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※レインディア視点
「こちらのカードを使います」
私が見せたのは光、闇、火、水、土、風と無という文字が記されている7枚のカード。
「これは魔術学校で使われるカードで、属性について学ぶ際に使われます。水は火に強い、土は水に強い、風は土に強い、火は土に強い、光と闇は4属性に強く光と闇は引き分け、無属性は4属性に勝てませんが光と闇にのみ勝てるというものです。
どうでしょうか?」
「なるほど、面白いもの使うんだな。
よし、受けよう。かけ金はどうする?」
殺気は消えうせ元の空気を取り戻す。私は息苦しさから解放されて安堵するも、すぐに頭を切り替える。ここからが勝負ですもの。
「ジーク様が勝ったら私達は今度一切の干渉はしません。それで足りないというのであればできる範囲ではありますが、金銭や情報の支援をいたしましょう。
もし私が勝ったら………私のお友達になってくださいませんか?」
「………は?」
流石にこの提案は予想外だったのかジーク様が首をひねる。
「メリットはありますよ。私の友人には魔王様がいるって言えます。それにジーク様と友人になれば、その友人であるセラフィともまた友人になれます。
そうなればお茶会を開いてお話をすることもできます。異世界のこと、とても興味深いですの」
かなり強引な解釈ではあるものの、再びセラフィと交友を結べるのであればこの勝負に意味がある。ジーク様と友人であるというだけで一定の効力がある。例え助力など見込めなくても。
「ふーん………なるほどな。いい妹じゃないか。
気に入った。その勝負受けよう」
どうやら好印象であったらしく、快諾。円卓を囲んで王女VS魔王という前代未聞の対戦が始まった。
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「じゃ、まずはこの辺でいいか」
特に考える素振りを見せないジーク様はすぐにカードを一枚伏せて出す。
「………では私はこれを」
このゲームは恐らく初めてであるジーク様。その最初の一手は様子見を兼ねて一枚伏せ………互いに開く。
「お、やったぜ」
辺りは騒然とした。
私の出したカードは光。そしてジーク様は………無。適当な属性か、もしくは光か闇を出すかと思いきやなんとも大胆な一手。
「これで一勝だな」
「………流石ですわ、魔王様」
出鼻をくじかれ、動揺が隠せない。頭の切れる方だとは聞いていたもののここまでとは。
「たまたまだよ。じゃあ次だ」
次のカードは―――
私が火、ジーク様が土。引き分け。
「手札が減っていくと手の内も読めるようになってくな。ふむふむ」
「私も負けられませんわね」
周りは黙ってその様子を見ている。緊張した表情のお兄様。私のことを心配してくださるのですね。
「じゃ、そろそろこれかな」
「私はこちらで」
次のカードは―――
私が風、ジーク様が光。………ジーク様の勝ち。
「裏の裏をかかれた気分ですわ」
「慎重さが仇になってるな。俺に勝負を挑んだ大胆さはどこいった?」
「む、そうおっしゃいますか」
炊きつけられて燃え上がる。そこまで言われて黙っていては王女の名が泣く。私はジーク様の次なる手を予測する。
(しっかしこの子は面白いなぁ。俺も楽しくなってきた)
こちらをみて微笑むジーク様が楽しそうに見えて、つられて私も自然と笑みがこぼれた―――




