1日目
気がつくと、俺は真っ白な部屋に立っていた。
壁も白。
床も白。
天井も白。
どこまでも続くような白い空間だった。
白い部屋には40人の高校生位の人達がいた。
誰もが不安そうな顔をしている。
それも当然だ。
突然見知らぬ場所に連れて来られたのだから。
「お母さんは?」
「家に帰りたい……」
泣き出す者までいた。
だが俺だけは違った。
何故か60年分の人生を知っている。
ここが普通の場所ではないことも。
周りを見渡すと
60歳の俺が18歳だった頃の友達がいる。
ありえない・・・
懐かしい顔が並んでいた。
40人。
中学一年生の同級生たち。
壁も天井も床も存在しない。
どこまでも白い部屋・・・
だが、一人ではなかった。
「ここどこだよ?」
「おい、誰かいるぞ!」
「なんだこれ……」
周囲を見て息をのむ。
見覚えのある顔ばかりだった。
高校3年のときの同級生たち。
40人。
全員そろっている。
懐かしい顔ぶれだ・・・
だけど
六人の顔を見た瞬間、俺の血の気が引いた。
男子3人
湯田
三輪田
伊藤
女子3人
佐古
沢田
そして橋若
白い部屋の隅で笑い合っている。
周囲から見れば普通の同級生だ。
だが俺にとっては違う。
忘れるはずがない。
俺を裏切った六人だった。
「どうした?」
湯田が話しかけてきた。
18歳の顔だった。
屈託のない笑顔。
まだ何も知らない。
まだ何もしていない。
俺は拳を握る。
今なら復讐できる。
だが本当に憎むべき相手は目の前の少年少女なのか。
それとも42年後の彼らなのか。
その時、白い空間の中央に光が集まった。
白く光る球体が現れる。
『皆さん、ようこそ。』
声が頭の中に響く。
と同時に40枚の扉が現れる。
『皆さんにはこれから職業を選んでいただきます。』
白い扉が開いた。
一人ずつ呼ばれ、同級生たちは奥の部屋へ消えていく。
数分後。
戻ってきた者は皆、興奮した顔をしていた。
「何だった?」
「秘密だ!」
「すげーぞ!」
やがて俺の番が来た。
白い扉を開く。
そこは静かな応接室だった。
向かいには一人の老人が座っている。
いや、老人にも見えるし若者にも見える。
不思議な存在だった。
『座りなさい』
俺は椅子に腰掛けた。
老人は書類を眺める。
『60歳。人生お疲れ様でした』
「俺だけ記憶があるのか?」
『そうです』
即答だった。
『君には特別な役割がある』
老人は指を組む。
『さて、能力だ』
机の上に白紙が置かれた。
『何が欲しい?』
『何を望む?』
主は静かに尋ねた。
俺は少し考えた。
隣の部屋から聞こえてくる。
「勇者!」
「賢者!」
「魔導士!」
そんな声ばかりだった。
当然だ。
18歳ならそうなる。
俺だって当時ならそう答えた。
だが今は違う。
60年生きた。
会社を転職したりもしたけど、割とまっとうに働いた。
家は高くて買えなかったけど、中古のマンションを買えた。
贅沢な暮らしはできなかったけれど、たまにいい店で外食できるだけの収入はあった。
仕事上、私生活上、何人にも裏切られたこともある。
その経験から分かる。
本当に強いのは戦士じゃない。
社会を作る人間だ。
「クラフト能力が欲しい」
老人が眉を上げた。
『珍しいな』
「武器を作る」
「道具を作る」
「薬を作る」
「拠点を作る」
「農地を作る」
俺は主を見る。
「生き残るためにはそれが必要だ。」
主はしばらく黙っていた。やがて笑う。
『理解しているようだ。基本能力として2つセットで付与する』
目の前に文字が浮かぶ。
【製造(craft)・荷物袋(storage)】
設計を理解する。
製造を理解する。
改良を理解する。
『製造業の習熟度が上がれば、レシピは勝手に増えていく。』
クラフト能力の中に
【文明知識(civilization knowledge)】
現代知識を設計図として再現可能とある。
俺は息を呑んだ。
スマホは作れない。
半導体工場もない。
だが水車なら?
発電機なら?
蒸気機関なら?
