旅立ち
「お姉ちゃん、本当に行っちゃうの?」
セレネーを上目遣いに見上げ、九つ下の弟が目の淵を赤くしている。
「ごめんね、エリオス」
膝を付いたセレネーは、自分と同じ髪色の弟をそっと抱き寄せた。エリオスはセレネーの背中に手を回し、小さく鼻をすする。
「また……帰ってきてくれる?」
「ええ、もちろんよ」
エリオスの背をそっと二度叩き、セレネーはぎゅっと腕に力を込めた。両手をエリオスの肩に置き、ゆっくり身体を離す。笑みを浮かべたセレネーは、エリオスの目元を柔らかな手つきで拭ってから立ち上がった。
「レネ、本当に大丈夫なの?」
「母さん、心配しないで」
「気をつけるんだぞ」
「ええ、父さん」
三人を代わる代わる見比べたセレネーは、晴れやかな笑みを浮かべた。
「いってきますっ」
大きな麻袋を手に、肩口で切り揃えたばかりの髪を揺らす。そのまま踵を返し、少し離れた場所で待つ十人弱の商隊へ合流した。年に二、三回程この村を訪れる商隊なのだが、その都度外からの商品と共に様々な話題も運んでくる。
「セレネー、もういいのか?」
商隊長のペトロスが、セレネーの家族に視線を送りながら尋ねてきた。
「ええ、待たせてしまってごめんなさい」
「なあに、いいってことよ」
「皆さん、暫くの間お世話になります」
セレネーは商隊の面々を見回し、一人ひとりと目を合わせる。この村にきて三年、この商隊の人々ともすっかり顔見知りになっていた。
「しばらくと言わず、ずっと一緒に旅してもいいんだぜ?」
戯けたように口を開いたフィロスは、村にくる度沢山の話を聞かせてくれる。商隊長ペトロスの息子で、セレネーと同じ二十歳の青年だ。
「何言ってんのよ、フィロス。セレネーには帰る場所があるんだからそんなことにはならいよ」
ゾーイは二つ年下の女の子で、フィロスの幼馴染だ。
「ふふ。しばらくはお世話になるけど、ずっとって訳にはいかないわ。私は商人になりたい訳じゃないから」
「はあ、それは残念」
フィロスは肩を竦めて、天を仰いだ。セレネーは小さく吹き出し、二人の手を借りて幌馬車に乗り込んだ。
「出発するぞー」
ペトロスの合図と共に、ラバの引く三台の幌馬車が動き出す。セレネーは家族に向かって大きく手を振った。エリオスが泣きそうな顔で少しだけ追いかけてきたが、やがてその姿も見えなくなった。
セレネーが村へ辿り着いたのは、三年前――アリアドネとアンドリオンが町の祭壇で宣言をしてから、数週間後だった。
あの日肩を叩かれたセレネーは、振り向いた先にヴァンの顔を見つけて我に返った。
「月の巫女様っ」
汗を額に滲ませ、珍しく少し焦った様子のヴァンに、セレネーは目を瞬いた。
「いやぁ、思いの外歩くのが速くて、追いつけないかと。そんなことになったら俺は、少なくとも三人に締め上げられることになってたな」
いつもの笑みを浮かべて軽い口調のヴァンに、セレネーは思わず息を漏らした。
「ごめんなさい、考え事をしてたらつい」
「ははっ、追いつけたからそれでいいさ」
「あの、月の巫女様っていうのはやめてもらえる?」
ヴァンは目を瞬き、再び笑みを浮かべて口を開いた。
「月の巫女様はずっと月の巫女様だから。それとも、セレネー様のほうがいい?」
セレネーはぎょっとした表情を浮かべ、両手で頭を抱えた。
「や、やめてっ。そんな呼び方されたらどんな顔していいかわからないから」
「あははっ、なら、セレネー。俺も堅苦しいのはあんまり好きじゃないからね」
セレネーは両手を胸元に降ろし、ほっと小さく息を吐いた。
「俺のことも、今まで通りヴァンって呼んでよ。俺とエヴァは王家の血筋って言っても、そんなに濃くはないから気楽だろ?」
「そうなの?」
