127 四日目:BBQパーティを終え、ナターシャ一行はロスタリカへ
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熾天使アーミラルが屋敷内で色々とやっている頃、伯爵夫妻の傍に来た少女二人はお皿とワイングラスを給仕さんに渡してぺこりとお辞儀。
BBQパーティに誘ってくれた事に対して礼を告げ、軽い雑談をする事になる。
話のネタは道中での出来事がメインになるのだが、まぁ大体がオセロの話になるのは致し方無しか。
他には……サウド村について話した。そこで店を構えているカバン屋の腕が良い、とってもお薦めだとクレフォリアちゃんが猛烈に押していたのが可愛かったかな。まぁいつ見ても可愛いけど。
因みに話の中で『……ふむ、君がタリスタンの選んだ子かな?』とでも聞かれるかと思っていたが、そんな事はありませんでした。
まぁ伯爵からすれば息子の嫁候補が一人出来ただけという認識なのだろう。タリスタンなら多分引く手数多だろうし。おのれイケメンめ。
そうして会話を終え、解放されたナターシャとクレフォリア。
シードルのボトルを手に入れて帰って来た天使ちゃん(仄かにワインの香りがする)を交えてのんびりと会話を楽しむ。
ワインの香りがする原因について尋ねた所、食堂でいくつかテイスティングをさせて貰ったらしい。中でもブランデーが美味しかったとか。やっぱりこの世界でもあるんだね蒸留酒。
そのままパーティーが佳境に入り、そろそろお開きかな、と思った所でウィダスティル伯爵が解散の意を告げる。流石は上流貴族。タイミングを良く分かっておられる。
パーティに参加している面々は伯爵夫妻に感謝を告げて仲間と共に解散し、その場に居たコックや使用人達も参加者に頭を下げる。
タリスタンも終わりと聞き、急ぎ足でナターシャに近付く。
「やぁ君。楽しんでくれたかな? 僕が思う限り盛大に歓迎してみたんだ!」
その爽やかな雰囲気と上等そうな服がいかにも上流貴族。
8歳でこれとか大人になったらどうなるんだろうねタリスタン。
ナターシャは一旦友人二人から離れ、タリスタンと会話する。
変な感情を抱かないように思考停止で。
「うん楽しかったよ。ありがとうタリスタンくん」
「フフ、君は僕の恩人なんだからこれくらい当然さ。個人的にはまだ足りないとも思うくらいだよ」
「いやいや十分だよ。こんなに可愛い服も貰っちゃったし――」
そのまま適当に会話を繋げ、互いに別れの言葉を送り合って終わり。
俺が救出してしまったせいでタリスタンルートのフラグが立ってしまったが、ウィダスティル家の反応を見る限りただ候補の一人が決まっただけと確定。
ウィダスティル家レベルの貴族なら爵位が同じか上の貴族との政略結婚がザラだろうし、男爵家の次女である俺が選ばれる可能性はほぼ無いに等しい。つまり此方からタリスタンに接触しない限りそのルートに入る事は無い。よって自由恋愛だ。セーフ。
後はそうだな……タリスタンに良い子が見つかる事を祈っておこう。どうか俺以外の女の子をタリスタンに宛がって下さい。神様頼みましたよ。
色々と理解し、ようやく安堵したナターシャは荷物を取りに行く為に執事さんに掛け合い、客間にサクッと向かってサクッと荷物を回収して外の広場へと戻る。
そこではクレフォリア、ガレットさん、斬鬼丸、天使ちゃんまでもが待機していてくれた。
「お待たせー」
ボディバッグを背負ったナターシャが手を振り、髪を揺らしながら皆に駆け寄る。
皆も快く対応し、ナターシャは少女二人に抱き寄せられて心温まる気持ちなんだけどちょっとまっ、天使ちゃん顔揉み倒すのやめっ、
「ひゃめろぉ!」
「やめないよー☆ じゃあ馬車に行きましょうかガレットさん♪」
「そうですね。……斬鬼丸。お遊びは終わったので周囲にしっかり気を配りなさい」
「御意」
……全員+αとなったナターシャ一行は次の街へ向かう為、屋敷の近くにある停車場へと向かう。
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石畳で出来た停車場には既に準備万端な3台の馬車と、タリスタン親衛隊の副隊長が率いる騎馬兵5人が待機していた。
