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プロローグ③

Side:アニー

私は、スヴェン坊ちゃまの乳母兼教育係として、かなり高給な価格でオールポート子爵からやとわれています。 

理由は、スヴェンお坊ちゃまの魔力量が尋常でないくらい多く、それはそれは、生まれた際は旦那様も奥様も、天才児いや神童になるかもと将来を期待しておられました。 

2歳はなれたアンディ様も魔力量が子供の割には多いのですが、それを軽く凌駕してしまうほどの魔力量をスヴェンお坊ちゃまはお持ちです。

しかし、スヴェンお坊ちゃまは、もの凄く人見知りで、両親にも懐かず、兄のアンディ様にもです。 

そして、あの日、1歳の時、歩きはじめたスヴェンお坊ちゃまですが、少し動いただけで魔力を暴走し、当時のお部屋がめちゃくちゃになるほどでした。


そして、自身も傷つき生死の境をうろつき、生還された時は、それは皆で泣くほど喜びあいました。 

しかしです、少し運動しただけで魔力を暴走する事が何度もおこり、終いには奥様は怖がるようになりました。 

そして、ようやく落ち着いたのが、髪の毛の色が真っ白になった時です。


それを見た旦那様、奥様は、さらに畏怖しました。 

なぜなら、髪の色が真っ白な子は、忌み子の象徴だからです。 

というのも、『厄災の魔術師』の髪の色が真っ白だったのです。 

それから、今の部屋に閉じ込め、私以外の接触は禁じています。

3歳になると子供みなが教育として受けるあの大災厄の日のお話。 

私は、スヴェンおぼっちゃまには、なんとか悟られず、今夜も絵本の続きを読みます。


◇◇◇

僕は、ベットに横になりながら、今夜もアニーが昨夜の絵本の続きを読んでくれるのを待ち望んでいる。


「ねぇ、『厄災の魔術師』は、討伐されたの?」

「坊ちゃま、それはこれから続きを読みますのでどうなったかわかりますよ」ってアニー。 

そんなアニーの表情は困った顔をしている。 なんでだろ。


「おほん、では続きを読みますね。」ってアニー。

今度はいつもの微笑んだ笑顔だ。 僕は、さっきの表情はきにせず、アニーの声に耳をかたむける事にする。


~・~・~

砂煙が落ち着き、誰もが『厄災の魔術師』を討伐したと思ったのです。


「お前達の攻撃ってこれだけか」と、そこには、結界を破り、無傷の黒いローブを着た『厄災の魔術師』がいたのです。

「どうやって結界を、しかも攻撃をさけた!」と叫ぶ勇者リューアズ。

「お前らごときの結界など、極 闇魔術で相殺できるしな」といって、また手を掲げると空から無数の黒い槍が、いえ隕石が降り注ぐのです。

隕石が降り注ぐ中、魔王デミュールと勇者リューアズは、彼にむかって剣をふりかざし切りつけます。

しかし、『厄災の魔術師』の両手には漆黒の刀が握られており、魔王デミュールは胴体を2つに切られ、そして、勇者リューアズは、縦に真っ二つに切られます。


そして降り注ぐ、隕石により、1千万いた兵は全滅してしまいました。

『厄災の魔術師』による大虐殺の日でした。

ただ、その日以降、『厄災の魔術師』の姿をみるものがいなくなったのです。


相打ちだったのかもしれない。

そして、残された人類、魔族、亜人たちは、後に、この日の出来きごとを忘れないために『大厄災の日』としました。


おしまい

~・~・~


「ねぇ、じゃぁ、『厄災の魔術師』が死んだか誰もわからないの?」って僕。

「ええ、坊ちゃま、その日以降、忽然と姿を消して、誰も見る事はなくなったって。 きっと神罰がくだったんでしょう」

「神罰?」

「この世界の神さまが、きっと罰を与えたっていう説もあります。」

「ふーん。 でも、なんで『厄災の魔術師』には名前がないの?」って僕。

「それは、名前を口にしてはいけない事になってるんです。」ってアニー。

「アニーは知ってるの?」って聞いた。

「私は知りません。 ただ、戦場のあった場所は、今は、デアス墓地と言われています。」ってアニーだ。

「へぇ~そうなんだ」としか言えない僕。

「この絵本は、過去の悲劇と、今後このような悲劇が繰り返さないように、魔法は正しく使いましょうっていうための絵本なんですよ」ってアニー。

「正しくってどういう事?」

「無意味に人に向かって魔法をはなって傷つけてはいけないって事です。」ってアニーだ。

僕は、ふーんとしか考えてなかった。 

「ちなみに魔法と魔術は何が違うの?」って聞いた。 今は魔法師というのに、この絵本だけ魔術師だ。

「そ、それは私もわかりせん」ってアニー。

「さぁ、坊ちゃまお休みの時間です」って言って、アニーは、また絵本をもって電気を消して部屋からでていった。


あの絵本の挿絵とかいっさいみせてはくれない。  なんでだろって思いつつもあまり僕はその時考えていなかった。

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