「ああ。見ての通り、髪の色も白金じゃないし。まあ、俺達は別に髪色なんてどうでもいいけど」
片目を瞑って戯けた様子のヴァンに、セレネーは思わず吹き出した。
「ふふっ。ヴァンもエヴァも、とっても素敵な髪色だと思うわ。私は好きよ」
「そう? 俺も黒髪はとても美しいと思うよ」
セレネーは思わず声を立てて笑った。ヴァンのように軽く言われてしまうと、今まで髪の色で悩んでいた自分が馬鹿みたいに思える。それでもやはり白金が特別であることに変わりはないのだが。
「ところでセレネー、神殿長……いや、元神殿長に言われたことを覚えてる?」
セレネーは目を瞬き、一瞬後にあっと声を上げた。
「ごめんなさい、もしかして私の旅を助けてくれるのはヴァンなの?」
「御名答」
満面の笑みを浮かべるヴァンはやけに楽しそうで、セレネーは小さく首を傾げた。
「私、アレクシス様に路銀を戴いたのだけど」
「ああ……まあ、細かいことは気にせず、ついてきて」
セレネーを追い越したヴァンは、そのまま暗がりを歩いていく。空の月はあの儀式の日より少し欠けたが、まだ道を明るく照らし出していた。セレネーでも先が見通せるほどだ。力を失った自分とは真逆の輝きに、胸の奥がちくりと痛んだ。
しばらくすると、松明を持った人影と幌馬車が見えてくる。そのまま足を進めると、護衛官の装束の男が数人と見知らぬ少女の姿が見えた。
「やあ、お待たせ」
「お待たせじゃないわよ。で、一緒にいくのはその人なの?」
「そうだよ。ちゃんと村まで送ってあげてね」
少女は腕を組んでセレネーを見つめ、しばらくしてから大きく頷いた。
「確かに、危なっかしそうね」
「ぶっ」
吹き出したヴァンに眉を顰めたセレネーは、少女を見つめて思い直した。確かにセレネーは要領も悪く、世間知らずだ。見るからに年下のこの少女のほうが余程頼りになるだろう。
「私はゾーイ。よろしく……えっと」
「私はセレネーよ。よろしく、ゾーイ」
「セレネー。素敵な名前ね」
ヴァンと話すときは勝ち気そうだった少女が、明るい笑顔でセレネーを見つめた。彼女と一緒なら旅は楽しくなりそうだ。
「ってことでセレネー。行き先はこの子が知ってる」
「もうっ、ちゃんと説明してないわけ?」
肩を竦めたヴァンをゾーイが横目で睨みつけた。
「まあ、いいわ。馬車の中で話してあげる」
早速馬車に乗り込んだゾーイが、セレネーに手を伸ばそうとしたところでヴァンが待ったをかけた。
「セレネーに話があるから、ちょっとだけ待っててくれよ」
肩を竦めたゾーイは、馬車の中に顔を引っ込めた。
「あの子は商隊の子なんだ。セレネー一人が女の子じゃ旅が不安だろ? 次の町であの子の商隊が待ってるから、合流してそのまま旅立てばいいよ」
「色々とありがとう。助かるわ」
ヴァンは肩を竦めてなんてことないさと軽く返した。
「それで、これはリオンからの伝言」
セレネーはびくりと身体を震わせ、胸元のペンダントに無意識に触れた。
「これから行く場所で、ことが片付くまで五年は留まること。その間ここには戻ってこないように、だってさ」
「……それだけ?」
掠れた声のセレネーに、ヴァンは眉を下げて頷いた。
「とりあえず俺が言付かったのはそれだけ」
「そう……わかったわ。ここには最低でも五年は戻らない。それでいいのね?」
「まあね」
口をへの字にしたヴァンは、何を考えているのかセレネーにはわからない。セレネーが約束を違えると心配しているのか、それとも同情しているのだろうか。
「ねえ、話は終わった?」
馬車から顔をの覗かせたゾーイが、待ちくたびれたように声を上げた。
「ええ、待たせてごめんなさい」
セレネーは慌てて馬車に駆け寄り、ゾーイの手を借りて乗り込んだ。
