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審判の箱  作者: 千人
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ガチャガチャ…


「鍵がかかっているな。」


緑の扉にはやはり鍵がかかっていた。ポケットから白い鍵を取り出し鍵穴に挿してひねる。


…ガチャンッ


「あいた~!」


グリンは翼を広げて驚いている。


「そのカギすごいね~」

「今のところ白い扉と緑の扉はこの鍵で開けられているな。赤と青はウィルが試させてくれなかったが。」

「開けちゃダメなんですから試す必要もありませんっ!」


ウィルを見ると念押しをするようにこちらをじぃーっとみている。わかったから。


「同じ鍵で開くとは不用心だな。まぁ、こんな場所じゃ空き巣も何もあったもんじゃないんだろうが。」

「ううん、ちがうよ。」

「ん?何が違うんだ?」

「このとびらのカギあなとあっちのカギあなすこしかたちがちがうもん。」


グリンは嘴で僕らが入ってきた扉を指した。

僕は目の前の扉の鍵穴を見た後、入ってきた扉のものと見比べた。


「本当だ…」


注意深く見ると微妙に鍵穴の形が違う。


「よく気が付いたな。」

「ぼくはめがいいからね!」


グリンは自慢げに胸を張って見せた。

流石伝説上の生き物グリフォンと言いたいところだが幼さととその仕草が相まって胸を張り背筋を伸ばした姿が可愛らしい。

言動から幼い印象を受けていたが意外と周りを見ているんだな。


「でも待て、鍵穴が違うのならどうしてこの鍵で両方開いたんだ?」

「すごいよねっ!」

「確かにすごいがどういう原理なんだ?ウィルはどう思う?」

「………」

「…ウィル?」


ウィルを見ると虚空を見つめたまま止まっていた。


「おい、聞いてるのか?ウィルっ!」


僕が声を大きくして言うとウィルはハッとしたようにこちらを向いた。


「??どうかしましたか?」

「聞いてなかったのかよ…。」

「すみません。ぼーっとしていました。」

「……。」


また例のやつだろうか?


「大丈夫なのか?」

「えぇ、ちょっとぼーっとしていただけですよ。誰にでもあるでしょう?」

「……あぁ、そうかもな。」


納得はできないが気にしたところでどうしようもないか。


「この鍵が鍵穴の違うものでも開錠できているみたいなんだ。」

「あぁ、それは鍵が変形しているからですよ。」

「へ?」


なんだって?鍵が変形している?

何故ウィルがそんなことを知っている?相変わらずわからないことだらけだ。一つ疑問が解決すれば次の疑問が湧いて出る。


「ナノのカギがへんけいしているからどのとびらでもあけられるの?」

「はい!その通りです!その鍵は挿し込むと鍵穴合わせて変形するんです。鍵の体積が変わるわけではなく、開錠するのに必要な部分だけ変形するんです。糸飴みたいな感じですね。」


…どうしてそんなことを知っている?


「なんでそんなこと知っているんだ…?」

「う~ん、なぜでしょう?ナノさんに会う前にその鍵を見たことはないはずなんですけど…。」


ウィルは眉間にしわを寄せうーんうーんと唸っている。


「だめです!思い出せませんっ!どこで知ったのでしょう?」

「僕らに聞かれてもなぁ。」

「しらないよぅ~。」


それからしばらく、ウィルは何とか思い出そうと空中を飛びまわったりしていたが、ついに思い出すことはなかった。

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