ナターシャと天使ちゃんはその様子を記念に撮り、ついでにクレフォリアちゃんも交えて記念写真を撮って早くしなさいとガレットさんに怒られ、急いで馬車に乗り込む。
そして残念な事に天使ちゃんとはここでお別れ。
「さようならナターシャ……貴方とまた会える日を楽しみにしています……」
「嫌だ!消えないでくれアーミラル……! 僕はもっと君と一緒に居たいんだ……!」
「私も貴方と同じ気持ちです…………きっとこの感情が……恋……なのですね……っ」
「アーミラル……ッ!」
「早く帰りなさいアーミラルさん。もう出発時刻です。ここで遊ばれると旅に支障が出ます」
「はいごめんなさい天使ちゃん帰還しますっ!」
などとしょうもない寸劇を挟みつつ、天使ちゃんはユリスタシア家に帰還。
ナターシャ一行と冒険者ギルドは騎馬兵の先導を受けて移動開始。
屋敷の停車場から緩やかな坂を何度も蛇行しながら下り、ようやく下山して城の前に。
そこから街を見下ろした光景は本当に見事だった。
城を頂点として扇状に広がっていくセルカムの街並み。色彩も統一され、国境らしく街全体が堅牢な城塞となっている。
空気も澄んでいて視界も良好。街を囲う城壁、その先に広がる枯草原までしっかりと視認できる。
行きがけには見えなかったこの美しい景色は正しく観光スポット。ナターシャもワクワクが止まらない。
「いやー、いい景色だねクレフォリアちゃん。絵にも描かれる訳だよ」
「そうですね……。いつかゆっくりと、観光出来ればいいですね……」
御者台から身を乗り出し、美しい景色に想いを馳せる少女二人。
騎馬兵に先導されるナターシャ達の馬車はセルカムの街並みを左寄りに進んでいく。御者さん曰く、今向かっている方向にはスタッツ国とエンシア王国の両国間を隔てる一大検問所があるらしい。どんな感じなんだろうか。
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街を抜けた馬車列は国境検問所に着いた。エンシア王国とは違い警備が厳重で、こちら側ではエンシア王国での検問、反対側ではスタッツ国軍兵士による検問が行われる二重チェック構造らしい。
スタッツ国の兵士の服装だが、黒いコートのような服の隙間からは金属製の防具と腰にマジックワンドらしき物がちらり。なんというか魔法使いっぽい。
暫く待って順番になり、大体エンシア王国の時と同じような簡易調査を二回受ける。
黒コートの小集団が馬車の荷物検査や入国審査を行っている様子はもう何というか、中世というよりは近世史の光景だ。
ただ、青い波動を放つ魔道具を荷物検査に利用しているのはスタッツ国で魔法技術が発展しているからなのだろう。
検問はスグに終わり、ナターシャ一行は騎馬兵と共に城門を抜ける。
ロスタリカに繋がる道は一直線。相変わらず石畳の街道。
このまま見慣れた草原を横目に、ナターシャ達は目的地へ進んでいく。
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視界の左、遠目に山々を見据えながら進むナターシャ達。
日が暮れて夜となり、二つの月が空で満ち欠けをしている時間帯にようやくロスタリカへと到着する。
街の周囲に城壁は無く、しかし中の街並みはセルカムと同じ。
道路は馬車が何とかすれ違える程しか無いが、歩道上に並ぶ街灯のお陰で夜でも人が活動している。街灯の光源は風で揺れているので何かしらの物質を燃やしている様子。
区画整備がきちんと行われた街並みを進み、十字路を2つか3つ超えた辺りで冒険者ギルドに到着する。
ここが今日の宿。冒険者ギルドロスタリカ支部だ。
お待たせ。待った?(美少女ムーブ)
国家間の確執とか魔法がどう発展して、どうなったとか創っていく末に魔力の誕生秘話まで辿り着いた作者です。ダル過ぎて何度もキレました。
取り合えず色々な言い訳は出来上がったので、今は旅編をざっくり進行で終わらせていきます。




