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閑話:そのころカスペルは?

Side:カスペル

俺は、帝都にある軍士官学校の一般兵の寮にいる。

学園は、卒業した。


「ちきしょう、どうしてこうなったんだ」って俺は、訓練で疲れる身体をそのまま固いベットへ倒れこむようにした。


今日も厳しい訓練にいやになる。

思い出せば、『無能』がいなくなり、学園での生活は一転して楽しい日々だった。

彼女達と食事をしたりしていたし、何度かデートにもいった。

特にジョアンナは俺になびいていたはずだった。


だが、長くは続かなかった。

デッケル団長夫妻が遠征から呼び戻された。

王国の勇者が学園に編入してきた。 魔族に対抗するための戦力集めだ。

もちろん、俺は父上にいわれていたのもあったから、勇者の仲間になるべく快く世話をするつもりでいた。


だが、勇者はもともと平民で一緒につれてきた従者も平民ってことで、デッケル家に世話になることになった。

本来なら、俺の家に来る予定だったのに。


そして、勇者はさっそく、フェリシアと登下校する。

そうすると、フェリシアと一緒に登校するジョアンナ、カトリーンとも一緒に登校するようになる。


あれは、『無能』がいた時と同じ光景。

だが、勇者がまだ力がないといっても勇者は勇者だ。

『無能』のように、学園でイジメることも、そして孤立させることもできない。

俺は苦虫をかみしめながら、常に彼女達とそして兎族の獣人と一緒にいる彼をよく目にする事になった。


もちろん俺だって、生徒会長として彼に近づいた。

何度も模擬戦をして、最初のころは俺が勝って俺の力を見せた。

が、半年だ。 たった、半年で俺は勇者に勝てなくなった。


俺はプライドが傷つき、ついつい俺のいう事を聞く友人たちと接触してしまった。

「会長、やっぱり彼らと付き合いがあったんですね。」ってジョアンナだ。

「たまたま、彼らから声をかけてきたんだよ」って俺。 正直、苦しい言い訳だった。

だって、ジョアンナが入ってきたのは、俺たちが会う秘密の談話室だったからだ。

「会長が彼らに接触するの待ってたんです。」っていうジョアンナの目は俺を蔑む目をしている。

「どういう事かな?」って俺。 きっともう俺の目は泳いでいる。 背中は、冷や汗で汗ばんでいる。

「もういいんです。 これでスヴェイン君が言っていたことが正しかったってわかったんで。 会長、金輪際、私達に近づかないでくださいね。」って言って去っていこうとする。

「まて、ジョアンナ。 誤解だよ!」って言って、彼女の腕をつかもうとしたけど振り払われた。


彼女は実技では学年1位だ。

総合成績では1位だが、実技は2位の俺。 それもちょうど俺が勇者に勝てなくなったころに、彼女にも勝てなくなった。


そして、秘密の談話室に残された俺と俺のいう事を聞く友人たち。

俺たちは、いや、俺はその日を境に、あっという間に俺が築きあげた人望、いや彼女達の信用を失った。


勇者に勝てなくなった俺は、学園卒業後は本来なら軍の士官学校で幹部候補としての進学が決まっていたのに、父上に一から鍛え直せって言われて一般兵で通う事になった。


すべては、あの勇者が現れた時からか。

いや、違う、彼女達が俺に近づいたのは、あの『無能』のためだ。

「くそ! 俺は、絶対にはいやがってやる!」と言って、俺は固いベットに拳を打ち付けた。


今頃、彼女達は、勇者と一緒にラビリンスのあるラビスの町にいるらしい。。

くやしい。。

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