「じゃあ、セレネー。またいつか」
「……ええ、ヴァン、またいつか。色々とありがとう」
「いい旅を」
屈託無く笑うヴァンに、セレネーも淡い笑みを浮かべて小さく手を振った。
「ねえ、セレネー。そう思うわよね?」
突然話し掛けられたセレネーは、はっと我に返りゾーイを振り返った。三年前より大人になったゾーイの勝ち気な瞳はそのままだ。
「えっと、ごめんなさい、何の話?」
「もうっ、しょうがないなぁ」
幌馬車を引くラバのゆったりとした速度に揺られながら、商隊の旅は進んでいく。あの日ゾーイに連れられて辿り着いたのが、セレネーの家族が住むあの村だった。
顔を忘れていた両親と、幼かった自分の面影を宿す弟がいた。始めこそ互いに戸惑ったものだが、あっという間に馴染んでしまった。それは、幼い弟のお陰だろう。もしかしたらセレネーと初めて会った時のアリアドネも、あんな風に感じたのかも知れない。
「これだけ天気がいいと、眠くなってくるな」
大きく口を開けて欠伸をしたフィロスが、唸り声を上げながら伸びをした。その時、遠くの方から何かが近付いてくる音が響いてくる。
「何の音かしら?」
「んー? 前からか何かくるな」
「ねえ、あれって馬じゃない?」
三人は幌馬車の前を覗き込み、ぐんぐん近付いてくる黒い影に目を凝らした。
「馬なんて初めて見たわ」
「ああ、確かに珍しいからな」
「私たちみたいにあちこち旅してても、数えるほどしか見たことないわよ」
初めて見る馬に釘付けのセレネーを、フィロスが目を細めて見下ろした。それに気付いたゾーイが口を尖らせる。
土煙を立てながら近付いてきた黒い影は、あっと言う間に目の前だ。その直後、セレネーが幌馬車の後ろ側から身を乗り出した。
「セレネーっ!」
大きな声でゾーイが叫ぶ。その声が耳に入らなかったセレネーは、更に身を乗り出し馬の姿に目を凝らした。馬はあっという間に馬車の横を通り抜け、そのまま走り去る。
「おいっ! 馬車を停めてくれっ」
焦った様子のフィロスが前方に叫び、御者をしていた商隊の仲間が慌ててラバの手綱を引いた。ブルブルと鳴き声を上げたラバが足を止め、幌馬車もゆっくり停止した。
「なあ、セレネー。どうしたんだ?」
「セレネー?」
フィロスとゾーイの問いかけに、セレネーは何も答えず胸元に手を当てた。先程まで勢いよく走っていた馬は少し先で前足をばたつかせ、ゆっくりとこちらに振り向いた。馬上の人物を目にしたセレネーは、何も言わずに幌馬車から足を踏み出した。
「セレネーっ」
フィロスが手を伸ばすが、すんでのところで飛び降りた。もう一度名前を呼ばれるが、セレネーは振り向かずに走り出す。最後にゾーイの「フィロスってばバカね」という声が小さく耳を掠めた。
馬に跨っていたアンドリオンは、走り寄るセレネーを目にして素早く地面に降り立った。慌てて駆け出し、確かめるように目を細めた。
「レネっ」
アンドリオンは絞り出すような声でセレネーを呼び、後少しで手が届くということろで足を止めた。
息を切らしたセレネーは、途切れ途切れに声を出す。
「リ、リオン……っ、どうしてっ」
心臓がどくどくと音を立て、潰れてしまいそうに胸が痛い。この痛みは走ったせいなのか、それとも。
「髪を……切ってしまったんだな」
アンドリオンが一歩近付き、セレネーの方へ手を伸ばしかけた。はっとしたように下ろして握りしめ、微かに唇を噛み締めた。
「何から話せばいいのか……」
口ごもったアンドリオンは、視線を彷徨わせてからセレネーの首元に視線を向けた。
「レネ、ペンダントを持ってるか?」
セレネーは目を見開き、アンドリオンを呆然と見つめた。なぜアンドリオンがここにいるのか、この瞬間に全てを察した。
