6-1
※カガリ視点
すみません、ミスがありました。
5-20でも書いてますがミスがありましたので修正してます。
国名がオルトランド皇国→アズガルム帝国に変更されて一部文章を変更してます。
―――あれから5人で食事をしたあとジークの張ってくれたテントで3時間ほど休むことになった。
その間は睡眠を必要としないジークが見張りをしてくれるので何一つ不安はないのだけれど………どうにも寝つけなくてテントを出てきた。
結界から出ないように気をつけつつ、念のため愛刀を持つ。辺りを見ると岩に腰かけて何かを見ているジークを発見。視線で気づいたのかこちらを見ると手招きしたので傍によって、隣に腰掛けた。
「何か悩みでもあるのか?」
「ううん、そうじゃない………と思う。なんとなく、寝つけなくて」
そういうとジークはそうか、と一言。手元を見ると1枚の絵。描いたものとは思えない、その景色を切り取ったという表現が適当なもの。写っているのはジークと、ガーベラさんと、眼帯をつけたメイド………アネモネさんだ。
「これは?」
「写真っていってな。俺の元いた世界で使われてた技術だ。絵とは違ってその場の景色を切り取ったように写せるものでな。
で、これはアネモネの機体が出来た時に記念に撮ったものだ」
「へぇ、そうなんだ」
写真のアネモネさんはどこかぎこちないような、それでいて嬉しさがにじみ出ている。ガーベラさんは相変わらずクールで、ジークはアネモネさんを見守るような優しい笑顔だ。
「ジークってさ、意外と過保護だよね」
「そうか?」
「子供ができたら相当甘やかしそう」
「それは否定できないな」
まさかの即答。可笑しくて笑ってしまって、ジークもつられて笑う。子煩悩な最強魔王、絵面として随分と面白いと思う。
「アネモネさんの成り立ちは大雑把に聞いたけど、娘とも言える気がしたんだけどそれは違うの??」
「んー………微妙なところだな。聖霊としての成り立ちの話からも分かると思うが本質的にはアネモネはガーベラの眷属っていうのが適当だ。聖霊は元々余剰分を切り離して増やすがその増えた聖霊を配下として扱い勢力を伸ばすからな」
「………つまり?」
「正しい立ち位置としてはアネモネはガーベラの部下。
後は本人達がそれを妹や娘と取るかどうかってところだ」
なるほど、漸く分かった。
「ま、どちらにせよ俺の配下ではあるからな。最初の頃に比べて感情表現もできるようになってきたし、成長を見守るのは楽しいもんだ」
そういって写真を見るジークの横顔はとても穏やかで、愛情深さを感じた。配下でこれなら本当に、娘とかできたらどうなるだろうか。気になるような怖いような、そんな予感がする。
「というかカガリ。お前はこのあと階層ボスに挑戦する予定なんだ。しっかり休め」
「って言われても眠れないもの」
そういってわざと拗ねたように言うとジークはため息をついて、私の頭を撫でる。
「しょうがない。少し付き合ってやるか。一応横になれ」
そういってジークが横になれるよう岩場を削り、そこに柔らかい毛布を敷いてくれたので横なる。
―――そしてジークと私のこと、ジークのこと、お互いの話をして、夢中になって。気がついたら私は眠っていたらしい。
何を話していたのかおぼろげになってしまっていたけど、朝目が覚めて心が軽くなった気がする。きっと、それだけのことを話したのだろう。本当に、不思議な魔王ね。




