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※セラフィ視点
本当に………なんという執念。
ジークに勝負を挑み、勝ち取り、ジークと友人なら私とも友人だなんて滅茶苦茶なことを言って。
………拒絶した私のことを、こんなにも想ってくれてるなんて。なんて馬鹿な娘だろう。
「どうだいお兄様。妹がその親友ときゃっきゃしてる姿は」
「たまらないね。あんなに嬉しそうなレインディアは本当に久し振りだ。
………ジーク殿には感謝してもしきれない」
向こうは向こうで肩を並べて談笑している。肴は私達らしい。
「しんゆう?しんゆうとは何でございましょう?」
ディアの問いにジークは何処からか取り出した紙にペンで文字を記す。
「俺のいた世界で使われていた言葉でな。これでおやと読み、こっちはともと読む。親っていうのはそのまま、自分の親。もしくは親しいって意味もある。そして友。
………何にも変えがたい、血の繋がりにも負けずとも劣らない最も親しい友に贈る言葉だ」
それを聞いて肩を震わせるディア。こちらを向いて再び抱きつく。
「素晴らしい言葉ですわ!私とセラは今、この時から親友なのです!異論は認めたくないです!」
「だ、そうだ」
こっちをみて悪戯っぽく笑っている元凶。悪い気はしないものの、なんというか、上手く乗せられた気がする。
「セラフィも、嬉しそうじゃない」
静観していたミレイナ達も微笑ましいと、こちらをみて口にする。これはもう勝てない。私も完敗である。
「さて、これで今日からレインディアと俺は友達だ。レインディアが困ってる時は力を貸そうじゃないか」
そのあとにジークは予定外だが、これはこれで悪くないと、楽しそうに呟いた。
「では近日中にあると見込まれる召集の際にイーリスに協力してくださいませんか?」
「おう、構わんよ。元からそのつもりだ」
その返しにふむ………と腕を組んで何かを考えるディア。嫌な予感が、しないでもない。
「あとこの一件が終わりましたらジーク様の工房に行きたいですわ!!お風呂も素敵だと聞いております!他にも―――」
どんどん要望が出てくる。王女を招くのは不味いのではないだろうか。
「ええよ」
ええんかい。