つまり、アリアドネのペンダントを取りに来たのだ。セレネーの住む小さな村には、あまり情報が入ってこない。いつまで経ってもアリアドネとアンドリオンの婚礼の話題が届かず、ずっとおかしいと思っていた。いつくるかわからないその日に恐れを抱き、胸元のペンダントが日に日に重さを増していた。だからこそ、旅立とうと思ったのに。まさかその矢先にこんなことになるとは。
セレネーはため息を零し、首の鎖に手を掛けた。
「おい、なんで外そうとするんだっ」
セレネーは鎖に回した手を止め、一瞬固まった後にアンドリオンを訝しげな顔で見上げた。
「取り戻しにきたんじゃないの?」
「は? なんでそうなる」
「だって、リア……神殿長様のものでしょう? 二人の婚儀に必要なのではないの?」
愕然とした表情を浮かべたアンドリオンは、一瞬あとに大きく息を吐きながら膝に手をついた。
「だから、なんでそうなる」
「何が違うのよ」
セレネーは眉を寄せ、膝を落としたアンドリオンを窺った。
「はあ。こっちの村まではまだ何も伝わってないのか?」
アンドリオンはゆっくり身体を起こして、セレネーを見下ろした。
「何もって……何のこと?」
アンドリオンは片手で頭を掻き、小さく呻き声を上げた。
「この国は、王政を廃止した」
「えっ?」
「つまり、俺はもう王じゃない」
「どういうことっ? リア……神殿長様はどうなるの?」
アンドリオンは諦めたように小さく笑い、深いため息を吐いた。
「まったく。レネが真っ先に気にするのは、相変わらずアリアドネなんだな」
セレネーはムッとした表情を浮かべ、アンドリオンを下から睨んだ。
「まず、俺達はずっと前から王政を廃止する計画を立てていた。長らく続いた王家による支配は、パトスやノモスといった争いを招いたからな」
「ずっと? じゃあ、最初からそのつもりだったの?」
「そうだ」
セレネーは俯き、唇を噛み締めた。結局最後まで何も知らされていなかったことを突きつけられて、胸の奥がずしりと重くなる。アリアドネにもアンドリオンにも、何も話してもらえなかった。
けれど、振り返ってみれば仕方なかったのだとも思える。村にきてから三年過ぎて、セレネーも少しは大人になった。あのときの自分がいかにアリアドネに依存し、子供であったのか。なぜアリアドネやアレクシスが何も教えてくれなかったのか、セレネーなりに今では納得している。
「権力の独占は、無益な争いを生む。だから、王政をやめて民の治める体制を作った。それに、三年掛かった」
セレネーはふとヴァンの言葉を思い出す。
『これから行く場所で、ことが片付くまで五年は留まること。その間ここには戻ってこないように、だってさ』
その言葉の意味に思い当たり、はっとして顔を上げた。
「五年戻るなって、もしかして……」
無造作に白金の髪をかき混ぜたアンドリオンは、大きな溜息を吐いた。
「そうだ。下地を作るのにそれくらいは掛かるだろうって腹積もりだった。何せ王家の奴等を黙らせるのにも時間がかかるし、新しい仕組みを作るのにも苦労した」
「そう……そうだったのね」
「だから五年は待てと言ったのに……全く、レネは待てと言っておいても目を離すとすぐに何処かへ行ってしまうからな」
「それはっ……だって……」
待っていて何があるのか。家族と暮らす村で、アリアドネとアンドリオンの婚儀を祝う。そんな日がくるのが怖かった。五年を待たずに旅立とうと思ったのは、自分の足で歩いていれば、そんな日がきてもきっと乗り越えられると思ったからだ。
「どうせそんなことだろうと思って、急いで片付けたんだ。アリアドネはそのまま神殿長を続ける。神との契約だからな」
「そう……でも、巫女の血を繋ぐ役割は?」
