!」

「勝てますか?」

「わわわわたしはコンちゃんやシロちゃんと違って『若さ』があるんですよ! 設定では『中学生くらい』でピッチピチなんですっ!」

「ピッチピチ……ねぇ」

 たまおちゃん、バスケットから出したドラ焼きを並べながら、

「ポンちゃんはのんびりしすぎです」

「たまおちゃん、なにを!」

「いいですか、ミコお姉さまだって、もしかしたら店長さんを狙ってるかもしれませんよ」

「はうっ!」

 ミコちゃんは無敵です。

 なんたってごはん作ってるんですから。

「みどりに脅威を感じた事はないですか」

「えー!」

 みどり……おでこが広くて、三つ編みで、眼鏡。

 でも、確かに、大きくなったらかわいくなるかもしれません。

 それにわたしよりも「若い」し。

 今のうちに亡き者にするべきなんでしょうか?


 で、翌日なんですが……

「ポンちゃん、今日も神社に配達、お願いね」

「むう、しょうがないですね」

 今日はコンちゃん、とっとと学校配達に逃げちゃってます。

 まぁ、交代はないだろって思っているので、別にいいんですけどね。

 シロちゃんがいてくれれば……って思ったりもするけど、シロちゃんもお散歩……パトロールに出ちゃってます。

「さて、行くか~」

 神社に向かって出発するの。


「また、ポンちゃんか~」

「たまおちゃん、言いますね」

「私、コンお姉さまを指名しているのに」

「そんなサービスないんですよ」

 わたし、ドラ焼きの入ったバスケットを手渡しながら、

「で、思うんですけどね」

「何です、ポンちゃん」

「たまおちゃん、朝、パン屋さんを出ますよね」

「ですね、それが?」

「ドラ焼き、持ってってくれればいいのに」

「そんな事したら、コンお姉さまを指名できません」

「いや、指名なんて出来ないから」

「ふう、どうしたらコンお姉さまとねんごろになれるのでしょう?」

 もう、あきらめたらいいのに。

 でもでも、ちょっと思いましたよ。

「今、追加で注文したらどうなるのかな?」

「え?」

「今、また注文したら、誰が来るのかな? ミコちゃんしかいない気が」

「早速電話しましょう」

 たまおちゃん、眼鏡の奥の瞳が「本気」です、「マジ」です。


 するとシロちゃんがやって来ました。

「配達に来たであります」

「はぁ、シロちゃんかぁ~」

「どうしたでありますか?」

 ため息たまおちゃんと、首を傾げるシロちゃん。

 たまおちゃん、わたしをにらんで目で語ります。

『ポンちゃん、誰もいないんじゃなかったんです?』

『シロちゃんパトロールから帰ってきてたんだよ』

 たまおちゃん、立ち上がると一度奥へ。

 何事もなかったかのように戻って来ると、シロちゃんをしばってしまうの。

「なにをするでありますか!」

「いいから、いいから」

 たまおちゃんは言いながら、また電話するんです。


 すると目の細い配達人がやって来ました。

「ミコちゃんに言われて配達なんだけど~」

 って、たまおちゃんプウと膨れて配達人をしばってしまいます。

「な、何故っ!」

「いいから、黙って!」

 たまおちゃん、言いながらまた電話ですよ。


 するとみどりがやって来ました。

「来てあげたわよっ!」

「……」

 たまおちゃん、みどりは縛らずに、

「せっかくだから、売り子をやってくれる?」

「しょうがないわね、やってあげるわよ!」

 って、みどり、縛られているシロちゃんと配達人を見て「?」な顔。

「いいから、いいから、売って売って!」

 たまおちゃん、言いながら電話するの。


 するとレッドがやって来ました。

「配達ゆえ~!」

「……」

 レッド、たまおちゃんに飛びつくとキス。

 たまおちゃん、キスされながらわたしをにらむの。

 キスしながらにらむのって、なんかコワ!

『ポンちゃん、誰もいないんじゃなかったの?』

『そんな事言われても~』

『そろそろネタもつきる頃よね』

 たまおちゃん、レッドも売り子にして、電話するの。


 するとポン太がやって来ました。

「こんにちわ、配達頼まれたので来ました」

「……」

 たまおちゃんの顔がどんどん険しくなるのがわかります。

 ポン太は縛られて、シロちゃん・配達人の仲間入り。

「何故!」

「いいから、いいから、ちょっと大人しくしてて!」

 言いながらたまおちゃん、ダイヤルします。


 するとたまおちゃんのお父さんがやって来ました。

「たまお、パン屋さんの人に言われて……」

 たまおちゃんの表情が一瞬で「鬼」に。

 お祓い棒を手にダッシュ。

「ちぇすとー!」

 おお、久しぶりに「ちぇすと」です。

 いきなりな攻撃に、たまおちゃんのお父さん吹き飛んで空の彼方へ、星になっちゃいました。

「たまおちゃん、すごい、強い!」

 売り子をしているレッドとみどりは拍手。

 縛られているシロちゃん・ポン太・配達人は頷いてますよ。

「なんでお父さんが来るのっ!」

 言いながらたまおちゃん、受話器を取ります。


 すると花屋の娘がやって来ました。

「パン屋にいたらお願いされ……配達人、ここにいるじゃん」

 花屋の娘、たまおちゃんにドラ焼きのバスケットを渡します。

 たまおちゃんはムスッとした顔で花屋の娘を縛りあげると、配達人の横に座らせて、

「なんでコンお姉さまが出ないのかしら?」

 ガチャガチャでもやってるような気分なんでしょうか?