『気付いたようだな』
主が笑う。
『君の武器は剣ではない』
『知識だ』
『君は勇者ではなく文明そのものになる』
その瞬間。俺は初めて、この能力の本当の価値を理解した。
『職業の付与を完了しました』
白い部屋に戻ると、
同級生たちは興奮していた。
「俺、勇者になった!」
「火の魔法が使える!」
「俺は聖騎士だ!」
「ドラゴンと戦うんだよな!」
「荷物も道具袋に入れたり、出したりできるぜ」
誰もが目を輝かせている。
18歳なら当然だ。
これから始まるのは冒険だと思っている。
魔王を倒し。
姫を救い。
伝説になる。
そんな物語を夢見ている。
主は何も言わない。
ただ静かに全員を見渡していた。
『これより皆さんを試練の世界へ送ります』
『所持品は職業によります。また道具袋に食料・飲料水が3日分入っております』
『それは皆さま、よい旅路を』
目の前に巨大な映像が現れた。
『転送を開始します』
白い光が視界を埋め尽くす直前・・・
とても小さな聞こえないような声量で呟くように・・・
『皆さんの目的は生存です』
『なお、死亡した場合は回数により完全消滅となります』
『それでは皆さん。よい終末を』
白い光があたりを包み込んでいく。
エレベータに乗っているような、浮遊感が続き、少ししたら落ち着いた。
仲間たちの興奮した歓声の声がそこら中から聞こえる。
「行くぞ!」
「異世界だ!」
「魔法の国だ!」
俺たちは草原ではなく、郊外の大通りの真ん中に立っていた。
周りには建物もない。
少し先には街が広がっていた。
高層ビル。
コンビニ。
ガソリンスタンド。
マンション。
どれも傷んでいるが形は残っている。
青空まで見える。
「なんだよ」
伊藤が笑った。
「ファンタジーじゃないのか?生活とか現代世界なら全然平気じゃん。」
緊張が一気に緩む。
三輪田が周りを見渡して、
「モンスターがいないな、現代世界のゲーム世界だと悪魔召喚とかの世界なのかな?」
湯田がお気楽に、
「職業あるし、余裕じゃね?まずは軽く雑魚倒してレベルアップだぜ」
と男子3人で喋っている。
「まず食べ物探そうぜ」
みんな好き勝手に歩き始める。
俺は動かなかった。
違和感があった。
静かすぎる。
鳥の声がない。
虫の声もない。
車の音もない。
風の音だけだった。
街が死んでいる。
「おい、どうした?」
湯田が聞いてくる。
俺は道路を見る。
放置された車。
割れた窓。
信号機。
そして――
開いたままの運転席。
誰もいない。
まるで人だけが突然消えたみたいだった。
嫌な予感がした。
その時だった。
遠くのビルの屋上で何かが動いた。
一瞬だった。
人影のようなもの。
だが次の瞬間には消えていた。
「見たか?」
俺は呟く。
誰も答えない。
誰も見ていなかった。
みんなは異世界冒険に夢中だった。
だが俺だけは理解していた。
この街には何かいる。
そしてそれは、まだ俺たちを見ているだけだ。
「おーい!」
湯田が道路の向こうを指差した。
「あれ見ろ!」
全員が振り向く。
少し離れた場所に大きな建物があった。
五階建てほどのコンクリート建築。
窓ガラスは何枚か割れているが、倒壊はしていない。
「学校か?」
「役所じゃね?」
「ホテルかも!」
みんなの顔が明るくなる。
何もない荒野よりずっと安心できた。
「行こうぜ!」
戦士の能力を選んだ男子たちが先頭に立つ。
すでに冒険気分だった。
だが俺は建物を見つめたまま動かなかった。
違和感がある。
建物が残っている。
道路も残っている。
なのに人がいない。
車もない。
煙もない。
生活の気配がない。
まるで世界から人間だけが消えたようだった。
「お前も来いよ」
湯田が声をかけてくる。
未来で俺を裏切る男だ。
今はまだ何も知らない顔をしている。
俺は小さくため息をついた。
「待ってほしい」
みんなが足を止める。
「何だよ」
「先に建物周辺を確認しよう」
「モンスターなんていないだろ。ビルや道路や車があるんだぜ。ファンタジーじゃない」
「そう思って死ぬのが一番怖い」
「死んだら、教会で復活じゃないのか?」
「ゲームならな・・・」
場が静かになる。
中学生たちは不満そうだった。
魔法の城はなかった。
王国もなかった。
冒険者ギルドも酒場もなかった。
代わりにあったのは廃墟だった。
だが誰も反論できない。
みんなは知らない世界なのだ。
俺だけはこの世界に何が起きているのか知っている。
アポカリプスか・・・よりにもよって・・・
その時、伊藤が立ち止まった。
「ちょっと待て!」
全員が足を止める。
「このまま40人で入るのか?」
「え?」
