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背筋に悪寒が走る。
なに、コイツ。
なんかヤバイ。
一歩、後ろに下がろうとしたらすごい勢いで両肩を掴まれ壁側に追いやられた。
「った!!」
背中が痛い。
「俺さ、顔とか特に気にしない方なんだよね。
こういう写真見たらソソルっつーの?
結構、君みたいなのもいいと思うんだよね…
何より、武藤の大切にしてるもんじゃないか?
この写真より酷い事したの見せたらどんな反応するか楽しみで…」
やばい、何言ってんのコイツっ!
「はっ…放して…!!」
やばい、やばい、逃げなきゃ。
どうにかして逃げなきゃ…!!
「うん、そこら辺の遊んでる女よりよっぽどいいと思うよ。何も知らなさそうで。
きっちり閉めてるボタンとか、化粧気のないとことか
ひざ下のスカートとか。教え込みがいがありそうじゃないか。
今のその怯えた顔もすっごくいい」
笑う。この人が怖い。
全身の血が下に下がって言ってるのが分かる。
「ひっ…!!??」
スカートの上から突然の感触。
「放せ!!気持ち悪い!!」
全身に鳥肌が。
吐き気が。
暴れようにも力が入らない。
人間って本当に怯えると抵抗とか出来ないんだ。
怖い。こんなに怖いと思うのは初めてだ。
「君を滅茶苦茶にしてくれって言われたからね。
君を良く思ってない人間からのお願いでね」
個人的に武藤にも恨みがあるしね。
この人が武藤君にどんな恨みを持ってるかなんて知らない。
でも、おかしくない?
恨みがあるなら本人に直接言え。
あいつ等も私に直接言いにこい。
喧嘩なら自分で売りに来い。
「ん、時間みたいだ、今日はこれお終い。
ああ、今日の放課後はいいや。写真もそのままにしといてあげるよ」
そう、耳元で言われた後に体を離された。
体に力が入らず壁に寄りかかる。
今頃足が震えてきた。
「ほら、お迎えが来たようだよ。月路さん、また今度」
顔を上げて目の前の男の顔を見た。
とても優越感に浸っているような。
「涼華!!」
この声は…
「やぁ、武藤」
武藤君…
「お前!!喧嘩あるなら俺に売ってこいや!!
関係ない奴巻き込むんじゃねぇ!!」
武藤君は今までにないぐらい怒って。
相手の胸ぐら掴んでいまにも殴ってしまいそうな勢いだ。
「はは、月路さんとはただ話してただけだよ」
へらへらと笑う顔を見たら吐き気がする。
「てめぇがただ話すだけで済むはずがねぇだろうが!」
頭が痛い。
未だに恐怖心が残ってる。
気持ち悪いぐらい感触が残ってる。
「放してよ、相変わらず野蛮だね」
「チッ」
「おい、涼華…」
え?
「武藤、きちんと守らなきゃ。
俺が壊すよ。まぁ俺以外かもしれないけど…
女の嫉妬はこわいねぇ」
はははと笑って遠のいてく足音。
二度と会いたくないと思った。




