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好き・苦手  作者: な吉
恐怖・涙
34/67

1








「おはよう!涼華」


「あ、おはよう。大沢さん」


5日前の騒動から大沢さんとよく会う。


「やっとアザとか引いてきたね」

やっぱり気にはしていたんだろう。


「うん。大丈夫だよ」


「…うん」



やっぱりなんとなく、元気がない。



と、いうより少し様子が変だ。



「大沢さん、どうかしたの?」




「え…いいえ。なんでもないわ」


私、教室行くから、と言って走って行ってしまった。



大沢さんと話すようになってから、周りの目がまた増えたような気がする。



…もう、気にしないようにしてたけれど。





大沢さんが走っていった方向を見てたら誰かとぶつかった。




「わっ」



「あ、ごめん」



ぶつかったのは見たこともない男子生徒だった。



「い…いいえ、こちらこそ…」


ぼーと立ってた私が悪いし。

私は逃げるように教室へ向かった。












「やっぱり…気になる」



「なにが」


ぼそっと言った言葉が隣の武藤君に聞こえてたようだ。


今は昼休み。


いつも居ない武藤君が教室に居る。


なんか変な感じだ。




「涼華が気にしてるのって大沢さんでしょ」


次期生徒会長と有望の赤里君の席でご飯を食べてる葛葉。



「うん。よく分かったね」


ふと気が付けば、私と葛葉と武藤君の3人。



珍しい組み合わせだ。



「最近大沢さん『友人』との仲がよろしくないらしよ」


「え」


「つーかどっからそんな情報を…」


驚く私と武藤君。




そうだ、葛葉は噂話に敏感だった。




「ん、良いじゃない、そんな事。

ソレより、噂じゃ3日ぐらい前から大沢さんを1人で見かけることが多いらしいわよ」



「それって…」



「今まで大沢さんと『友達』だって言ってたメンツが大沢さんを邪険にし始めたらしいよ。

大沢さんと同じクラスの友達に聞いたけど、

あまりの変貌振りに周りが驚いてるらしいって」



イジメ…。なんだろう。

まだそこまで大きくはなってないけど。


人間は数人がその行動を始めるとよほど気の強い人間じゃない限り逆らったりしない。

自分の身を守るために、イジメに加担する。


そしてクラス全体が自分がいじめられないかと顔色を伺い、

怯えながらリーダー格の人間の言う事を二つ返事で聞く。


そしてイジメは繰り返し、繰り返し行われていくんだ。



今のうちに、何とかしないと。

きっと酷い事になってしまう。



「涼華、心配?」


「うん。きっとあのメンバーは騒ぎを大きくするよ。

簡単なシカトぐらいで終わらないと思う」


きっと、あのメンバーは大沢さんを利用してただけだと思う。




あそこに居たメンバーは武藤君や赤里君が気に入ってるんだ。

薺は簡単に人の言う事を聞くような人間じゃない。

なにより普通の人は薺を怖がる傾向がある。


だから、大沢さんを選んだんだ。


当たり障りのない性格。

すぐに人を信用してしまう。



何より武藤君と幼馴染。


大沢さんと友達になることで武藤君と赤里君に近づきやすくなった。



きっと、そんな理由なんだと思う。




「ああ、どうりで」


え?


武藤君が隣で何か思い当たる事があるような…







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