「RPGならパーティー組むだろ。」
その一言で空気が変わった。
「そうだ!」
「戦士は前衛!」
「魔法使いは後衛だろ!」
「僧侶は回復担当!」
「勇者はリーダーじゃね?」
あっという間に能力ごとのグループができ始める。
「俺たち戦士組!」
「魔法使いはこっち!」
「弓使い集まれ!」
女子たちも、
「私、僧侶だから回復班ね。」
「じゃあ私は魔法使いと一緒。」
と楽しそうに話している。
まるで修学旅行の班決めだった。
「まず固まって周囲を確認しよう」
「できる限り、まとまって行動しよう」
伊藤が不満そうに言う。
「隊長気取りかよ、お前は職業なんなんだよ?」
俺は答えない。
その時だった。風が吹いた。
建物の高層階の窓で何かが揺れた。
カーテンだった。
いや違う。
誰かが引っ込んだようにも見えた。
俺は目を細める。誰も気付いていない。
だが確信した。あの建物には何かいる。
問題は――
生きている人間なのか。
それとも別の何かなのか。
ということだった。
まだパーティ構成をどうするかとかで揉めている
連中をみて、俺は頭を抱えた。
「違う。」
誰も聞いていない。
「おい。」
ようやく何人かがこちらを見る。
「これはゲームじゃない。」
伊藤が鼻で笑った。
「そんなのわかってるよ。」
「前衛と後衛がいる方が強いじゃん。そもそもRPGでパーティを組まないのは
おかしいだろ」
「・・・」
何も言い返すことが出来ない。RPGの世界じゃなくて
終末世界だということを説明しても、おそらく理解できないだろう。
「ゲームならな。現実的には・・・」
俺は建物を指差した。
「探索班には鍵を開けられる奴がいる。」
「荷物を運ぶ奴もいる。」
「周囲を観察する奴もいる。」
「怪我人を運ぶ奴も必要だ。」
「食料を見分けられる奴、水を探せる奴、地図を描ける奴もだ。」
誰も反論しなかった。
職業だけでは生き残れない。
そんなことは考えたこともなかったのだ。
モンスターはゴールドを落とし、経験値をくれる。
町の宿屋に止まれば、体力と精神力は全快する。
武器防具は店で売っている。
モンスターはイベントでもない限り、町に攻めてこない。
そんな世界を夢見ているんだろう。
建物まであと50メートル位。
「待ってくれ。」
建物の前で俺は全員に声をかけた。
「中が安全とは限らない。」
「まず周囲を確認する。」
「入口は一か所じゃない。」
「退路も確保してから探索するべきだ。」
みんなが顔を見合わせる。
すると湯田が笑った。
「また始まった。」
「慎重すぎるんだよ。」
三輪田も肩をすくめる。
「敵なんか見てないだろ?」
「職業もあるし、大丈夫だって。」
「ゲームなら最初のダンジョンなんてチュートリアルだろ。」
笑いが広がる。
俺は首を横に振った。
「ゲームじゃない。」
「だからだよ。」
伊藤が一歩前へ出る。
「お前はそうやって一人で慎重にやればいい。」
「俺たちは俺たちで行く。」
その一言で流れが決まった。
「戦士組、行こう!」
「魔法使いはこっち!」
「僧侶も来て!」
37人がぞろぞろと建物へ向かって歩き出す。
誰も悪意があるわけじゃない。
ただ、冒険の始まりに胸を躍らせているだけだ。
俺だけが、その空気についていけなかった。
「……行っちゃったね。」
後ろから小さな声がした。
振り返る。
大村 日向さんだった。
近所に住んでいて、小学校の頃から顔なじみの幼馴染だ。
その隣には菱田 瑠奈さんもいる。
二人とも不安そうな表情で、建物へ向かう集団を見つめていた。
「二人は行かないのか?」
大村さんは小さく首を振る。
「なんだか……怖くて。」
菱田さんも頷いた。
「私はゲームとか詳しくないし。貴方はこういうのに詳しいんでしょ?」
「さっきの話を聞いてたら、あなたの言うことの方が納得できた。」
俺は少し驚いた。
「私たち、あなたと一緒に行く。」
大村さんがそう言うと、菱田さんも続ける。
「三人なら、心細くないし。」
俺は建物を見上げた。
先に入っていった37人の姿は、もう入口の奥へ消え始めている。
「分かった。」
俺は深く息を吸った。
「じゃあ俺たちは俺たちのやり方で行こう。」
俺は建物の周囲を観察した。
入口。
非常口。
屋上への階段。
避難経路。
もし襲われたら。
もし火災が起きたら。
もし建物内部に何かいたら。
頭の中で自然に計算していた。
60歳まで生きた経験が勝手に働く。
まず建物を一周する。
非常口を確認する。
逃げ道を確保する。
それから入る。
急ぐ必要はない。
生き残ることが、一番大事なのだから。
「あなたの職業って、何ができるの?」
大村さんが尋ねる。
