6-2
※セラフィ視点
―――私達は迷宮を進む。
出現する魔物は確かに強くなってはいるが今の私達であれば苦戦することもなく、順調の一言。
そして、20階層の守護者が現れる広間に到着した。
「さて、今度はセラフィとカガリで突破してもらおう。10階層より強いだろうが今の二人なら問題はない。
油断だけはしないようにな」
ジークからの言葉はそれだけ。これはそれだけ認めて貰えているということでいいのだろうか。ううん、そういうことだ。なら私達はその期待に応えないといけない。
「カガリ、いくわよ」
「ええ、いきましょ」
私達が一歩を踏み出すと広間の中央に魔法陣が出現。そこから現れたのは幾つもの魔獣を合成して作ったような―――キメラ。翼を生やし、鋭利な爪と牙を持ち、見るからに俊敏性のありそうな四肢。
しかし私達は慌てない。どんな相手であろうと打倒してみせる!
「気を引くわ!」
カガリが疾走。相手がこちらに気づく頃には既に側面に回りこんで斬撃を横っ腹に叩きこむ―――が、ダメージはあまりない。あの体毛はそれほど頑丈らしい。
「結構硬いみたいね。なら!」
そういうなりカガリは次の一手に移るべく剣に魔力を込めると刀身が黒いオーラのようなものを纏う。その刹那にキメラがカガリを捕捉し、跳躍するが懐に潜り込み一撃。黒いオーラを纏った刃がキメラの腹に深い傷跡を残した。
『グォォォ!!』
凄い。訓練風景は何度も見ていたけどここまでとは思わなかった。あの強固な体毛を切り裂いた今の一撃はかなりのダメージになっている。でも、私だって負けていられない。
「カガリ!」
準備ができた私がカガリの名前を呼ぶとすぐに下がってくれたのでそのまま魔法陣を展開。キメラに向かって魔法を発動し、無数の火の玉を降らせる。
『ガァァァァァ!!』
悲鳴のような雄たけびを上げ、降り注ぐ火の玉を一身に受けるキメラ。数分間それが続き、魔法の効果が切れる頃にはキメラは地に伏していた。
「………終わった、かしら」
念のため距離を取りつつ即座に攻撃できるように準備だけしておく。カガリも同じくいつでも行動できるよう身構えている。
―――するとキメラが煙のように消え、代わりに一人の女性が姿を見せた。
「………愛華?」
ジークはすぐに私達の元へ駆け寄って、女性と対峙する。だが、本当に一瞬、動揺を見せた。
「久しぶりね、和也」
私の知らない呼び方で、ジークを呼ぶ女性。艶のある黒髪で結ったポニーテールが揺れる。その表情はどことなく慈愛を感じる。
「その名で呼ぶな。少なくとも、お前はダメだ」
分からない、分からないけど、あの女性はジークにとって特別な人なのだということは良く分かった。
―――何故だがもやもやするけど、それは一先ず置いておくことにする。




