7話 『迷いの森 前編』
翔の足のガックガクが止まり、3人は食事タイムとなった。少し早い食事どなった。
夏目はそこまでお腹がへっていないのか、おにぎり1つとソーセージ1つ。
反して玲奈は肉巻きおにぎり3つ、サンドイッチ5つ。(現段階で)
主食しかない。
翔はサンドイッチ2つと玉子焼き2つ。おそらく一番ヘルシーで身体に良い。
「あんた良く食べるね」
夏目が呼びかけるが応答はない。ひたすら食べ続けている。どういう朝ごはんを食べればそんなに食べれるのか不思議と夏目は内心で呟く。
「話しかけてやんなよ。玲奈もお前みたく胸をアップさせてーんだよ、多分」
「私って前こんなに食べてたかなぁ...」
若干喧嘩腰の翔も無視してひたすら食べる。
「よっぽど腹減ってたんだなぁー。とでも言っとけばいいんかな?まぁいいや」
「ほんと、何て声かければいいんだろ...あ、サンドイッチおかわりいる?」
「あ、うん。...あんがと」
追加でサンドイッチがいくつか翔の皿に入る。玲奈は左目でそれをジーッと見ていた。
「...玲奈いる?」
こくこくと玲奈が首を縦に動かす。
「玲奈...なんだろ、暴食だね。10年後の酒場が荒れる」
「倒産まで追い詰められるかもな。その酒場」
玲奈の皿にはいつの間にかナポリタンがのっている。三食セットで翔のお気に入り食品である。夏目は何を食べているかというと...
「あ、え?ん?...なんでお前うどん食ってんの」
「え?うどんまじおいしいじゃん」
「いや...まぁそうだけどさ...。てか、ツユどこから出てきた?」
「水筒」
まじか という顔で翔が夏目を見る。
「あー、...ちょっと俺も食べていいっすか」
「いいっすよ」
あらかじめ茹でてきたのだろううどんを器につぐ。そして別のコップの様な器にツユを入れる。
「ナポリタン...なくなってる。玲奈め、なんてことを...まぁうどんあるからいっか」
「ほうほう(そうそう)ひにふんはや(気にすんなや)」
「喋るなら喋ろ。食うなら食え。きゃんゆーあんだすたんど?」
「のーあいきゃんと」
「カタカナ英語っていうより平仮名英語だね」
英語の文法ができても読めないのがこの2人である。そのせいで玲奈は英検の準一級に落ちたのだ。翔は高校受験前に三級を受けたっきりで、それから英検に触れていない。
「...あれ。なんか曇ってきた」
「天気予報では晴れだったはずなんだけどね」
「ふぁ(あ)ほふほは(ほんとだ)」
空には気分の悪くなるような雲が全面に広がっていた。今は雨は降っていないが、今にも降りそうだ。
「えー私傘もってきてないよぉー」
「あ、俺も」
「にー(ミー)ふー(トゥー)」
「まだ食ってんのかお前...」
そんな時夏目は誰かの声を感じとった。
「...?なんか今聞こえなかった?」
「いや、何も聞こえなかったけど。...てか、ここまだ社じゃないから呪われるわけないよな。ひゃーこわい」
「ゲホッ あーお腹いっぱい。...で?えーとなんか聞こえたの?」
「うん...気のせいかな?」
「まぁこれが気のせいだったらクソつまんねぇけどな。けど内心気のせいであってほしい俺氏」
翔の本音がちらっと垣間見えた。食事が終了した玲奈は自分のバックの中に手を入れ何かを探している。
「えーとたしか......あった!よかったぁ〜折りたたみ傘持ってきてたぁ」
「うわ...まじかよ。2人だけかよ持ってきてないの」
「あ、パンダのみみみたいなのついてる!かわいぃねぇ玲奈も」
持ち手に青いパンダがいる。何か懐かしみを感じるようなデザインだった。
「お前...それって...」
「ん?」
「小学校の頃のやつじゃねぇか?」
え?という顔で傘を試しに開けてみる。───が、到底バックまでは届きそうではない。つまり本当に小学生の頃の傘なのである。
「ご愁傷さまです」
「またのご来店をお待ちしておりまーす!」
「荷物用の傘と思えばなんとか...」
「させねぇよ?」
「うぉぉぉぉぉぉぉお!」
玲奈の遠吠えが耳に響いた。しかしなかなか雨が降ってこない。翔の意見は雨宿りを社だけでは絶対したくない だそうだ。つまり今からゲットバックしようと言うのだ。
「お、おい...もう帰ろうぜ」
「たけしはさっさとお帰りになってください。」
「えぇ...でも...」
「なにがあっても絶対だめだからっ!」
久しぶりに夏目がうるさくなった。翔は嫌そうな顔で夏目をジーっと見る
「何があってもだめだからっ!」
「あぁー!分かったよ!とりあえず声のボリュームを4段階位低くしよっか」
「分かった...」
ようやく静まり、翔はホッとした顔で夏目を見る。危なっかしくほうっておけない。玲奈はこのやり取りを沈黙かつ真顔でじっと見ていた。
「やっと終わった。ねぇ二人とも」
「ん?」
「あんな所に木なんかあったっけ?」
玲奈の指をさした方を向くと確かに道だったはずの場所に木がいくつも生えていた。
「え...あれ...?」
「えぇぇぇ!?マジやめてよこんなベタな展開!」
「あとさ...」
「うわぁぁ!話すんじゃねぇぇ!?」
翔の脆い精神力が限界らしく、更なる異常事態が加わると気絶しそう とのことだ。
「落ち着け、翔。今耐えたら夏目の胸触れるぞ」
「は!?」
「おっけーおっけー!マイ精神力がノープロブレムすぎて死ぬわ」
「なんかいきすぎたような気がするけどまぁいいや。その調子その調子!」
夏目は反論したいそうだが、入り込む余地がない。1回だけ入り込んでいるが は!? しか言っていない。
「よっしゃ玲奈!続きをどうぞ!」
「よっしゃ翔!私たちが通って来た場所が無い!」
「は?え...あ?え、ん?」
「要するに...」
「もっどれなーい!」
「あぁー俺の人生がツミツミしたぁー!」
「いやぁー!」
嘆く2人を見ながらニタニタと玲奈が笑ってみせる。この異常事態に玲奈は平気そうだ。
「なんであんた平気なの!?」
「だって面白そうじゃん?」
「え!どこが!?」
「こいつ...完全に狂っていやがる」
「使う場所間違えてない?」
玲奈の感性が羨ましいと思うと同時に怖いと思った。
底なしの胃袋にも羨ましいと前々から思っていた。
「この全く科学的じゃない状況を否定してやりたい」
「さ、さすがに言うことが違うな...」
「サバイバル系女子の力を見せてやる!」
「誰に?あとそんなカテゴライズ作んなくていいよ?」
翔は少しずつ慣れてきた。故に今ツッコミ担当(副業)をやっているのだ。
「我がサバイバルナイフで切り裂いてやる!」
「何で持ってきてんだよ。あと発言が既に非科学的なんだが?」
「いいのいいの。私はいいの」
謎理屈で玲奈が押し切る。ナイフをもってきて何をするつもりだったのだろうか
「さってじゃあとりあえずこの謎の森を...中浦の迷宮を探検しよう!もちろんリーダー私なんで」
「まぁ...そうするしかないんだよな」
「仰せのままにぃ」
謎に迷宮化?した森を攻略する旅に出た。
はたしてクリアは出来るのか?
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更新遅い!俺!




