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クラスメートのあいつと準備をします

「ごめん!!」

「いや、別にちょっと熱かっただけだし……」

空間移動で、誠の上に座ってしまい、パニックになってファイアーボールを撃ってしまった私。いくら混乱していたとはいえ、仲間にそんなことしちゃうなんて……。

「まあ、積極的だなぁとは思ったけど」

「言うな、バカ!!」

「悪かったって」

いくら魔法のせいだとはいえ、恥ずかしいものは恥ずかしいんだから!

「俺は別にあのままでも良かったし、慌ててんのみて可愛いなって思ったよ」

「お前は浅葱くんか」

「言っとくけど、恭介って口だけのピュアボーイだからね?」

「ほんと?」

「ほんとほんと」

そうだったのか……。いや、この前ガチで口説かれたからそう思ってたんだけど……浅葱くんピュアなんだ……。意外だな。

「恭介みたいって……軽そうってこと?」

「まあ、そういうことになるよね」

「うーん……軽いつもりは微塵もないんだけどな?俺って昔から一途だし」

「へえ、そうなんだ」

「興味がないのかな、棒読みですけど」

正直、誠が一途だろうが一途じゃなかろうがどうでもいいって言うか……。そんなこと知っても役に立たないし、嬉しくもなんともないし。私が唯川さんだったなら喜ぶのだろうけど。

「誠の恋愛事情を知ったところで……ねえ?」

「うぜえ!そういう里亜は好きな人とかいたことあるのかよ?」

「そんくらいありますー、バカにすんなし」

「目をそらさずに言ってみろよ」

「バーカバーカ!!」

「なんでだよ!?」

初恋もまだですが、何か問題でもあるんですか!?

言うと、バカにされるのなんか見えてるから、言いたくなくなるんだよ!

「でも、里亜なら彼氏いたことあると思ってたんだけどな」

「なんで?偏見?」

「お前、意外とモテてるからな」

「へえ、さらっと嘘つくのやめようぜ」

「嘘じゃねーし!東雲もお前のこと好きだし」

「え、嘘。やだ、ネタにして弄ろう」

「性格悪っ!」

東雲くん……丹色くんによく絡まれてて、まんざらでもなさそうだったからそういう人かと思ってたんだけど……ちゃんと女の子好きなんだ……ネタが1つ減った。

「そういう誠はどうなのさ」

「彼女はいたことねーよ、俺はヘタレだからな」

「へえ」

彼女"は"ってことは、好きな子はいたことあるんだ……意外だな。『お前らみたいなお子ちゃま、興味ねーよ』とかはいいそうだとは思っていたけれども。

「そういえばさ、街に移動するの明日にしない?」

「なんでだよ」

「まず、日がだいぶ傾いちゃってるっていうのが1つ。なんか変な汗かいちゃったから、今すぐお風呂に入りたいっていうのが本音」

「あぁ、なるほど」

私にとっては死活問題だからね!

夕方になると、眠くなってまともに魔法が当たらなくなることが判明。冒険者としては最悪なのだろうが、仕方がないのだ。

夕方は眠いが、夜はハイテンションになるので魔法の威力が少し上がる。全く意味がわからない。

「ということで、また明日ね」

「……ん。おやすみ」

「ふぃー。おやすみー」

誠にひらひらと手を振る。

簡易住宅、と念じるとこれのどこが簡易なんだって思うくらい大きな……プレハブ小屋みたいなものが出てきた。

見た目より中が広く、キッチンもあるし、トイレもお風呂もあるし、どこから引いているのかわかんないけど水も出るし、電気も通ってるし……。これが簡易住宅だとするなら、ちゃんとした家はどんな感じになるのだろうか。城塞レベルが神にとって普通の家なのだろうか。

お風呂を沸かすため、ピッとボタンを押す。ハイテクだ。便利すぎる。

とりあえずお風呂が沸くまでの時間を潰すため、魔法の練習をする。

指先に炎を灯したり、水を出したり、まあ色々だ。意外と飽きない。むしろ楽しい。

そうして練習しているうちに『お風呂が沸きました、お風呂が沸きました』とお風呂が教えてくれた。



#####



お風呂は最高だ。

温かいし、何より1人でいられる。

最近は1日の半分くらいを誠と過ごしているため、1人の時間というのはあまりない。労働時間は8時間って習わなかったのかな、あのウサギ。

「はあ……」

お湯が温かくて、気持ちよくて、思わず声が出る。

もうこの言葉しか出てこない。お風呂は最高。

誰がなんと言おうと、お風呂は最高なのだ。

いつもより長くお風呂に入っていたと思う。

お風呂上がりの冷たい飲み物も最高だ。

外から吹いてくる冷たい風も気持ちいい。

最高だ、語彙力がなくなるくらいだ。

幸せに浸っていると、視界に緑色の何かが映った。

何気なくその緑色の何かに視線を向けると ……。

「ぎゃぁぁぁぁっ!!あぁぁぁぁぁぁっ!!キモいぃぃぃぃっ!!」

そこには、大きな大きな芋虫が。

キモ過ぎる。異世界の生き物って、なんで何でも大きくなるのだろうか。

その芋虫は、もそもそとゆっくり動いている。

これが少しでも愛嬌を感じる姿ならまだ許せる。しかし、目の前のこいつは可愛らしさなどかけらもない、ただの緑色の気持ち悪く動く物体なのだ。

「メテオフォール!!」

そいつの気持ち悪さに意識を失いかけながら、呪文を叫ぶ。今、私絶対白目だわ。

すると、空から赤い大きな物体が芋虫の上に落ちてきた。やったね、大成功。

恐る恐る目を開けると、私の天敵はいなくなっていた。滅することに成功したようだ。

「おい、大丈夫か!?なんかすげえ音したけど!」

「大丈夫大丈夫。私の天敵は滅亡した」

「お、おう。なんかわかんないけど、良かったな?」

頭の上にハテナを浮かべる誠。

お前はまだ何も分からなくて良いのだよ。

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