第2話 戦国大学創設
山あいの古い寺。
瓦は欠け、
柱は歪み、
庭は草に覆われていた。
だが、
ここが
未来の国家を動かす場所になる。
僕は本堂を見上げた。
「ここを大学にする。」
大工が集められた。
壁が壊され、
廊下が広げられ、
僧房は教室へと変わる。
鐘楼の横には講義堂。
庭には兵法演習場。
寺は姿を変え始めた。
戦国大学。
日本で初めての
“国家を学ぶ学校”。
しかし――
武将たちは笑った。
「学校だと?」
「戦国にそんなものがいるか。」
「武士は刀があればいい。」
ある大名は言った。
「本を読む武士など弱い。」
笑い声が広がる。
だが僕は気にしなかった。
この計画は
武将のためではない。
未来のためだ。
ある夜。
講義堂に
灯りがともる。
そこに
最初の若者たちが現れた。
農民の子。
泥のついた草履。
「読み書きを覚えたい。」
浪人。
使い古した刀。
「戦以外の道を探したい。」
商人の息子。
帳簿を抱えている。
「国の仕組みを学びたい。」
次々と集まる。
身分も
出身も
違う。
だが
目だけは同じだった。
未来を見ている目。
教壇に立ったのは
学長。
細川幽斎
幽斎は静かに言う。
「ここでは身分は関係ない。」
「学ぶ者が上だ。」
学生たちの背筋が伸びる。
大学の学びは
戦国には前例がない。
政治。
法律。
経済。
軍略。
外交。
国を動かすための
すべてを教える。
外では
まだ笑う者がいる。
「本で天下は取れぬ。」
だが僕は知っている。
時代は変わる。
武だけの時代は
終わりつつある。
講義堂の灯り。
そこには
農民
浪人
商人
身分の違う若者たちが並んでいた。
第一期生。
この小さな寺に
日本の未来が
詰まっている。
僕は教壇の前に立った。
学生たちを見渡す。
胸が熱くなる。
そして言った。
「この学校は武士のためではない。」
「この国の未来のためにある。」
ゆっくり言う。
「お前たちは――」
「この国を変える人間になる。」
静まり返る講堂。
僕は拳を握り、
思わず叫んだ。
「新しい日本の夜明けぜよ!」
学生たちの目が燃える。
この瞬間
戦国大学にはただの学校ではない
時代を変える力が生まれていた。