「モノを作れる職業かな、鍛冶屋とか錬金術とかそんな感じかな。」
菱田さんが
「あ~なんちゃらのアトリエみたいな感じ?」
「多分それであってると思う」
「少し試してみるよ。」
俺は道路脇に落ちていた木の枝を拾った。
その瞬間だった。
頭の中に鐘のような音が響く。
【素材取得】
《木材 ×1》
視界の端に青白い文字が浮かぶ。
続いて新しい表示。
【レシピ解放】
・木の棒
・木槌
・木の槍
「えっ?」
思わず声が漏れる。
「どうしたの?」
「素材を拾ったら……作れる物が増えた。」
二人には表示が見えていないようだった。
俺は壊れた植木鉢から小石を拾う。
【石材 ×1】
【レシピ更新】
・石斧
・石ナイフ
・石の矢じり
さらに玄関脇に落ちていた錆びた針金。
【鉄線 ×1】
・簡易罠
・釣り針
・補強金具
「面白い……。」
俺は思わず笑った。
「能力って、こういうことか。」
作れる物が一つずつ増えていく。
まるで世界そのものから知識を教えられているようだった。
「じゃあ、このマンションも素材の宝庫なの?」
菱田さんが言う。
俺は頷く。
「そうだ。」
「家具は木材。」
「配管は金属。」
「カーテンは布。」
「ガラスも使えるかもしれない。」
「壊れた家じゃない。」
「ここは巨大な資材置き場だ。」
二人は顔を見合わせる。
さっきまでただの廃墟だったマンションが、今は宝の山に見えていた。
「よし。」
俺は石斧のレシピを選択する。
手の中で木材と石が淡く光り始めた。
クラフト能力の最初の作品。
それは派手な伝説の武器ではない。
一本の、粗末な石斧だった。
しかし、その石斧こそが、この世界で生き残るための第一歩になると俺は確信していた。
その頃の仲間たち
37人は先頭の佐々木を中心に、五階建てのマンションへ入っていった。
鉄製の玄関扉は半分開いたままになっている。
「よし、探索開始!」
誰かの掛け声で、一斉に建物の中へ駆け込んでいく。
一階。
郵便受けには色あせたチラシが詰まったままだった。
管理人室は荒らされている。
誰もいない。
「クリア!」
二階。
玄関の開いた部屋もある。
家具は残っている。
食器もある。
テレビもある。
だが、人だけがいない。
「こっちも異常なし!」
三階・・・。
四階・・・・・。
どの部屋も似たような状態だった。
生活の跡だけを残して、住人が突然消えたような違和感。
それでも危険は見つからない。
「ほらな!」
佐々木が笑う。
「心配しすぎだったじゃん!」
「敵なんか一匹もいない!」
「楽勝だ!」
その勢いのまま五階へ上がる。
さらに屋上への扉を押し開けた。
ギィィ……
錆びた蝶番が嫌な音を立てる。
屋上には風だけが吹いていた。
給水タンク。
物干し台。
フェンス。
周囲の街並み。
見渡す限り廃墟が続いている。
「終了!」
「全部調べたぞ!」
「何もいねえ!」
「今日はここを拠点にしようぜ!」
歓声が上がる。
探索は成功した。
少なくとも、37人はそう信じていた。
一方、その頃。
俺は大村さん、菱田さんと共に素材を集めながらマンションの外周を歩いていた。
「裏口がある。」
「非常階段もあるね。」
大村さんが指差す。
「窓は……全部閉まってる。」
菱田さんがぽつりと呟く。
俺はマンション全体を見上げた。
五階。
屋上。
誰もいないように見える。
だが、妙な違和感が消えない。
「どうしたの?」
大村さんが尋ねる。
「静かすぎる。」
俺は短く答えた。
「これだけの建物なのに、動物の気配もない。」
カラスも。
鳩も。
猫も。
犬も。
何一ついない。
風だけが、マンションの壁をなでる音を立てている。
その時だった。
カラン……
小さな金属音が聞こえた。
三人とも同時に顔を上げる。
音は隣の屋上からだった。
「今の……聞こえた?」
菱田さんが息をのむ。
俺は屋上を見つめた。
誰もいないはずの屋上で、何かが動いたような音だけが、静かな街に響いていた。
太陽が昼をすぎた辺り頃の高さになり、
俺たちはようやく五階の屋上へたどり着いた。
ストレージには、マンションの周囲で集めた素材がぎっしり詰まっている。
木材。
石材。
鉄線。
銅線。
布。
草。
ガラス片。
錆びた釘。
空き缶。
一つ拾うたびに、クラフトできる道具が増えていった。
大村さんや、菱田さんの道具袋も使わせてもらい、素材を入れさせてもらった。
屋上では37人が思い思いにくつろいでいた。
「お、やっと来た。」
伊藤が笑う。
「遅かったな。」
「素材を集めてた。」
俺が答えると、何人かが顔を見合わせる。
「素材?」
「そんなガラクタ集めて何になるんだよ。」