 たまおちゃん、また電話をかけるの。


 すると千代ちゃんがやって来ました。

「なんだかお願いされて来ました~」

 って、千代ちゃん、レッドとみどりを見て、

「わたしもお手伝いするかな、学校帰るのもなんだし」

 売り子として参戦です。

 たまおちゃん、唇をわなわなさせながら、

「もう一回!」

 ガチャ、回します、電話するんです。


 するとポン吉がやって来ました。

「来てやったぜ」

「どーしてあんたが来るの、コンお姉さまじゃなくて!」

「いや、オレ、コン姉に言われて……」

「わたしはコンお姉さまに用があるのよ!」

「ななななんで縛るんだよ」

「いいからだまって縛られる!」

 たまおちゃん、ポン吉を縛り上げます。

 わたし、さっきからわからないんですよね。

「どうして縛っちゃうんです?」

「帰したら、また同じの出ちゃうでしょ」

「出ちゃう」と来ました、完璧ガチャガチャ気分ですね。

 たまおちゃん、ポン吉をにらんで、

「もう、パン屋にはコンお姉さまとミコお姉さましかいないよね?」

 コクコク頷くポン吉。

 たまおちゃん、電話をします。


 すると今度はいきなり社務所の、売り場の所に「ブウン」なんて音をさせて光が現れるの。

 その光が一瞬明るくなって、そして光が弱くなると……ドラ焼きの入ったバスケットがポツンと置いてあります。

「え?」

 たまおちゃんがキョトンとすると、電話が鳴ります。

 受話器を取ったたまおちゃんですが、うつむいてプルプル震えるの。

 電話が終わっても、うつむいたままですよ。

「たまおちゃん、どうしたの?」

「いいい今の見ましたか?」

 わたしの肩をつかんで、揺らさないでほしい。

「ええ、どうしたんです?」

「電話があって、ミコお姉さまが『届いたでしょ』って言ってました」

「ミコちゃんの術なんですよ」

「そ、そんな~」

 たまおちゃん、桃色オーラを全開で、

「私、絶対お姉さま達が配達してくれるって思ったのに!」

「だから来てるよね」

「こんなの、配達じゃないです、宅配と一緒です」

 それでいいじゃないですか……大体たまおちゃんはドラ焼きじゃなくてコンちゃんミコちゃんが欲しいだけだよね。

 その辺からして、問題なんでしょ。

 大体「配達」と「宅配」同じじゃないですか?

 たまおちゃん、草履をはきながら、

「私、パン屋に行く、今からミコお姉さまを押し倒しに行く」

「え? 神社ほったらかしで?」

「いいんです、私のこの気持ち、もう抑えられない!」

 言うとダッシュで行っちゃいました。

 千代ちゃんがわたしの服を引っ張って、

「ね、行かなくていいの?」

「どうして?」

 千代ちゃん、考える顔をして、

「ミコちゃんでもコンちゃんでも、ゴット・アローでたまおちゃん殺害」

「止めに行けと?」

「行った方がよくない?」

「むー、じゃ、千代ちゃん、神社よろしくね」

「行ってらっしゃい、早く行かないとたまおちゃん死ぬかも」

「もう、ちょっと死んだ方がいいかも」


 ふう、走って帰ってくると疲れます。

 たまおちゃんの背中が見えてきましたよ。

 ふふ、袴で走るたまおちゃんなんか、追いつくの朝飯前!

 でも、もう、パン屋さんも目の前なんです。

「あっ!」

 ミコちゃんとコンちゃん、並んでゴット・アロー発射&連射。

 たまおちゃんの体にサクサク刺さるの、あっという間にハリネズミ状態です。

「ふごっ!」

 吐血するたまおちゃん。

 いつになく、緊張のシーンです。

 ミコちゃんもコンちゃんも、容赦なさすぎ。

 たまおちゃん、血を流しながら、

「お姉さま達の愛を、愛を感じますっ!」

 死んだ方がいいですよ、きっと。

 ミコちゃんとコンちゃんもドン引きです、青くなってるの。

 ミコちゃん達の後ろから新たな影が!

 さっき星になった、たまおちゃんのお父さんです。

「ちぇぇぇすぅぅぅとぉぉぉぉーっ!」

 たまおちゃんのお父さんの一撃。

 面白いようにたまおちゃん、飛んでいっちゃうの。

「キラ!」なんて星になっちゃいました。

 たまおちゃんのお父さん、ミコちゃんとコンちゃんにペコペコ。

「うちの娘がスミマセン、すみません、スミマセン!」

 とりあえず、一件落着……なんでしょうか?

 たまおちゃん、どこまで飛んで行ったんでしょうね。


 あれれ、運動場の埋められたタイヤに帽子男が座ってますよ。

 どうしたんでしょうね。

「どうしたんです?」

「ああ、ポンちゃん、うん、別に」

 帽子男、一度はタバコを出したけど、わたしを見て引っ込めました。


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