「さあな。そのうちアリアドネも誰かを婿に迎えるだろう。俺の知ったこっちゃない」
セレネーは目をこれでもかと言わんばかりに見開いた。二人が結婚すると思っていたのに、これは一体どういうことなのか。
「言っておくが、俺とアリアドネは互いに同じ宿命を背負う『同志』としか思ってない。頭の硬い王家の奴等に一泡吹かせて、国を変えてやろうと誓ってた。ただの幼馴染で――共犯者だ」
セレネーはぽかんと口を開き、ぱくぱくと動かすが声にならない。
「レネ、ペンダントを見せてくれ」
我に返ったセレネーは、チュニックの下から震える手でペンダントを引き出した。セレネーに一歩近付いたアンドリオンが、ゆっくりと手を伸ばす。そっと指先にペンダントの石を乗せた後、指を滑らせセレネーの胸元に戻した。
「これは、陽の巫女と同じ日時に産まれた守護者が継承する、守りのペンダントだ。誤解させて悪かったが、アリアドネのものじゃない」
「えっ?」
「俺が死んだら、また次の守護者に継ぐべく返還される。レネ、このペンダントの意味は――」
一旦言葉を切ったアンドリオンは、気まずそうに首の後ろを掻いた。大きく深呼吸をしてからセレネーの前に片膝をつき、そっとセレネーの手を取った。
「セレネー。俺は生涯セレネーを守ると誓う。あの日誓った護衛官の誓いは嘘じゃない。どうか、俺と生涯を共に歩んで欲しい」
セレネーの指先をそっと額に当てたアンドリオンの姿に、あの日アレクシスの部屋で見たアンドリオンの姿が重なった。
『アンドリオンと申します。本日より月の巫女様専属の護衛官となりました。力の限りお守り致します』
硬い掌の感触とは裏腹に、柔らかにセレネーの手を握ったアンドリオンが片膝を付いた。セレネーの指先を額に押し当て、巫女に忠誠を誓った。あの日のセレネーは、慌ててその手を引き抜いた。戸惑いもしたが本当は少しだけくすぐったくもあった。
「返事は……嫌ならそう言ってくれていい」
ゆっくり顔を上げたアンドリオンの瞳が揺れる。セレネーの視界がじわりと滲み、震える瞼から零れ落ちた一筋の涙が頬を伝う。
「私も……私も、あなたと。リオンと共に歩みたい」
アンドリオンが満面の笑みを浮かべ、立ち上がりざまにセレネーを抱き上げた。
「何するのよっ」
地下迷宮に入るときと同じく、縦抱きにされたセレネーは、アンドリオンより視界が高くなり慌てて叫んだ。肩に手を置き見下ろすと、アンドリオンが悪戯を仕掛けるような顔で口の端を上げた。
「また逃げられたらたまったもんじゃないからな」
「逃げたりしないわっ」
「どうだか」
アンドリオンはそのまま馬の横までセレネーを運び、その背に乗せた。すぐに自分も後ろに跨り、馬の鼻先をセレネーが元きた道へ向けた。
「どこへいくの?」
「まずはレネの両親に挨拶を」
「その後は?」
「さあな。二人でならどこへでもいけるさ」
セレネーは目を瞬き、一瞬後に笑い出す。
笑い声を立てた二人を乗せ、走り出した馬を見送った幌馬車が、ゆっくり動き出す。二人を乗せた馬は、この先どんな道でも走り抜けるのだろう。穏やかな風に溶けた二人の笑い声は、この先もずっとどこかで響き渡るのだろう。
最終話までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!
明日より『螺旋の魔女』の投稿を開始します!
初日は【序章+本編2話】を投稿する予定です。(時間差で5回に分けて投稿します)
恋愛ありのヒューマンドラマ×ループファンタジーです。
よろしければ、ぜひまたお付き合いいただけると嬉しいです!
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