グリフォン
鷲の上半身にライオンの下半身をもつという伝説上の生物グリフォン。
それは確かに僕たちの目の前に存在していた。
「きみたちだあれぇ?」
おまけに普通に話ができるようだ。
まん丸とした瞳がこちらを見る。
その顔は鳥の王たる凛々しさを備えつつも幼さを感じさせるものだった。
それはまだ成長途中なのだろう、立ち上がった状態の今でさえ僕の腰ほどの高さしかなかった。
「ぼ、僕は『ナノ』っていうんだ、よろしく。」
「私はウィルといいます。」
僕は動揺しつつも自己紹介をした。驚きはしたがウィルのような正体不明のものと会った後だ。
それに比べれば伝説上に出てくる生物のほうが幾分かましである。
これが自分の身長をはるかに超える巨大さを誇っていたならば話は別だが、このサイズならまだ安心できる。
もちろん、あの嘴や鈎爪で喉元を掻っ切られるようなことがなければだが…
「ぼくは…あはは、なまえないんだった。」
そういってグリフォンはにへらぁ~と照れ臭そうに笑った。
敵対心はなさそうだが…
「それでしたら、私が名前を付けてあげましょう!」
ここぞとばかりにウィルはグリフォンの顔にずいっと距離を詰める。嫌な予感がする…。
「デミグラスなんてどうです⁉」
ウィルの瞳が輝いている。なんてきれいな目をしているんだあいつは…
グリフォンはあまりの気迫に固まっている。
「いや、ドミグラスでもいいかもしれませんねぇ~、ウスターなんかもクールでいいかもしれないですぅ~。」
今度はソース縛りかよ!
っていうか、デミグラスとドミグラスは同じものだ。
グリフォンを見ると何とも言えない顔でこちらをみている。
流石にこの流れで名前を決められてしまうのはかわいそうだ。
「待て。」
ウィルとグリフォンの間に手を入れ戯言を静止する。
「なんです?いいソース名がありましたか?」
「人の名前をソース名で決めようとするのはやめなさい。」
「お肉のほうがよかったです?」
「食べるつもりかっ‼ダメに決まってるだろ!」
「ミートくんとか可愛らしいと思ったのですけれど非常食のほうがよかったですかね?なかなかウィルさんは鬼畜ですねぇ。」
グリフォンがこちらを怯えた目で見ている。あれ?僕も怯えられている?
ち、違うからね⁉こいつが勝手に言ってるだけだからね⁉
「ま、待て!ウィルが勝手に言っているだけで僕はそんなことちっとも思ってないからな?」
「またまたぁ~ そんなこといってぇ~」
「た、たべるんですかぁ~」
グリフォンは後ずさりしながら震えている。
ウィル!お前はもう黙ってろ!
それからしばらく、グリフォンを安心させるための説得が続いた…。
いや、説得していたのは僕だけでウィルはただ邪魔をするだけのお邪魔虫であったが、なんとかグリフォンは落ち着いてくれた。
「つまり、ぼくをたべたりしない?」
「あぁ!もちろん!」
なんで名前を決めるただそれだけのことにこんなにも苦労しなければならないのか。
この原因を作り出した犯人は明白だが、今はさっさとこのグリフォンの名前を決めてしまおう。
ウィルに説教をするだけの気力はもう僕にはない。僕はもう疲れたよ、パトラッシュ…。
「グリフォンを略してグリンでいいだろ。」
「またそんな短絡的な決め方してぇ~。」
相変わらずウィルは僕の名前の付け方が気に入らないようだ。
僕のネーミングセンスが素晴らしいとまでは言わないがウィルの名付け方よりかはましだと思う。
「グリン…ぼく、それがいい!」
「えぇ~」
ウィルは不満そうにジトッとした目で飛び回っている。
「本人がいいといっているんだからいいだろう?」
「だってぇ~、絶対デミグラスのほうがおいしいですよぅ…」
人の名前をおいしさ基準で決めるんじゃない!
ウィルのことをまともに相手していたらこのグリフォンの名前はロクなものにならないだろう。
名は体を表す。この幼いグリフィンが不良になったらどうする⁉
自分で言っておいてなんだがグリフォンが不良ってなんだ?
くだらないことを考えながらグリフォンに向き直る。
「じゃあ、グリンで決定でいいな。」
「はい!」
「改めてよろしく!グリン!」
「はい!よろしくおねがいします!」
「無視しないでくださいぃ~~。」
ウィルに続いて鷲の上半身にライオンの下半身をもつという伝説上の生物グリフォンことグリンと出会った。
非常識が当然のように存在しているこの場所で僕は無事に記憶を取り戻すことができるのだろうか?
小説を書いた後それを見直したときに言い回しであったり表現方法であったあり修正したい点が次から次へと出てきてしまいきりがありません。もっと勉強!日々精進して参りたいと思います。




