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僕の戦国時代  作者: 虫松
関ヶ原の戦い 中盤戦
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第九話 裏切りました。

昨日、南宮山

小早川秀秋陣内


小早川秀秋は親友の黒田長政より、東軍へ寝返るように説得を

受けていた。


「中田殿と幾度か戦や飲食を共にしたのだが、そんなに悪い奴

ではないのだ、今更ではあるが、裏切る事は出来ない。」


「あんなに可愛がっていただいたご恩ある

秀吉叔父様を亡き者にした、中田殿をお許しになるとは

秀秋殿は心が広いですな」


「そっ、それは戦の成り行き上、仕方なかろう。」


「そして次は大ご恩ある家康公も手にかけようとしてるのでございますよ。

二人の大恩人を失ってなお、中田殿はいい人だと云えますか?」


※子供がいなかった秀吉に秀秋は養子として大変可愛がられた。

5日に1回は爪切るように秀吉言われ約束を守っていたという。

また秀吉から期待され、「見事に敵の首をあげてみよ。」といわれ

戦で張り切りすぎた秀秋は自ら鎗を振るった。

そして女,子供を狙う秀秋の行動に「秀秋殿、およそ大将の器にあらず」

と石田三成に報告され秀吉に領地を減らされた際は家康に

間を取り計らってもらい領地を回復することが出来た。



「長政、わしはどうすればいいのか!」


「家康、秀吉叔父様も亡霊となって、夜な夜なあなたの枕元に会いに来るでしょう」


「それは困る!幽霊など、どう対処すればいい」


(幽霊にビビってどーすんだ?今まで殺した兵皆幽霊になるわ。

こいつは阿呆よの。母上とまだ一緒に寝てるのか)


「供養するには中田殿の首を秀吉様の墓前に捧げるのです」


「それしか方法はないのか・・・」


「有名な高僧から、供養の仕方を教わり申した。まちがいないかと」


「・・・・・」


「呪い殺されるのは、さぞ悍ましく苦しみ悶えるのでしょうね」


「・・・・・」


「わかった、もう迷いはしない。長政ご足労であった。心から礼を云うぞ」


「我ら幼き頃より親友ではないか。よう東軍に来てくれた」

黒田長政は小早川秀秋を抱擁した。

(貴様の裏切りによっていくつの霊があなたに取り付くのでしょうね。

まぁ私には関係のないことですが、呪い死ぬのも天命かと)


黒田長政は深夜の闇に消えた。


◻︎◻︎◻︎


翌朝、進軍し着陣した。

小早川秀秋隊15600は大谷軍を向いている。


「これより、大谷吉継隊へ全軍攻撃を開始する!」


「寝返りでございますな」


「そうじゃ、これより小早川秀秋は中田玄白を討ち、亡き秀吉叔父の仇をとる」


「槍隊、前へ!やり襖を組め!弓隊後方より大谷隊を攻撃!」


(もう迷いはしない!わしがこの関ヶ原の戦いを決着させてみせよう!)


小早川秀秋隊15600人は大谷吉継隊2000人に突撃した。

「うわああああぁああああぁああ」


小早川秀秋隊が大谷吉継隊へ突如突撃を始めた頃


「申し上げます。小早川秀秋殿が大谷隊、目掛け突撃を開始しました。」


「少しは、違う結果も予想してたのじゃが。

やはり成るように成ってしまうの〜」

立花宗茂は軍杯を手で仰いでた。

(人間万事塞翁が馬、不幸も幸せも予測できんないというが秀秋殿は不幸

奈落真っしぐらよの)


「殺れ!裏切り者じゃ一人も生かすでないぞ!」


「はっかしこまりました。鉄砲隊!構え!」


「放ってぇええ」


パンパンパンパン パンパンパンパン パンパンパンパン

パンパンパンパン パンパンパンパン パンパンパンパン

パンパンパンパン パンパンパンパン パンパンパンパン



けたたましく鳴る鉄砲隊の音は、次々と小早川秀秋隊の

鎧、兜、手足体に穴をあけ血が吹き出し傷つき倒れた。


「小早川殿、伏兵でござる」


伏兵じゃ、撤収せよ! 伏兵は何者なのじゃ!」

「うわああああぁああああぁああ」

混乱する小早川秀秋陣内は完全に指揮混乱に陥入り。

小早川隊はバラバラに敗走した。


「うわああああぁああああぁああ」


「落ち着け!落ち着くのじゃ!」

(何と!わしは若しや中田殿をはめるつもりがはめられていたのか・・)


◻︎◻︎◻︎


大谷吉継陣営


「小早川秀秋殿が我が後方より襲いかかってきておりますが

何者かが小早川秀秋隊に鉄砲をけしかけている模様です。」


(やはり中田殿は策を施しておったな)


【全軍、小早川秀秋隊へ反撃開始せよ!】


「はっ全軍にお伝え申す」


(ワシの寿命も後もう少し伸びるかもしれん。

人間万事塞翁が馬・・・・・)


ハンセン病におかされなければ、病気が完治出来る薬が

あれば、何度、この男は天を運命を呪ったであろう。

大谷吉継は人生を走馬灯のように憶いかえしていた。



パンパンパンパン パンパンパンパン パンパンパンパン

パンパンパンパン パンパンパンパン パンパンパンパン

パンパンパンパン パンパンパンパン パンパンパンパン


「ふふふふ、あはは、あはははは」

大谷吉継は祝砲ともいえる鉄砲隊の音に目を閉じ

包帯を外し余韻に浸っていた。


◇◇◇


【人間万事塞翁が馬】(にんげんばんじさいおうがうま)

中国の故事が由来。

人生において、思いがけない事が幸福になったり、

予期しない事が不幸をもたらしたりする。

その事にやたら喜んだり悲しんだりしても始まらないということ。



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