周囲から笑いが漏れた。
「慎重すぎるんだよ。」
三輪田がフェンスにもたれながら言う。
「敵なんか一匹もいなかったじゃん。」
「だから言っただろ。」
「お前は考えすぎなんだよ。」
俺は反論しなかった。
その代わり、屋上から街を見渡した。
まだ何かがおかしい。
静かすぎる。
「それとさ。」
湯田が口を開く。
「このマンション、俺たちが全部調べた。」
「?」
「つまり俺たちの拠点。」
伊藤も頷く。
「後から来たお前らは別の場所にしてくれ。」
一瞬、空気が止まる。
「えっ……。」
大村さんが思わず声を上げた。
「そんな……。」
菱田さんも困ったように周囲を見る。
しかし反対する者はいない。
「人数が多い方が狭いし。」
「三人くらい別でもいいだろ。」
「近くに建物なんていっぱいあるし。」
軽い調子だった。
悪意というより、自分たちの縄張りを決めるような感覚だ。
俺は二人を見た。
「行こう。」
「でも……。」
「ここで言い争っても意味はない。」
俺は荷物を背負い直した。
「まだ明るい。」
「日が沈む前なら、新しい拠点を探せる。」
大村さんは少し迷った末、小さくうなずいた。
菱田さんも黙って後に続く。
屋上の扉を開け、三人だけで階段を下りる。
背後では笑い声が聞こえた。
「明日には戻ってくるだろ。」
「怖くなったら助けてやるよ。」
誰かがそんなことを言っていた。
俺は振り返らなかった。
マンションの外へ出ると、夕日が街を赤く染めていた。
道路の向こうには、少し離れた場所にホームセンターが見える。
その隣には、小さなドラッグストア。
そして、広い駐車場。
俺はその建物を見つめた。
「次は、あそこへ行こう。」
「ホームセンター?」
大村さんが首をかしげる。
俺はうなずく。
「武器も、工具も、資材もある可能性が高い。」
「俺の能力を活かすなら、あそこが一番だ。」
三人は夕暮れの街を歩き始めた。
その頃、マンションの屋上では三十七人が笑いながら夕食の準備を始めていた。
まだ誰も知らない。
この静かな数日が、この世界で過ごす「何も起きない夜」になることを。
夕陽が西の空を赤く染め始めていた。
俺たち三人は、マンションを離れて十分ほど歩き、小さなホームセンターへたどり着いた。
二階建てではなく、平屋建ての大型店舗。
広い駐車場には錆びついた車が何台も放置され、看板は色あせている。
「ここなら工具もありそうだね。」
大村さんが建物を見上げる。
俺は店には近づかず、そのまま建物の裏へ回った。
「え?」
菱田さんが首をかしげる。
裏手には荷物搬入口と、屋上へ続く鉄製のはしごがあった。
錆びてはいたが、まだ十分使えそうだ。
「これだ。」
俺は先にはしごを登り、安全を確認してから二人を呼ぶ。
三人とも屋上へ上がると、夕日が街全体を赤く照らしていた。
貯水タンクと太陽光発電のパネルが数枚とエアコンの室外機がある。
風は少し冷たい。
遠くには、さっき出てきたマンションも見える。
「店には入らないの?」
菱田さんが不思議そうに聞いた。
「もうすぐ日が暮れるから、店の中はやめたほうがいいと思う。」
俺は空を見上げながら答えた。
「どうして?」
「昼なら見通しが利く。でも夜の建物は出口も見えないし、何かあっても逃げられない。」
二人は黙って聞いている。
「でも、寒くなるし明かりもないよ。」
菱田さんが少し心配そうに言う。
「その辺はなんとかするから。」
俺はリュックを軽く叩いた。
「素材も集めたし、クラフト能力でできることを試してみる。」
「それに……」
ホームセンターの屋上を見回す。
フェンスがあり、周囲を見渡せる。
侵入経路は、俺たちが登ってきたはしごくらいしかない。
「屋上が一番安全だと思う。」
少し間を置いて続けた。
「ごめんね。付き合わせちゃって。」
菱田さんは小さく首を振った。
「ううん。」
「私はあなたを信じる。」
その隣で、大村さんも微笑む。
「私も。」
「三人なら大丈夫。」
その言葉に、張り詰めていた心が少しだけ軽くなった。
俺はもう一度、夕暮れの街を見渡した。
静かだった。
あまりにも静かすぎた。
だからこそ、この夜は何事もなく終わってほしいと願わずにはいられなかった。
「まずは、今夜を越えるための拠点を確保する。」
俺は集めてきた木材を地面に並べた。
クラフト能力を意識する。
――クラフト。
頭の中でそう念じた瞬間、視界に青白い文字が浮かび上がる。
【木材ブロック 作製可能】
【必要素材:木材】
「これか……。」
作製を選択する。
次の瞬間、集めた木材が淡い光に包まれ、整然とした立方体の木材ブロックへと変化した。
