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新選組列伝ー誠の残響ー

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歴史小説 【前田利家の下剋上物語 秀吉の親友 槍一本から大出世した男】 下



挿絵(By みてみん)



【清洲会議】


本能寺の変で、織田信長の死後、その後継者を決めるために開かれた清州会議。この会議には、信長の妹・お市の方を娶り、信長の第一の将として多大な功績を挙げた柴田勝家がいた。柴田勝家は信長の三男・信孝を後継者に推薦したが、これは羽柴秀吉が推す三法師との対立を生むことになった。


また、丹羽長秀も清洲会議に出席した。長秀は信長に仕えた戦国武将で、「山崎の戦い」にて秀吉と共に明智光秀を滅ぼし、敵討ちを成功させた人物で清洲会議では、秀吉の主張に同調し、三法師を支持した。


池田恒興もまた、信長の重臣として清洲会議に参加した。恒興の生母は信長の乳母を務めており、その縁から信長に仕えるようになった。清洲会議では、秀吉が提案した三法師を後継者とする案に反対しなかった。


清洲会議は、信長の死後の混乱を収束させ、織田家の未来を決定づける重要な転換点となった。信長の遺志を継ぐ者として、最終的には三法師が後継者として選ばれ、秀吉がその後見人となることで合意に至った。この会議を通じて、秀吉の政治的な地位が確固たるものとなり、後の天下統一への道が開かれていくことになる。


一方、強引なやり方で三法師を後継者したことにより柴田勝家と羽柴秀吉の対立の溝は決定的となる。前田利家は親父様と呼ぶ柴田勝家と家族ぐるみの付き合いの親友である羽柴秀吉との間で葛藤することになる。



【賤ヶ岳の戦い】


天正11年(1583年)4月、近江国伊香郡の賤ヶ岳付近で、羽柴秀吉と柴田勝家の間で激しい戦いが繰り広げられた。この戦いは、織田信長の死後、天下統一を目指す秀吉にとって、勝家との権力争いを決定づけるものであった。


賤ヶ岳の戦いは、利家にとっての大きな試練だった。秀吉との友情か柴田勝家の与力としての忠義をとるか、どちらかを選ばなければならない。どちらかを選んだことにより彼の運命は大きく左右することになるだろう。


前田利家は、秀吉と柴田勝家の間で深い葛藤に苦しんでいた。秀吉とは家庭くるみで親しく、勝家は「親父様」と呼ぶほど敬愛していた。しかし、戦の流れは前田利家に選択を迫った。


前田利家


「秀吉殿は我が友であり、勝家様は我が親父様。どちらのためにも槍を振るうことはできぬ…」


戦場での利家は、内心の葛藤を隠しきれずにいた。そして、ついに決断の時が訪れる。


前田利家


「いかん、これ以上戦えば、どちらかを裏切ることになる。私は…私は…」


利家は頭を抱え、戦線を離脱した。彼の心は引き裂かれ、戦いの中で最も苦しい選択をしたのだった。


北ノ庄城の天守閣にて、勝家は窓の外に広がる景色を見つめていた。雪解けの水が足羽川を濁流と化し、春の訪れを告げている。しかし、城内は包囲され、もはや逃げ場はなかった。


お市の方が静かに近づき、勝家の手を取る。


「勝家様、私たちの時間はもう残りわずかですね。」


勝家は深く息を吐き出し、妻の目を見つめた。


「お市、お前には城を出て、生き延びてほしい。」


しかし、お市の方は首を横に振った。


「私は勝家様と共にいます。私たちの娘たちはもう安全です。私には勝家様しかいません。」


二人は互いの手を握りしめ、運命を受け入れた。勝家は刀を取り、お市の方に向けた。


「儂が先に行く。お前は後を追ってくるのだ。」


お市の方は涙を流しながら微笑んだ。


「はい、どこまでも。」


勝家は深く息を吸い、刀を腹に突き立てた。お市の方は夫の後を追い、二人はこの世を去った。


お市の方 辞世の句

【さらぬだに うちぬるほども 夏の夜の 夢路をさそふ ほととぎすかな】


この戦いの後、秀吉は天下統一への道を大きく進むことになる。しかし、利家の心に残った傷は深く、彼の決断は後世に語り継がれることとなる。


【加賀百万石】


賤ヶ岳の戦いの後、前田利家は本拠地を金沢に移す。1584年小牧長久手の戦い後、領地は90万石になった。1586年、前田利家と妻のまつは上洛して、豊臣秀吉の側近として大阪城下で仕えることになった。


豊臣秀吉


「 おお、利家!金沢はどうだった?城は立派になったか?」


前田利家


「 ああ、秀吉。金沢はなかなか良いぞ。城もだいぶん様変わりして、見違えるようになったよ。」


まつ


「 秀吉様。金沢城下は美しいです。でも、大阪城下はもっと美しくて素晴らしいです。」


豊臣秀吉


「 そうか、そうか。まあ、ここ大阪城下も悪くないだろう?さて、利家、小牧長久手での活躍も聞いたぞ。領地が90万石になったってのは本当か?」


前田利家


「本当さ。でも、それも秀吉のおかげさ。お前の策にはいつも助けられてる。」


まつ


「利家はいつも秀吉様のことを尊敬してるわ。私たちもここで秀吉様の天下取りの力になれるといいわね。」


豊臣秀吉


「まあまあ、そんなに褒めなくてもいいさ。利家、まつ、これからも一緒に天下取りを目指そうじゃないか。」


前田利家


「もちろんだ。お前となら、どんな困難も乗り越えられるさ。」


しかし、その後、秀吉は病床に倒れる、そして時は流れゆく。前田利家は、その側で静かに見守る。かつての戦の嵐は過ぎ、今はただ、秀吉の息吹が弱まるのを感じるばかり。利家自身も、年齢の重みを感じ始めていた。彼は隠居を望んだが、天下の大事を託される身として、その願いは叶わぬものと知っていた。


秀吉は、息子秀頼の未来を利家に託す。その言葉は、利家の心に深く刻まれる。五大老・五奉行の制度の中で、利家は大老としての重責を担うことになる。秀吉の死後、利家はその遺志を継ぎ、秀頼を守ることを誓う。


しかし、利家の体はすでに衰えを隠せず、秀吉の死からわずか一年後、彼もまたこの世を去る。豊臣家の未来は、不確かなものとなった。家康の影が大きくなり、天下は新たな動乱の時代へと突入していくのであった。



【前田利家の下剋上物語 槍一本から大出世した男】 完

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