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第10話 道は続く

「じゃあ、行ってくるよ…」

フィナンシェは、電気スクーターにエンジンをかける。

チーズ菓子店。

その店が、フィナンシェには、まぶしくうつる。

「今度は、いつ帰ってくるのよ」

恋人のマドレーヌが聞いてくる。

「僕には、答えられない。まだ、わからないよ」

フィナンシェの頭の上の耳が動く。

尻尾が左右にゆれる。

「僕、今は、軍人なんだ」

「何で、フィナンシェが軍人なの?」

マドレーヌは、口をとがらせる。

強気な彼女なのに、泣きそうな顔に見える。

「僕が、獣人になったから。その理由は、まだ調査中みたいなんだ」

「戦いなんて、フィナンシェにできるの?」

「できるよ」

フィナンシェは、右拳を意識する。

戦える。

戦えるんだ。

僕は。

「また、会いに来てね。愛してるわ」

マドレーヌは、フィナンシェのほっぺたにキスをする。

「…う、うん。また来るよ」

少し照れながら、スクーターに乗る。

恋人のマドレーヌに、今度は、いつ会えるだろう。


第10話 道は続く


イーストエリア。

イースト大森林公園。

その敷地内は、完全封鎖されたままだ。

軍によって。


イースト大森林公園内。

軍事研究基地。

作戦指令室。

「…そのため、未知なる敵・ベヒーモスは、魔界と呼ばれる異世界から、発見されたそうだ」

「魔界って、ゲームの話…?」

フィナンシェは、思わずつぶやく。

「獣軍人。ゲームの話ではない。真面目に聞け」

「ご、ごめんなさい…」

「とにかく、ベヒーモスは、本来は液体らしい。魔界の泉が、何かしらの影響で、怪物化して暴れ出したそうだ」

ベヒーモスが、液体?

口を手で押さえるフィナンシェは、驚く。

確かに、小型ベヒーモスは、“攻撃”すると、絵の具のように液体になって消えた。

クイーンや、ビッグも液体?

「“クイーン”と“ビッグ”というベヒーモスは、この基地の地下牢獄に入れ、研究中だった。それが逃亡して、今回の事件に発展した」

「…」

「現在、ベヒーモスは全て、魔界と呼ばれる異世界に戻した。つまり、ベヒーモスの危機は去ったのだ」

作戦指令室が、静かになる。

ベヒーモスの事件は、解決ということでいいのだろうか。

「後は、獣軍人の獣化についてだが…」

「し、知りたい…」

再び、声をあげるフィナンシェ。

「確かに、知りたいな」

仮面軍人セシールが、うなづく。

軍人たちも、何人かうなづいている。

「これは、小型ベヒーモスに噛まれた影響だ。ベヒーモスが、魔界の泉の怪物ということで、その泉が、獣化させる効果を秘めていたのだろう。情報開示は、以上だ」

「…解散!」

軍人たちは、解散する。


「魔界の泉の効果…ですか?」

休憩室で、オリビエが言う。

「うん。…そうみたいなんだ。僕も言われてピンとこないよ」

「ワタシは、納得したが」

疑問符の浮かぶフィナンシェとは反対に、セシールは納得した様子。

フィナンシェの頭の上の耳。尻尾。

魔界の泉の効果とは、何だろう。

「とにかく、戦う力を、魔界の泉の怪物から与えられたということだろう?」

「…?」

「戦う力は、人間の生きていく力だ」

セシールは、フィナンシェの肩をたたく。

それは、人間に必要な力。

一撃入魂。


「フィナンシェさんは、戦う男性なんですね」

オリビエは、フィナンシェを見つめる。

フィナンシェは、これからも戦い続ける。

それは、神が、全ての人間に与えた試練なのかもしれない。


「僕は、戦うよ。この道を選んで…」


道は続く。

それは、戦う力が必要な道なのだ。

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