「えぇっ!?」
大村さんが思わず声を上げる。
「ノコギリも釘も使っていないのに……。」
「これが俺の能力らしい。」
俺は木材ブロックを一つずつ積み上げていく。
8畳くらいの約340cm × 340cm(約11.52平米)の小規模な小屋だ。
壁を積み上げ、屋根も四角い木材ブロックで作る。
同様の構造をもう一棟分組み上げた。
完成したのは、真四角の木造小屋に扉が1枚あるだけの建物が二棟。
豆腐ハウスだ。
大村さんが苦笑する。
「……四角いね。」
菱田さんも笑いを堪えながら続けた。
「うん。かなり四角いね。」
「「とっても、四角いね」」
俺も思わず苦笑する。
「雨風を凌げれば十分だ。」
と開きなる俺を見て
「「フフッ・・・」」とふたりは微笑んだ。
続いて布切れを取り出す。
――クラフト。
【寝袋 作製可能】
布が光に包まれ、耐久性のある寝袋へと変化する。
一つ。
二つ。
三つ。
「これで休息は取れる。」
さらに石を集める。
【石のかまど 作製可能】
石が自動的に組み上がり、小型のかまどが完成した。
「調理も可能だな。」
最後に木の枝と布を手に取る。
【松明 作製可能】
三本の松明が瞬時に生成される。
灯をつけると念じると、明るく火が付きオレンジ色の光が屋上を照らした。
「すごい……。」
大村さんは目を見開く。
「何も道具を使っていない。」
「すべて、頭の中で“作る”と意識しただけ……。」
俺自身もまだ現実感が薄かった。
木を切っていない。
釘も打っていない。
縫製もしていない。
ただクラフトすると念じるだけで、完成品が目の前に現れる。
これが俺の能力。
戦士のように剣を振るうことはできない。
魔法使いのように火球を放つこともできない。
しかし、生存に必要な物資を直接生み出すことができる。
その力は、この世界において何よりも実用的な価値を持つのかもしれなかった。
空は赤から群青へと移り変わり始めていた。
日が完全に沈む前に、俺は屋上へ続く鉄製のはしごの前に立つ。
「何をするの?」
大村さんが不思議そうに尋ねる。
「解体する。」
俺は能力を発動した。
――解体。
鉄製のはしごが淡い光に包まれる。
ボルトが外れ、部品が一つずつ分解されていく。
ガシャン。
最後に大きな音を立て、はしごは完全に姿を消した。
代わりに視界へ文字が浮かぶ。
【鉄パイプ×12】
【スクラップ鉄×8】
【ボルト×16】
【クラフト経験値を獲得しました】
【解体経験値を獲得しました】
「すごい……。」
菱田さんが目を丸くする。
屋上への入り口は、四メートル近い高さの縁だけが残った。
人が容易に飛び上がれる高さではない。
「これで少なくとも、地上から簡単には上がって来られない。」
俺は屋上の縁から下を見下ろす。
「でも……。」
大村さんが不安そうに尋ねる。
「私たちも降りられなくなるよ?」
「問題ないと思う。」
俺はうなずいた。
「登ってこられる方が危険だ。」
「ここなら今夜だけは安全に休める。」
「そっか。」
大村さんは納得したように小さく笑った。
三人で寝袋を並べ、松明の火を囲む。
屋上に夜の帳が降りる。
俺は探索中に回収したアルミ製の鍋をかまどに掛けた。
途中で見つけたペットボトルの水を注ぎ、火を点ける。
パチパチと薪が燃える音だけが、静まり返った街に響いていた。
「お湯が沸いたな」
大村さんが、安堵したように息をつく。
俺は持っていた保存食を開封し、湯で戻して三人分に分けた。
豪華な食事ではない。
それでも、温かいというだけでわずかに心が落ち着く。
「いただきます」
三人で小さく手を合わせる。
食事を終えると、俺は残っている物資を並べた。
缶詰。
乾パン。
レトルト食品。
水の入ったペットボトル。
すべて数え上げる。
「……3日分程度か」
「そんなにあるんですか」
菱田さんが、少し安心したような表情を見せる。
俺は首を横に振った。
「逆だ」
「3日しかもたない」
二人の表情が強張る。
「俺たちがここに何日いるかは分からない」
「一か月かもしれない」
「一年かもしれない」
「この量では到底足りない」
俺はペットボトルを一本持ち上げた。
「さらに深刻なのは水だ」
「人間は食べなくても、ある程度は生き延びられる」
「だが水がなければ終わる」
静かな夜風が吹き抜ける。
「食料と飲料水を安定して確保できなければ」
俺は二人を見据えた。
「俺たちは詰む」
二人は無言のまま、小さくうなずいた。
しばらく沈黙が続いた後、俺は話題を変えた。
「そういえば、二人はどんな職業を選んだんだ?」
大村さんは少し照れたように笑う。
「私は僧侶です」
