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165 寝起きドッキリ。

 現在は夕刻。

 紅い空に白い雲。夜の到来を告げる寒い風。

 教会から鳴り響く鐘の音が一日の終わりを告げ、仕事を終えた人々は家族との団らんを求めたり、友人と共に酒場へと向かったり。

 冒険者達も納品を済ませて、金のある者は馴染みの宿へ、無い者は馬小屋を目指す、そんな時刻。


 うつ伏せで眠っていたナターシャはようやく目覚め、寝起きの声を漏らす。


「ふぁ……」


『おはようございます我が盟主マイロード


 リズールの声が聞こえ、次第に意識がはっきりしてきた。

 ゆっくりと身体を起こして目を擦るナターシャ。


「おはよリズール……」


 どうやら、休憩中に眠ってしまったらしい。

 それほど疲れるような事をした覚えは無いが、昨日昼寝をしてないからかもしれない。

 

「あれ……メガネは……?」


 ついなんとなしに目を擦っていたが、確か付けたままだったハズ。

 寝ている間に外れて何処かに落ちてしまったのだろうか。

 すると、リズールが銀縁眼鏡を差し出してくれた。


『どうぞ。付けたまま眠っておられたようなので、外させていただきました』


「あぁ、ありがとうリズール……」


 受け取って、眼鏡を掛ける。

 寝ぼけていたので何となく。特に意味は無い。


『そしてですが、我が盟主マイロードの眼鏡に少々改造を施させて頂きました。今後、必要になると思いましたので』


「改造……?」


 唐突な言葉についきょとんとしてしまう。

 リズールはナターシャの手を取り、眼鏡の縁を触らせた。


『では我が盟主マイロード。“解析”と宣言して頂けますか?』


「……解析?」


 疑問形で呟かれたナターシャの言葉に反応して、眼鏡のレンズに変化が現れた。

 目の前に居るリズールに沢山の注釈が付き、解析結果らしき様々な情報がエンドロールのように流れた後、


「お……おぉぉっ!」


 レンズにステータス画面が表示された。


―――――――――――――――


  リズールアージェント

種族:ハイゴーレム・ギュネー

状態:良好


‐スキル‐

魔法適正Lv+10(主人に付与)

体術Lv5 料理Lv3 泥再生

形態変化 収納魔法術

重力制御術 防御結界術


‐特殊スキル‐

大賢者の知識 稀代の魔導技師

物質創造 千里眼 超高速演算


―――――――――――――――


「凄い凄い!」


 興奮で目が覚めてきて、座ったまま跳ね始めるナターシャ。ス〇ウターみたいだ!

 その楽し気な様子を見てリズールも満足。軽く返礼しながら機能解説を行う。


『魔法創造のご褒美という形で眼鏡に試験的に実装させて頂きましたが、喜んで貰えたようで何よりです。そしてですが、今回は通常の解析機能を搭載しています。常時発動し続ける鑑定魔法により、自動で相手の名前、状態、所持スキル等を確認できます。次回のメンテナンス時には詳細鑑定機能を搭載し、更に細かな情報分析を行えるように調整します』


「ホント!? わっほい!」

 

 嬉しさを身体で表し、内心もわっくわくのナターシャ。

 キラキラと目を輝かせながら、リズールに詳細解析機能で表示される情報について尋ねる。


「じゃ、じゃあさ! 解析相手のステータスを表示させられるようになるの!? 体力とか魔力とか!」


 そんな感じで詰め寄る主の言葉を聞いたリズールは、

 困惑した表情で首を傾げる。


『すてーたすとは……?』


「え? 鑑定したらステータスウィンドウが出るじゃん?」


『すてーたす、うぃんどう……?』


「……え? スキルの他に、攻撃力とかの数字が分かるでしょ?」


『……? 鑑定で分かる情報は名前、種族、状態、スキル、特殊なスキルのみでは?』


「…………えっ?」


 困惑し合う両者。

 何やら情報の齟齬が起こっているようだ。

 疑問に思ったナターシャは眼鏡を外し、リズールに鑑定魔法を使用した。


「“森羅万象、生々流転を書き記す世界の真理書よ。全てを白日の下に晒し出し、我が名の下に求めし個の情報を暴き出せ。森羅万象鑑定術オールマイティ・アプレイザル”」


 鑑定が発動し、リズールの情報はナターシャの脳内に直接送り込まれた。

 目の前のフードを被った青髪のメイド少女は、先ほどメガネに表示された情報と同じ物を持っている、とハッとする感覚。他には、高品質なメイド服とフードを装備していると分かる程度。後、パンティーを履いてない事。

 だがその中には、対象の体力、魔力……中略して相手のLvまでもが、情報として一切入っていなかった。


「数値が分からない……?」


 この魔法には欠陥があるのか……? 戸惑うナターシャ。

 リズールはステータスという物がある、と仮定した上で主に問いかける。


『……ではナターシャ様。すてーたす……という物を知る手段は御座いますか?』


「あ、うん。それはある。“ステータスオープン”」


 本来は上位互換の詠唱があるハズだが、焦っていた影響で簡単な方を詠唱してしまった。

 だが、ステータス画面は問題なくナターシャの前に表示される。


 ―――――――――――――――――――――――


 Lv8/99   名:ユリスタシア・ナターシャ      

 年齢:7歳   職業:魔法使い

 称号:なし   47/768exp   利き手:両手

   

 HP245/245   MP12100/12100(Ex)


 ATK:40    VIT:245 

 STR:5     DEF:21 

 INT:70    RES:51 

 DEX:3     AGI:50

 SPD:75    LUK:195


 武器1(左):なし  武器2(右):大賢者の魔導書

 頭:なし         体:厚手の服 

 左腕:なし       右腕:なし

 腰:なし         脚:厚手の服 

 足:革のブーツ    アクセ:なし


 ????(???)


 ?300  ?500  ?400  ?300

 ?300  ?200  ?100  ?500


 ―――――――――――――――――――――――


 所持スキル一覧


 剣術Lv0 魔法適正Lv10 会話術Lv1

 神の加護(魔法)Lv3:Unique.

 熾天使の紋章:Unique

 ????:Passive


 ???の血筋Lv5:Unique


 ―――――――――――――――――――――――


 それも、上位互換として創ったハズのオールステータスウィンドウで表示された物が。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 作者さん、更新はお疲れ様です! リズールさん、本当に出来るお秘書さん、有能な美少女メイドさんですね〜 ナターシャさん、造った生活魔法と鑑定も凄いです。 引き続きも期待しています!
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