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審判の箱  作者: 千人
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扉

「ところで、なにをしにきたの?」


グリンにこれまでの経緯を簡単に話した。

記憶がないことやこの場所について調べるために扉を開けてここに来たことを。


「ナノもたべもののなまえになりそうだったんだね…。」

「あぁ、何とか阻止できてよかったよ。」

「どれもいい名前だったのにぃ~。」

「お前は名前の決め方に問題がありすぎだ!」


今後、名前を決める必要があるときはこいつには席を外してもらいたい。

犠牲者を出さないために!


「でも、こまったなぁ~…。ぼく、やくにたちそうにないよぅ。」

「というと?」

「ぼく、ここがどこなのかしらないんだ。ごめんね?」

「いや、グリンは悪くない。こっちこそ勝手に期待してプレッシャーをかけてしまったみたいで悪かった。」


グリンもこの場所について何も知らないか…。

少しでも手掛かりになるような情報があるのならば欲しい。


「グリンは僕たちがここに来るまで何をしていたの?」

「おひるねをしてた。」

「その前は?」

「え~とね、う~ん……あれ?なんでだろ?わかんない。」

「………」


グリンも記憶消失?

状況的には僕と酷似している。

この三人(一人と二匹?というか、ウィルは匹でいいのか?)全員に何らかの記憶障害がある。

普通じゃない。この場所も僕たち自身も。

何か意味があったりするのか?


「全員記憶障害ッ!限られたシチュエーションッ!ミステリーの予感がしますねぇ~。」

「情報が少なすぎて謎解きも何もあったもんじゃないけどな。」

「そこで起きる殺人事件!いったい誰がこんなことをっ!」

「殺人ってこの状況じゃあ死んでるの確実に僕なんだがっ⁉」

「ぼく、めいたんていがやりたい!」


話がだいぶそれた気がする…。


「まぁ、そんなくだらない話は置いておいてこれからどうします?」


ウィルが何食わぬ顔で言う。

こいつはどの面下げていっているんだ?ここで食い下がってしまうと本当に話が進まないので素直に答える。


「ウィルはダメだって言っていたけど、戻って赤と青の扉を調べるか。」

「ダメです!」

「だからなんでだよ。」

「ダメなものはダメなんですっ!」


会話が完全に平行線。妥協のしようもない。


「ここにもとびらがあるよ?」


声のするほうを見るとグリンは僕たちが入ってきた扉の左手の壁の近くにいた。

壁伝いに生えているツタが密集している場所を嘴でつついている。

そこをよく見てみると、ツタの奥に青い扉のようなものが見えており、おそらくドアノブがあるであろう位置のツタがぷっくりと膨らんでいた。


「グリン、ツタをどけるのを手伝ってくれ!」

「うん!」


ブチッブチッ…

僕はグリンとともにツタを引きちぎっていった。


「青い扉だっ!でかしたぞグリン!」

「えへへぇ…」


グリンは顔をニタァっとさせて照れている。

また、青い扉か。ウィルはまた開けるなというのだろうか?気になってウィルのほうを見るとウィルは僕たちの向かい側にある壁のツタをはがしていた。ウィルと目が合った。


「こちらにも扉があります。」


ウィルのいる向かい側の壁には緑の扉があった。


「この扉を調べましょう。」


そういってウィルは僕の背中に回り込み緑の扉の方に押してくる。


「ちょ、押すなって!この青の扉もダメなのか?」

「ダメです!」

「こっちにもあかいとびらがあるよ?」


グリンは僕らが入った扉の正面に位置する壁のツタを引っ張っていた。そこには赤い扉があるようだ。


「グリンさん!そっちはダメです!こっちに来てください!」

「でもとびらが…。」

「いいですからっ‼」

「はぁい…。」


強く言われたグリンはしょんぼりして僕たちのいる緑の扉の方へとぼとぼ歩いてきた。

最初の部屋の赤と青の扉だけがダメというのではなく、『赤い扉』と『青い扉』というだけで開けてはいけないと言っているようだ。

いったい何がウィルにそこまでさせるのか?

今の僕には皆目見当がつかなかった。

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