「ケガを治せれば、少しでも皆さんの役に立てるかなと思って」
「まだ回復魔法は一つしか使えませんが……」
いかにも大村さんらしい選択だった。
昔から、困っている人を放っておけない性格だ。
次に菱田さんが手を挙げる。
「私は弓使いです」
「剣で戦うのは怖くて……」
「遠距離からなら、少しは役に立てるかなって」
なるほど。
近接戦闘を避け、後方支援に徹するタイプか。
俺は小さくうなずいた。
「悪くない組み合わせだ」
「俺はクラフト」
「大村さんは回復」
「菱田さんは遠距離攻撃」
「三人だけでも、役割は揃っている」
松明の火がゆらゆらと揺れる。
明日からやるべきことは明確だった。
食料の確保。
安全な水源の確保。
生き残るための戦いは、まだ始まったばかりだった。
静かな夜だった。
「明日はどうするの?」
菱田さんが尋ねる。
俺は少し考えてから答えた。
「拠点を探しに行きたい。けどまずここを安定させたいかな」
「ここではだめなの?」
俺は首を横に振る。
「今夜を過ごすには十分だ。」
「しかし、長期的な拠点としては不向きだ。」
二人は黙って耳を傾ける。
「まず高さが足りない。」
「屋上まで7メートルしかない。」
「本気で侵入されれば、足場を作られて突破される可能性がある。」
「それに、広さも不足している。」
屋上を見渡す。
寝袋を並べただけで、すでに手狭に感じる。
「畑も作れない。」
「資材の保管場所も確保できない。」
「将来的に人が増えれば、確実に対応しきれない。」
「一番重要なのは?」
菱田さんが尋ねる。
俺は迷わず答えた。
「堅牢性だ。」
「壁が厚く、容易には破壊されない建物。」
「出入口が少なく、防御に適した構造。」
「水を確保しやすく、周囲を見渡せる高さ。」
「そういった条件を満たす場所が理想だ。」
二人は屋上から、暗くなり始めた街を見渡した。
「そんな場所、本当にあるのかな……。」
大村さんが小さくつぶやく。
俺は遠くの建物の輪郭を見つめた。
まだ答えは分からない。
だが、数日以内には必ず見つける。
三人が生き残るための、本当の拠点を。
松明の炎を眺めていると、突然、視界の端に青白い文字が浮かび上がった。
【クラフトレベルが2になりました】
「……え?」
思わず声が漏れる。
続けて文字が流れる。
【スキルポイントを1獲得しました】
【使用可能ポイント:1】
「レベルが……上がった?」
「どうしたんですか?」
菱田さんが心配そうに覗き込む。
「クラフトのレベルが上がったみたいだ。」
二人には画面が見えていないらしい。
俺は表示を一つずつ確認していく。
【クラフト・建築・修理・分解・工具の使用により経験値を獲得します】
【レベルアップ時、スキルポイントを獲得します】
【スキルポイントを消費して新たな技能を習得できます】
「なるほど……。」
思わず笑みがこぼれた。
「この能力、使えば使うほど成長するんだ。」
木を加工しても。
建物を修理しても。
道具を作っても。
斧やハンマーを使っても。
すべてが経験になる。
「じゃあ、どんどん作れば強くなるってこと?」
大村さんが尋ねる。
「そういうことだと思う。」
さらに意識を向けると、新しい項目が表示された。
【パーティ機能】
【パーティメンバーとの経験値共有:ON/OFF】
「パーティ?」
俺は設定を開く。
説明が表示された。
【一定距離内のパーティメンバーは、行動によって得られた経験値の一部を共有します】
「なるほど。」
「これなら、俺がクラフトして得た経験値も、みんなに分配できるかもしれない。」
「本当ですか!」
菱田さんの表情が明るくなる。
「たぶんだけどな。」
「試してみよう。」
俺は二人に向き直った。
「これから三人でパーティを組んで行動しよう。」
「俺は拠点を作る。」
「大村さんは回復と生活の手伝い。」
「菱田さんは探索と周囲の警戒。」
「それぞれが得意なことをやれば、全員が少しずつ成長できるはずだ。」
二人は顔を見合わせる。
そして同時にうなずいた。
「よろしくお願いします。」
「私も頑張ります。」
俺は【パーティ結成】を選択した。
青白い光が三人を優しく包み込む。
【パーティを結成しました】
【メンバー】
・俺
・大村 日向(僧侶)
・菱田 瑠奈(弓使い)
三人の名前が並んだ画面を見て、俺は少しだけ安心した。
その頃――。
五階建てマンションの屋上では、37人が思い思いに荷物を広げていた。
「腹減ったー。」
「俺の食料カップ麺!」
「俺も!」
あちこちでカップ麺のふたが開けられる。
だが。
「あ……。」
一人が固まった。
「お湯がない。」
その一言で空気が止まる。
「下の部屋に行けばガスくらい使えるだろ。」
何人かが一階の空き部屋へ向かう。
キッチンでガスコンロのつまみを回す。
カチッ。
……
何も起きない。
「ガス、止まってる。」
別の部屋では照明のスイッチを押す。
パチッ。
真っ暗なまま。
「電気も駄目か。」
少しずつ不安が広がっていく。
「じゃあ火を起こそう。」
そう言ったものの、誰もライターを持っていなかった。
マッチもない。
木を擦れば火が起きると思っていた者もいたが、もちろん簡単にはいかない。
「魔法で火を出せないのか?」
期待の視線が火魔法を選んだ男子へ集まる。
「やってみる。」
彼は手を前に突き出した。
「ファイア!」
掌から小さな火球が飛び出し、数メートル先のコンクリートへ当たって弾ける。
ボッ。
一瞬だけ炎が上がる。
それだけだった。
「……これ、攻撃魔法だ。」
「焚き火には使えない。」
落胆のため息が漏れる。
今度は水魔法を選んだ女子が前へ出る。
「水なら出せるよ。」
透明な水球が空中に現れ、バケツ代わりの容器へ落ちる。
「飲めるかな?」
誰も手を伸ばさない。
「安全なのかな……。」
「毒だったら?」
「魔法の水って飲んで平気なの?」
誰にも分からない。
結局、その水は誰も口にしなかった。
日が完全に沈む。
屋上は闇に包まれた。
星はきれいだった。
だが、それだけでは足元すら見えない。
「真っ暗……。」
「懐中電灯あるけど、電池は節約しないと。」
懐中電灯を持っていた者もいたが、電池が切れれば終わりだ。
誰も長時間は点けようとしなかった。
「空き部屋で寝るしかないか。」
それぞれ適当な部屋へ向かう。
しかし部屋の中も真っ暗だった。
物音がするたびに肩が跳ねる。
廊下を吹き抜ける風が、不気味な音を立てる。
「なんか……落ち着かない。」
「ホームセンターに行った三人、どうしてるかな。」
誰かがぽつりと漏らした。
すぐに別の声が返る。
「慎重すぎるって笑ってたじゃん。」
「……。」
返事はなかった。
37人それぞれが、小さな不満と小さな不安を胸に抱えながら、
長い長い一日目の夜は静かに更けていった。
私の名前は大村日向。
どこにでもいる、ごく普通の高校三年生だ。
勉強はクラスでも中程度で、学年三百人中、百二十位くらいだったと思う。
体育はやや苦手で、五段階評価なら二。
運動神経もあまり良い方ではない。
見た目も、たぶん地味な方だ。
特別かわいいわけでもなく、目立つタイプでもない。
早い子はもう交際相手がいるという話も耳にするけれど、私にはそういった縁はなかった。
高校を卒業したら、近くの小さい会社に就職が決まっていた。
本当は、彼と同じ専門学校にいきたかった。
だけど、うちにはその学費を支える余裕はない。
だから最初から諦めるしかなかった。
うちは七人家族だ。
父、母。私。妹。妹。そして双子の妹。
かなりの大家族である。
正直なところ、経済的に余裕があるとは言えない。
お父さんは頑張りすぎだと思う。
どうしても息子が欲しかったらしいが、限度があると思う。
そのせいでお父さんは、肩身が狭い。
母は働いておらず、父の収入だけで七人を支えている。
高校生の私でも、それが簡単なことではないと理解している。
だから私は、高校卒業後は就職するつもりでいた。
普通科高校を卒業してすぐに就職する人は多くはない。
専門学校や大学へ進学する人がほとんどだ。
それでも構わなかった。
少しでも早く働き、家計を支えたいと思っていた。
「会社でも頑張ろう。」
そう決意した矢先の出来事だった。
白い部屋。
神のような存在である『主』。
能力。
そして、この見知らぬ世界。
本来であれば取り乱してもおかしくない状況なのに、不思議と私はそれほど動揺していなかった。
危機感がないわけではない。
恐怖を感じていないわけでもない。
それでも、心は比較的落ち着いていた。
理由は一つしかない。
彼がいるからだ。
幼馴染の彼。
周囲から「慎重すぎる」と笑われても意に介さず、自分の考えを貫く人。
「大丈夫。」
「何とかなる。」
彼がそう口にすると、本当に何とかなるような気がしてしまう。
なぜだろう。
幼い頃から一緒に過ごしてきたからだろうか。
信頼しているからだろうか。
一度諦めてた一緒にいたいという気持ちが再燃したからなのだろうか。
それとも――恋なのだろうか。
……分からない。
考えても答えは出なかった。
今日は疲れた。もう寝ることにしよう。
明日もきっと大変だろうし。
私は寝袋に身を潜め、松明の揺れる灯りをぼんやりと見つめながら、静かに目を閉じた。




